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安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2019年全国公団住宅居住者総決起集会を開催
全国134団地から784名が参加
 12月5日、全国自治協は2019年度全国統一行動の締め括りとなる「安心して住みつづけられる公団住宅をめざす・2019年全国公団住宅居住者総決起集会」を東京千代田区の日本教育会館・一ツ橋ホールで開催しました。
 全国から134団地784名が参加し、「住まいは福祉・住まいは人権」を掲げ、家賃値上げ反対、高家賃引き下げ、機構法25条4項「家賃の減免」条項の実現を、収入に見合った家賃制度を――と熱気あふれる集会になりました。当日は、全国から集まった2019年全国統一行動署名約15万名分を集約し、要請団が都市機構本社、国土交通省住宅局へ提出・要請しました。
 集会は中島政幸、阿部京子両幹事の司会で始まり、まず全国自治協を代表して石川敏広代表幹事があいさつ(別掲)しました。多忙な中、駆け付けていただいた自由民主党・秋元司衆院議員(公団住宅居住者を守る議員連盟事務局長)、公明党・富田茂之衆院議員(UR住宅等の居住の安定等推進委員会委員長)、立憲民主党・末松義規衆院議員(UR住宅居住者を支援する議員連盟会長)、国民民主党・小宮山泰子衆院議員(同議連会長代行)、日本共産党・高橋千鶴子衆院議員ら8人の各党議員からあいさつ(別掲)を頂戴しました。また、日本共産党・武田良介参院議員からメッセージ(別掲)が寄せられました。
 衆院本会議の都合で多和田栄治代表幹事による基調報告を繰り上げて行いました(別掲)。続いて今年は埼玉自治協をトップに、10自治協が次々と壇上に上がり報告・決意表明を行い、途中中断して6議員からあいさつがありました。興梠信子事務局長が今後の取り組み(別掲)を提起、谷代久恵幹事が集会決議(別掲)を提案し大きな拍手で採択されました。最後に国土交通省と都市再生機構本社への要請団が壇上に上がり、団長の石川敏宏、鈴木照子両代表幹事がそれぞれ決意を述べ、会場の大きな拍手に送られて署名を抱えた要請団が出発し、2019年全国公団住宅居住者総決起集会は成功裏に終了しました。


◆石川代表幹事あいさつ(要旨)

 例年は楓代表幹事があいさつしていたが、11月に亡くなったことを報告する。50年以上に亘り我々の運動を引っ張ってきた楓氏のご冥福をお祈りする。
 毎年取り組まれてきた全国統一行動だが、昨年末、大きな成果が生まれた。修理細目の見直しにより修繕の居住者負担が81項目から11項目に削減された。民法改正で修繕は大家の責任を明記、2020年4月施行が前倒しされ今年1月31日から実施された。その成果は公社住宅等へも波及し感謝の言葉が寄せられた。また高齢者向け優良賃貸住宅の家賃減額期間は20年だが、20年が経過しても減額が継続されることになった。
 私たちの運動の大きな成果に確信を持って、さらに運動を進めていきたい。11回にも及ぶ団地の生活と住まいアンケートでの居住者の生活実態は、年々高齢化が進み年金生活者が増え市場家賃の負担が大変重くなっている。機構法25条4項「家賃の減免」実行が最大の運動課題である。
 全国自治協は政党・議連等と懇談をしてきた。昨日は自民党公団住宅居住者を守る議員連盟、12月2日には公明党UR住宅等の居住の安定等推進委員会議員の斡旋により赤羽一嘉国土交通大臣との意見交換が実現した。11月28日には4会派でつくるUR住宅居住者を支援する議員連盟の総会が開かれ、同日、日本共産党国会議員団との懇談も行われ、私たちの切実な要望の理解が深められた。同時に機構法25条4項・家賃の減免では、UR住宅は中堅所得階層を対象にした市場家賃、公営住宅は低所得者向けで家賃は低く抑えられ役割が違うとし、同法25条4項を実行しようとしない国交省、URとの意見の隔たりが鮮明になった。しかしUR居住者は大半が公営住宅入居階層であり、その解決の方策を国は示す必要がある。私たちの要望の実現にはこのような大きな壁がある。もっと運動を広げ、公団住宅居住者だけでなくすべての国民が安心して住める住宅政策の確立を求めていこう。


◆基調報告(骨子)  多和田代表幹事

1.「住まいは福祉、住まいは人権」を学び直す
 福祉社会の基盤としての居住保障(英)住宅を起点とする地域社会の保障(独)
 住生活基本法「住宅供給は民間企業、確保は自助努力が基本」

2.公団自治協活動60年の実績とその意義
 公団住宅を公共住宅として守ってきた意義と、自治協の成果と役割

3.機構法25条4項「家賃の減免」実施要求の到達点
 憲法25条―公営住宅法―25条4項は機構法の命。実施は国政の責務
 国交大臣「公営住宅収入層には実施。今後とも適切に講ずる」

4.「UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョン」とは?
 2033年度65万戸にまで削減。「居住者には丁寧に移転先あっせん」
 団地の主人公は居住者。構想段階から自治会と十分な協議と合意を要求

5.「修繕は家主の義務」―すべての団地の修繕・住環境改善の促進
 修繕費負担見直しの成果と、追加条項を活かし、具体化する活動
 団地管理に差別を持ち込ませない。すべての団地に共通の基本的な計画修繕を

6.結語


◆今後の取り組み  興梠事務局長

○ 2019年全国統一行動の取り組みの到達点を確認し、引き続き家賃減免の実現など主な課題を中心に、諸要求実現に向けて活動を強めましょう。
○ 団地での学習宣伝を強め、家賃の引き下げと機構法25条4項の家賃減免条項の実施、修繕の促進、団地削減・売却反対など、私たちの要求とこれまでの運動の成果に確信を持とう。
○ 団地の再生・再編の実施にあたっては、居住の安定を第一に、自治会・自治協との十分な話し合いを要求しましょう。
○ 私たちの要求に対する理解を深めていただくよう、地方議会、首長、地元国会議員等への働きかけを強めましょう。
○ コミュニティを発展させ、自治会・自治協の組織強化をはかりましょう。


集 会 決 議

 私たちは2019年全国統一行動の山場として本日、全国公団住宅居住者総決起集会を東京・一ツ橋の日本教育会館大ホールで開きました。集会には全国134団地自治会から代表784名が参加し、居住者一人ひとりの願いを込めた要望署名を都市再生機構理事長および国土交通大臣に提出します。

 私たちは、つぎの5つの要求をかかげて全国統一行動を進めました。
1.「家賃の減免」条項の実施と家賃引き下げ、年金で住みつづけられる家賃制度を要求します。
2.公団住宅の売却・削減・統廃合に反対、公共住宅として継続・発展させることを要求します。
3.「修繕は家主の義務」、すべての団地の修繕・住環境改善の促進、管理の充実を要求します。
4.定期借家契約に反対、空き家の早期解消を要求します。
5.子育て・高齢者居住の安定のために、公的な保障政策を要求します。

 「家賃の減免」実施は居住者の切実な願いです。いま団地居住者の7割が年金世帯、5割が公的年金収入だけ、公営住宅収入層が半数を占めています。家賃支払いに追われています。滞納すれば問答無用で退去させられます。機構法25条4項には「家賃支払いが困難なものには、居住の安定のため減免する」と明記してありますが、機構も認めるように、継続居住者にはいっさい条項実施はしていません。国土交通大臣は国会で「公営住宅の入居基準に該当する世帯等を対象に家賃の減免を行っている」「今後とも適切に講じていく」と明言しています。
 また機構の高家賃政策は団地によっては2割余もの空き家を出し、巨額の損失ばかりか、貴重な公共住宅を空き家のまま放置し、団地コミュニティを荒廃させています。
 都市機構は機構法を守らず、国民の居住を奪うことが許されるのか。国会はこれを指導し、政府はただちにこれを実施させる責務があります。機構法25条4項の実施と空き家解消による公団住宅の真の再生、発展を要求します。

 2018年12月発表の「UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョン」は、住宅削減の期限と戸数だけを具体的な目標にかかげ、対象団地を現在の13万戸から45万戸に拡大しました。機構のいう団地再生とは、既存住宅の撤去、敷地の売却による団地集約ないし建て替え事業であり、私たち居住者には移転を求めるものです。旧「再生・再編方針」には「高齢化・低所得化が進行しており、機構は住宅セイフティネットの役割を果たす」との文言がありましたが、その趣旨さえ消えているのが新「ビジョン」の特徴です。「多様な世代」の入居と「機構資産の価値向上」、既存住宅解体と周辺地域の再開発事業が目的です。
 団地コミュニティをつくってきたのは私たち居住者です。団地の主人公は私たちです。
私たちには住みつづける権利があり、機構には居住者の居住を守り、住宅を修繕し、住環
境を改善する義務があります。私たちは、居住の安定をおびやかし、貴重な公団住宅を収
益本位に削減する方針に反対するとともに、住みよい団地づくりを進めます。団地整備事
業にあたっては構想段階から住民自治会との十分な協議を要求します。

 住宅修繕費の負担区分見直し要求では、昨年の全国統一行動をつうじ大きな成果をあげ、修繕活動前進の土台をきずきました。居住者負担81項目を11項目に変更させた成果とともに、民法改正により新たに加えられた居住者の権利を実際に活かす努力が必要です。・居住者は修繕を要する個所を家主につたえ、協議する。・正当な理由なく家主が実施しないときは居住者が修繕する。費用は家主の負担とする条項です。修繕活動の展望が大きく広がりました。この成果を居住者にひろめ具体化する活動が今後の課題となります。

 2019年全国統一行動にかかげた目標は、私たちにとって切実な生活要求ですが、国政に直結する課題であり、要求実現のためには国政を動かすまでに運動を発展させなければなりません。自治協60年の歴史と実績をふりかえり、私たちが現在おかれている状況を直視して運動への確信を深め、結束をかため、ともに頑張ることを誓います。
 以上、決議します。

                           2019年12月5日
                  安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
                  2019年全国公団住宅居住者総決起集会


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