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安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2017年全国公団住宅居住者総決起集会を開催

 全国自治協は12月7日、2017年度全国統一行動の締め括りとなる「安心して住みつづけられる公団住宅をめざす・2017年全国公団住宅居住者総決起集会」を、東京・千代田区の日本教育会館・一ツ橋ホールで開催しました。
 全国から138団地802名が参加し、「住まいは福祉・住まいは人権」を掲げ、家賃値上げ反対、高家賃引き下げ、機構法25条4項「家賃の減免」条項の実現を、収入に見合った家賃制度を、高優賃居住者の継続居住保障を――と熱気あふれる集会となりました。
 当日は、全国から集まった2017年全国統一行動署名約16万2,000名分を集約し、要請団が都市機構本社、国土交通省住宅局へ提出・要請しました。
 集会は中島政幸、谷代久恵両幹事の司会で始まり、まず全国自治協を代表して都市機構経営基本問題懇談会家賃部会委員でもある楓健年代表幹事があいさつ(別掲)しました。
 多忙な中、駆け付けていただいた自由民主党・平沢勝栄衆院議員(公団住宅居住者を守る議員連盟会長)、公明党・赤羽一嘉衆院議員(UR住宅等の居住の安定等推進委員会委員長)、民進党・大島九州男参院議員(旧公団居住安定化推進議員連盟会長)、希望の党・小宮山泰子衆院議員、日本共産党・宮本岳志衆院議員ら10人の各党国会議員からあいさつ(別掲)を頂戴しました。また、自民党・秋元司衆院議員らからメッセージ(別掲)が寄せられました。
 来賓あいさつの後、多和田栄治代表幹事が基調報告を行いました(別掲)。
 続いて今年は千葉・茨城自治協をトップに、10自治協が次々と壇上に上がり決意表明をしました。興梠信子事務局長が今後の取り組みを提起、松尾由美子幹事が集会決議(別掲)を読み上げて提案し、大きな拍手で採択されました。最後に国土交通省と都市再生機構本社への要請団が壇上に上がり、団長の林守一、鈴木照子両代表幹事がそれぞれ決意を述べ、会場の大きな拍手に送られて署名を抱えた要請団が出発。全国公団住宅居住者総決起集会は成功裏に終了しました。


◇楓代表幹事あいさつ(要旨)

 今年は9月に3年ごとのアンケート調査、それに続いての全国統一行動と感謝を申し上げる。都市機構の家賃部会が11月6日に開かれた。今年も他の委員は発言せず、私と機構のやり取りのみで、最後に座長から総選挙の結果は機構の経営に影響を与えたかという質問が出ただけだった。
 東京の三鷹駅前団地は、耐震基準を満たしていないため募集が停止され修繕は全くやられていないが、家賃は1990年から改定ごとに8~9千円値上げされてきた。団地の傷みが非常にひどく、その写真を家賃部会へ提出しようとしたが機構に拒まれ、そのことも含め同団地の説明をした。例えば洗濯機はブロック2段重ねの上に置かれ、修繕はしない、募集はしない、値上げだけはきちんとする、そんなことがあるかと質した。今まで2分の1、2分の1と値上げして来たがその残り分を上げているだけというのが機構の回答だ。修繕しない理由は取り壊す予定なので無駄な投資になると、それなら家賃値上げはやめるべきでとんでもないと応えた。
 昭和54年の1回目の値上げの時、当時の公団は家賃値上げで関係方面の意見を聞く必要はないという挑発的なビラを全国の団地に配った。私たちの怒りの声に他団体が応え、おかしいと申し入れ、家賃部会が設けられた。その家賃部会が形骸化され、資料提出を拒み人選にも介入している。怒りを持って私たちの住まいを守る運動が必要だ。
 9月に実施したアンケート調査の結果では、所得第・分位が半数、年金がらみの生活世帯は70%超という状況だ。居住者の所得に見合った家賃にするルールが必要。ある時、フランス人から日本の住宅ではなぜ建て替えが問題なのかと。高齢化をあげると、高齢化がなぜ問題なのかと。年金生活者が多く大変と、年金になるとなぜ大変かと――質問攻めに遭った。住宅問題は福祉の問題、居住者の生活実態を反映した家賃にさせることが重要だ。
 機構住宅の平均家賃は民間住宅指数を100とした場合98ぐらい、民間と差がなくなり団地によっては逆転している。セーフティネット住宅と言えるのかと質したが、ろくな答えはなかった。若い頃、公共住宅としての公団住宅には大変助かった。この住宅を子ども達、孫まで何としても引き継がなくてはいけない。幹事会では半分冗談で公団住宅を世界遺産にという話が出たが、世界で一番大きな大家・都市機構を守るつもりはないが、公団住宅は守って行くことを呼びかける。


◇基調報告(骨子) 多和田代表幹事

1 .第11回アンケート集計にみる居住者の生活実態と要求
  世帯収入―家賃負担―居住不安
  修繕要望

2. 家賃収入の最大化が第一の改定ルール改悪
  値上げルール改悪と家賃査定の問題点―募集家賃と継続家賃
  家賃改定にかんする借家人の権利
  機構法25条4項―市場原理と「公共」

3.家賃引き下げ、「減免」条項実施を要求する根拠と意味
  憲法25条(生存権)―公営住宅法―機構法25条4項
  公共(低家賃)住宅の直接供給と家賃補助(住宅扶助)

4.「住宅セーフティネット法」改正にみる 住宅政策の方向

5.「団地別整備計画」策定は何をねらう?
  閣議決定「収益性本位の団地統廃合加速化」―団地別「整備」方針確定
  団地の主人公は住民―自治体と連携し機構の策定状況を確認しよう


◇今後の取り組みについて


○ 第11回団地の生活と住まいアンケートと、2017年全国統一行動の取り組みの到達点を確認し、要求実現に向けて引き続き活動を強めましょう。
○ 学習宣伝を強め、機構法25条4項の家賃減免条項の実施、公営住宅法の趣旨にそった家賃制度へ改善を求める私たちの要求と運動に確信をもちましょう。
○ 加速する収益本位の団地統廃合、公団住宅の削減・売却に反対し、居住の安定を第一に、自治会との十分な話し合いを要求しましょう。
○ 地方議会、首長、地元国会議員等への働きかけを強めましょう。
○ コミュニティを発展させ、自治会・自治協の組織強化をはかりましょう。


                         集 会 決 議

 私たちは本日、全国統一行動の総まとめとして2017年全国公団住宅居住者総決起集会を東京・一ツ橋の日本教育会館大ホールで開きました。本集会には全国138団地自治会から代表802人が参加し、居住者一人ひとりから託された都市機構理事長および国土交通大臣あて要望署名を持ちよりました。署名は集会後に提出します。
 今年は、家賃の引き下げ、都市機構法25条4項「家賃減免」の実施、公団住宅の削減・売却、統廃合に反対、修繕・住環境改善の促進等をめざし活動してきました。統一行動に先立って、第11回「団地の生活と住まいのアンケート」調査にとりくみました。
 アンケート集計には、高齢化の著しい進行、年金受給世帯70%への増加がみられます。83%の世帯が「公共住宅に住みつづけたい」と願いつつも、77%が「家賃が重い」、うち「たいへん重い」と38%が訴えています。不安なこととして、64%が家賃支払いの困難、42%が団地削減等による移転強要をあげています。
 2013年12月の閣議決定による家賃改定ルール改悪、公団住宅削減をもくろむ団地別整備計画は、いずれも私たち居住者の生活の実態、切実な願いに逆行するものであり、そのことがますます明白になってきています。
 機構は2016年に家賃ルールを2年ごとの戸別値上げ方式に変え、家賃改定をブラックボックスに閉じこめて借家人の権利をさらに弱め、機構法25条2項にも反して継続居住の高家賃政策を露わにしてきています。家賃改定にさいして契約当事者である居住者との協議は拒み、空き家対策として募集家賃は引き下げても、継続家賃の高止まりは改めようとしません。こうして、管理戸数を減らし、空き家が増えても、家賃収入・純利益を上げているのが実態です。他方で住宅の質の向上はないがしろ、修繕や環境整備、団地管理は低下するばかりです。
 政府・機構は居住者の居住の安定を図ってこそ公共住宅です。居住者の負担能力を無視した収益本位の高家賃政策は、公共住宅としての存在理由をみずから否定するものです。機構法25条4項が支払い困難な世帯にたいする「家賃減免」を規定しているのは、いうまでもなく機構は住宅セーフィティネットとしての公共的役割を担っているからです。公営住宅法は憲法25条の趣旨をうけつぎ、国および自治体にたいし住宅困窮者への低廉な家賃施策を義務づけています。機構法のこの条項もその一環です。
 私たちは、生活の実態と公団住宅の役割に照らし、公営住宅法・機構法25条4項の順守を求めて、家賃値上げに反対し、安心して住みつづけられる家賃への引き下げ、「家賃の減免」条項の実施、公営住宅収入層への公営住宅家賃適用を要求していきます。
 機構が2018年度内策定を急いでいる公団住宅削減・売却計画は、改正住宅セーフティネット法の付帯決議に反するものです。同決議は、今後ますます借家をもとめ、家賃支払いが困難になる世帯の増加が予想されるなかで、公営住宅を住宅政策の根幹にしながらも、これに対応しきれていない現状の改善を要請しています。機構の公団住宅削減・統廃合の加速化方針が居住者に深刻な居住不安を与えているばかりでなく、国の住宅セーフティネット機能強化の方針とも矛盾することは明らかです。
 公団住宅は国民共有の貴重な財産であり、家賃の低廉化と住環境の維持向上とあわせ国民の期待は広がっています。公団住宅の削減・売却を許さず、公共住宅として守り発展させるのは、私たち居住者の責任でもあります。団地別整備方針の策定に自治会が関与し、団地の主人公として役割を積極的にはたす活動は、いま緊急に求められています。
 決議の終わりに、平和と憲法をめぐる危険な情勢がせまっている今日、本年総会で決めたこの活動課題を本集会であらためて確認しあい、以下の要求実現にむけて総力をあげ取り組むことを決意します。

                                記

一、家賃値上げ反対、高家賃引き下げ、都市機構法25条4項「家賃減免」実現、収入に見合った家賃制度を実現すること。
一、公団住宅の売却・削減、統廃合に反対、公共住宅として守ること。
一、団地再生・再編計画づくりは自治会と十分に話し合い、合意を得ること。
一、計画修繕の促進、管理の充実を図ること。
一、高齢者向け優良賃貸住宅居住者の継続居住を保障すること。
 以上、決議します。
2017年12月7日
安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2017年全国公団住宅居住者総決起集会
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