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家賃値上げ反対!公団住宅の売却削減・民営化阻止 2008年全国公団住宅居住者総決起集会

  基 調 報 告 多和田栄治代表幹事

 きょうの総決起集会にむけて私たちは二つの課題を掲げて全国統一の活動を展開してきました。一つは、来年4月の家賃改定の際、値上げはさせない、二つ目は、団地再生・再編という名の公団住宅削減・売却計画を止めさせる課題です。

家賃値上げ延期をかちとった運動と今後の課題
 第一の、家賃値上げを止めさせる要求は、今日の集会を直前にして一昨日、機構は「来年4月に予定している継続家賃の値上げは当面延期する」と発表、大きく前進しました。まずはみんなで、とりあえずの運動の成果を喜びあい、各党一致してお力添えくださった国会議員の方々に、ここで厚くお礼を申し上げます。
 9月には第8回「団地の生活と住まいのアンケート調査」に取り組みました。私たちの暮らしの実態をしめす集計結果を前面に掲げて、機構に家賃値上げを止めよの要求、国会と地元自治体に協力要請を重ねるとともに、10月、11月には団地内宣伝を強めて団地の全世帯に署名とカンパを呼びかけ、そして今日、全国から署名を持ちより国土交通大臣と都市機構理事長に提出する、総決起集会を迎えました。  
 こうした私たち自身の運動の盛り上がりがあったからこそ、国会全党の有力議員の方々のご協力が得られました。
 自由民主党の公団住宅居住者を守る議員連盟は11月27日に、「いま政府は未曾有の経済政策に取り組んでいるところです。こうした経済・社会状況のもとで公団住宅の家賃を値上げしないことを決議する」を採択されました。同議連は大勢で翌28日に金子国土交通大臣へ申し入れをされました。公明党も太田代表を先頭に同日、金子大臣へ要請をされました。
 民主党の議員連盟は会長名で11月12日、居住者の生活不安を助長する家賃値上げは取り止めるよう機構に申し入れられました。共産党、社民党も、さまざまな形で家賃値上げ中止を機構と政府に働きかけられました。
 この大波が国土交通大臣を動かし、機構が大臣の要請を受けてはじめて家賃値上げ延期を決定するという成果を得ることができました。政府にしてみれば、生活支援に配る給付金一人1万2千円が機構にそっくりさらわれてはたまらん、との思いもあったでしょう。
 それにしても独立法人であるはずの都市機構に、自らの判断と権限でそうした決定ができない当事者能力のなさは残念です。機構トップの姿勢は、改めてもらいたい。これにたいし、国民主権を掲げそれを行使してきている自治協運動を褒めたいと思います。
 家賃値上げの当面延期は実現しました。「当面」とはいつまでか等、問題は残っています。それどころか、アンケート結果が示すとおり、家賃負担の重い現状、機構家賃のあり方と改定ルールには重大な問題が山積したままとなっています。今回の成果は、これからの家賃運動への大きな土台となり、私たちの確信となることは間違いありません。公団住宅の売却・削減の新たな危機に立ち向かうとともに、ひきつづき家賃運動を強めましょう。

アンケート調査結果にみる居住者の生活と要求
 この取り組みの基本は、私たちの暮らしの実情そのものと切実な生活要求にあります。そこで、あらためてアンケート結果を見ておきます。
 なによりの特徴は、世帯主とともに団地人口の高齢化が進み、世帯収入が際立って低下している、また公団住宅に末長く住みたいとの希望が高まっていることです。
 65歳以上の世帯主で見ると、3年前の調査で40%だったのが、今回は50%を占めています。10年前はほぼ20%でした。急速な高齢化とともに、一人家族が増え、3人以上家族が極端に減っています。現在、女性の世帯主は30%を超え、増える傾向にあります。
 収入はどうか。アンケートは全国の勤労者所得を5つの段階に分け、いちばん低い階層から第1、第2、そして第5分位とする分け方で聞きました。93%の方が答えてくださいました。
 年収443万円未満の第1分位層が70%を占めています。この10年間に50%から70%へと収入低下の進行は明らかですが、なかでも深刻なのは、第1分位収入の中間値以下の階層が今では少数派から多数派になり、約250万円以下の世帯が全体の40%に達し、増加の一途をたどることは明らかです。
 現在の支払い家賃は、地方により団地によって、主として3万円台から12万円台まで開きはありますが、きのうの新聞報道によると平均6万300円とされています。年金中心の世帯が半数を超え、その年金も目減りする一方、給料中心の世帯も、不安定雇用のもとで収入はむしろ下がっています。「失業中」も見られます。
 ですから、家賃負担が「たいへん重い」が34%、やや重いが36%、7割の方が家賃が重いと実感しています。家賃が家計のうち最大の支出であり、しかも食料品や他の日用品のように1銭たりとも切り詰めることができません。機構の家賃政策が私たちの命綱を握っているといえます。この思いが、消費税引き上げ反対65%、食料品などを非課税にが54%となって表れています。
 修繕要求の項目では、たたみ床とふすまの取り替え、家具転倒防止金具の取り付け要求が目立っていました。機構は家賃だけ民間並み、修繕は民間家主が通常やることもやっていない、居住者負担にしている問題を取り上げていきます。

公団住宅売却削減方針と民営化の動き、これを阻止する運動の拠りどころ
 私たちはこれまで長年の運動をつうじ、居住者の居住の安定と公団住宅を公共の住宅として守る支えとして、機構法付帯決議をはじめ、住宅セーフティネット法決議等々国会決議の採択を勝ち取ってきました。またこれらを拠り所に、決議内容の実現に努めてきました。今回の家賃値上げ延期の成果もその一つです。住まいを守る上で重要な役割を果すことが実証され、これを支えに機構だけでなく、国会や政府に働きかけていきます。
 生活破壊の家賃値上げをとりあえず食い止めましたが、すぐあとに公団住宅そのものの存続を危うくするたくらみが迫っています。
 昨年12月4日の総決起集会の後、24日に「独立行政法人整理合理化計画が」閣議決定され、民営化に向けた都市機構の3年後の見直し、公団住宅売却・削減、運営の効率化等の方針が打ち出され、これに従って機構は26日に団地再生・再編方針を決定、団地ごとに4つのタイプの再生・再編方法を発表してきました。
1)○全面建て替えする団地
  ○住棟を残す地区と壊す地区に二分し、跡地を民間に売却、あるいは機構がマンションを新築する、複合型再生の団地
  ○一部の住棟を壊し民間に敷地を売却するだけの、いわゆる集約型の団地
 以上3つが再生団地。そのほか
2)団地を丸ごと更地にして民間売却する「用途転換」
3)土地所有者に譲渡、返還する団地 2種類の再編団地             
4)多くは「ストック活用団地」と称して現状維持ですが、管理内容は投資効率、採算本位に差別化が進むことが予想され、何年か後には再生または再編団地に組み入れられていきます。
 機構の計画によれば、平成30年度までに約20万戸のうち10万戸について戸数の削減、再編に着手し、8万戸を削減する予定です。そして平成60年頃までに77万戸のうち3割を削減すると発表しています。
 公共住宅、公的資産を民間企業に売り渡していく大方針のもとですから、これからの公団住宅の性格が大いに変質してくることは予想できます。

規制改革会議の民営化攻撃に対抗しよう
 公団住宅が今後どうなるか。売却・削減、民営化を許すか、公共住宅として存続、むしろ発展させるか、今その岐路に立っています。公団住宅廃止・民営化の方針は小泉改革の方向に沿って、財界筋主軸の「規制改革会議」が押し進めてきたもので、機構はこれに振り回されているとも言えます。そのため私たちの住まいが、いまや未曾有の危機に立たされています。しかし私たちはこれに頑強に反対しています。多くの人たちの生活、人生を狂わす大問題ですから、機構も方針は立てても容易には進められません。
 これでは団地削減の進め方が生ぬるい、団地住民の居住権が強すぎる、定期借家契約になぜしないと、機構にたいし再度ハッパをかけようとしているのが、規制改革会議が年末に出そうとしている答申の中身です。公団住宅の民営化も急がすでしょう。そのヒステリックな中身には、焦りと自信のなさが感じられます。公共の役割を見捨て民間営利に欲ぼけした財界首脳と御用学者たちの焦りと暴論は、油断はできませんが、それは公正な根拠のなさの裏返しであり、私たちが頑張れば勝てそうな気がします。
 国の建て前はどうか。法律上は住生活基本法と、それに基づく住宅セーフティネット法は、機構の賃貸住宅を国民の住宅セーフティネットと位置づけています。
 私たちが機構と結んでいる普通借家契約は、建て替えだ再生だというだけで簡単に追い出せる契約ではありません。借家法で継続居住が守られています。定期借家だとあらかじめ決めた期限が来ると、問答無用、何の補償もなく出ていかなければなりません。

情勢は私たちがつくる
 このように法律があり国会決議などもあって、形のうえでは住まいは守られています。しかし何が起きるか、思わぬ方角からのつむじ風が吹いてくるか分かりません。形だけで気を抜かず、つねに知恵と結束した力を養っておけば、ことさら不安になることもありません。「天は自ら助くるものを助く」と言います。自分たちのことですから、まず自分たちで精一杯力を尽くせば、力を貸してくださる方が回りから現れ、その数も次第に増えてきて、情勢を変えることだってできます。
 事実、今日の集会は、そんな心強さを実感させられた感激的な集会になったように思います。


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