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安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2018年全国公団住宅居住者総決起集会を開催
全国138団地から800名が参加
 12月6日、全国自治協は2018年全国統一行動の締め括りとなる「安心して住みつづけられる公団住宅をめざす2018年全国公団住宅居住者総決起集会」を東京千代田区の日本教育会館・一ツ橋ホールで開催しました。
 全国から138団地800名が参加し、「住まいは福祉・住まいは人権」を掲げ、家賃値上げ反対、高家賃引き下げ、機構法25条4項「家賃の減免」条項の実現を、収入に見合った家賃制度を、高優賃居住者の継続居住の保障を――と熱気あふれる集会となりました。
 当日は全国から集まった2018年全国統一署名約16万名分を集約し、要請団が都市機構本社、国土交通省住宅局へ提出・要請しました。
 集会は中島政幸、谷代久恵両幹事の司会で始まり、まず全国自治協を代表して都市機構経営基本問題懇談会家賃部会委員でもある楓健年代表幹事があいさつ(別掲)しました。
 多忙な中、駆け付けていただいた自由民主党・平沢勝栄衆院議員(公団住宅居住者を守る議員連盟会長)、公明党・竹谷とし子参院議員、立憲民主党・末松義規衆院議員(UR住宅居住者を支援する議員連盟会長)、国民民主党・大島九州男参院議員(旧公団居住安定化推進議員連盟会長)、日本共産党・宮本岳志衆院議員ら8人の各党国会議員からあいさつ(別掲)を頂戴しました。また、公明党・赤羽一嘉衆院議員(UR住宅等の居住の安定等推進委員会会長)からメッセージ(別掲)が寄せられました。
 衆院本会議の都合で3議員のあいさつ後、多和田栄治代表幹事が基調報告を行いました(別掲)。続いて今年は千葉・茨城自治協をトップに、10自治協が次々と壇上に上がり報告・決意表明、途中中断して5議員からあいさつを頂きました。興梠信子事務局長が今後の取り組みを提起、阿部京子幹事が集会決議(別掲)を提案し大きな拍手で採択されました。最後に国土交通省と都市再生機構本社への要請団が壇上に上がり、団長の石川敏宏、青木有倶両代表幹事がそれぞれ決意を述べ、会場の大きな拍手に送られて署名を抱えた要請団が出発、2018年全国公団住宅居住者総決起集会は成功裏に終了しました。


◇楓代表幹事あいさつ
(要旨)

 つい先日開かれた経営基本懇22回家賃部会へ委員として4項目を申し入れした。
 ・機構法25条4項に基づき減額措置を実施するように。これまで実施されたことがなく申し込み用紙すらない、機構は法律を順守すべきと。他の委員から災害時に対象となった例は、所定の手続きはの質問に、機構は熊本地震と大阪北部地震で数世帯に適用、手続きはなく個別に状況を判断して実施したと。申請書の手続き等をきちんと決め実施するよう申し入れた。・昭和40年代入居の4・5階居住者は75歳を超え1階へ移りたいと、1階の家賃を上げているケースがあるが、階下移転が行われるようになった経緯を知らないのか。私たちの運動で実現し家賃は上げない・特別措置も変更しないという約束事を分かっていない――と。1階の入居希望者が多いため募集家賃を上げていると言うが、そういうことなら4・5階は下げるべきだと。
 ・入居当時のままの畳・ふすまなど、設備水準等が考慮されていない。修繕の負担区分の見直しを。・空家の正確な数を質すと約3万1,000戸と。72万5,000戸のうち空家は約7万9,000戸なので、さらに質すと入居募集中が3万1,000戸と答えた。募集しても入らないから空家になるのではと。他の委員の発言はなく、座長が楓委員から文書が出されているが諮問事項から外れており、それについては答えなくていい――と言われ、家賃が関係しておりきちんと答えてほしいと言い返した。この様な状況であり、居住者みんなが力を合わせ頑張っていこう。


◇基調報告(骨子) 多和田代表幹事

Ⅰ 2018年全国統一行動の目標
1.機構法25条4項「家賃の減免」実施と家賃の引き下げ要求
2.住まいの権利と公団住宅を守り、団地削減・売却に反対
3.「修繕は家主の義務」-居住者負担を止めさせ、修繕・住環境改善の促進

Ⅱ 家賃の減免実施は機構法の規定。国の責任で実施せよ
国交大臣(2016年11月)「公営住宅の入居基準に該当する世帯等を対象に減免を実施している。今後とも機構法25条4項を適切に講じる」
機構理事「現居住者に家賃の減額制度はない」(家賃滞納による退去と法的措置)
「市場家賃が機構法の趣旨」「経営改善が必要」→「ご要望に沿うのは難しい」
機構の賃貸住宅経営の実態と高家賃政策→ 家賃を引き下げ、居住の安定を確保せよ

Ⅲ 新たな「ストック活用・再生ビジョン」(案)は何をめざす?
公団住宅の計画的削減 =「ストック再生・再編」方針の10年
「利益をあげる団地」と「縮小する団地」→「団地別整備方針」
新方針は「セーフティネット機能の強化」を下ろし、65万戸までの削減目標を明記
「ストックの価値向上」「民間事業者との連携」― 自治会の位置づけなし
継続居住者の居住の権利、国民資産としての公団住宅を守る

Ⅳ 民法と国交省の規範に従い、家主は修繕義務を果たし、居住者負担をなくせ
標準契約書と機構の修繕費負担区分は大違い ― 賃貸借契約書12条の改正は急務
機構は「社会一般の慣行を踏まえて」― 修繕要求運動の前進をめざす


◇今後の取り組みについて

○ 2018年全国統一行動の取り組みの到達点を確認し、引き続き三つの主な課題を中心に、諸要求実現に向けて活動を強めましょう。
○ 学習宣伝を強め、家賃の値上げと機構法25条4項の家賃減免条項の実施、修繕負担の見直しなど私たちの要求と運動に確信をもちましょう。
○ 新たな「ストック活用」方針とその実施にあたっては、居住の安定を第一に、自治会・自治協との十分な話し合いを要求しましょう。
○ 地方議会、首長、地元国会議員等への働きかけを強めましょう。
○ コミュニティを発展させ、自治会・自治協の組織強化をはかりましょう。


集会決議
 私たちは本日、2018年全国統一行動の山場として全国公団住宅居住者総決起集会を東京・一ツ橋の日本教育会館大ホールで開きました。本集会には全国138団地自治会から代表800名が参加し、居住者一人ひとりから託された都市再生機構理事長および国土交通大臣あて要望署名を持ちよりました。署名は集会後に提出します。
 私たちは昨年秋の第11回「団地の生活と住まいアンケート」結果に示された生活の実態と要求をもとに、つぎの3つの目標をかかげ全国統一行動を進めてきました。
1.機構法25条4項「家賃の減免」条項の実施と家賃引き下げを要求する。
2.住まいの権利と公団住宅を守り、団地の削減・売却・統廃合に反対する。
3.「修繕は家主の義務」― 居住者負担を止めさせ、修繕・住環境改善を促進させる。
 居住者の高齢化がすすみ、年金世帯は7割を占めています。収入低下は明らかであり、平均約7万円の家賃負担は耐え難くなってきています。7割の世帯が終の棲家として永住を望みつつも、家賃負担の重さと「団地再生」に居住不安を深めています。また機構の近年の計画修繕の遅れや修繕費の過大な居住者負担に不満が高まっています。
 機構法25条は市場家賃を基本としながらも、その4項に支払いが困難になった居住者への減免条項を設けています。しかしこの条項に基づく措置はまったく実施されておらず、3か月以上滞納すれば退去させ、セーフティネット機能は強化どころか皆無です。
 石井啓一国土交通大臣は2016年11月21日、「公営住宅の入居基準に該当する世帯等を対象に家賃の減免を行ってきた。今後とも、機構法25条4項の趣旨にのっとり適切に家賃減免措置を講じていく」と国会で述べられました。私たちは大臣の答弁どおりに、国の責任において「公営住宅収入層には公営住宅並みの家賃に減免する」ことを強く要求します。
 機構は高家賃政策をとり、戸数を減らし空き家が増えても純利益を年々増大させ、家賃収入から政府は2割、3割もの金利を吸いあげ、かつその収益を他の開発部門の赤字の穴埋めに回しているのが実状です。私たちは家賃を引き下げて居住者の居住の安定を図り、空き家を解消して団地コミュニティに賑わいをとりもどす施策を要求します。
 機構は公団住宅の計画的削減をめざし、2007年12月に「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」をうちだして10年が過ぎました。この間77万戸から8万戸を削減・売却しました。2013年に安倍内閣が閣議決定をして収益性の低い団地の統廃合を急がせると、全団地を「利益をあげる団地」と「縮小する団地」に分け、収益本位の「実施計画」を進めてきました。
 機構は年内に従来の団地再生・再編方針を手直しし、2033年度までの指針を定めた新たな方針文書にあわせ、団地別整備方針を発表します。削減の文字をなくし「団地再生」をかかげるにせよ、65万戸への戸数削減を目標に、住宅は資源、ストックとみなして活用、整理をして、収益力を強める方向をいっそう明白にしています。新方針から「セーフティネット機能の強化」は消え、団地に生活の根を下ろし、地域コミュニティをきずいてきた居住者の居住の安定への言及はなく、民間事業者との連携はとなえても、地域づくりの要をなしている自治会はそこには位置づけていません。
 機構がいかなる「ビジョン」をうちだそうと、私たちは結束して居住権と貴重な国民資産である公団住宅を守り、削減・売却・統廃合にはあくまで反対します。
 「修繕は、居住者の責めによるものを除き、家主の義務」と改正民法は明確にし、それに基づき国交省は本年3月、賃貸住宅標準契約書を改定しました。それに照らすとき機構の修繕費負担区分の不当性はいっそう明白になっています。機構は2016年に国会で「検討する」と答えながら、本年5月にいたって、さらに2020年までの先延ばしを告げ、あえて「社会一般の慣行等を踏まえ」と述べています。国交省が標準契約書を作成し改定するのは、社会一般に民法の趣旨が守られていないからです。国交省所管の機構がまず順守すべきは民法の原則であり、国交省の示す具体的な規範です。なお標準契約書は、修繕の必要な個所についての居住者の通知と家主の費用負担などを定めています。
 私たちは賃貸借契約書12条および第2項の「修理細目通知書」を見直し、速やかに修繕費の不当な居住者負担をなくすよう要求するとともに、修繕運動をさらに発展させます。
 2018年全国統一行動の目標に向かって私たちの運動は大きく前進しています。しかし、いずれも国政に直結する課題であり、国政を動かすまでに運動を発展させなければなりません。ひきつづき全居住者の結束を固め、要求実現をめざして頑張りましょう。
 以上、決議します。
                                           2018年12月6日
                            安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
                               2018年全国公団住宅居住者総決起集会
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