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安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2015年全国公団住宅居住者総決起集会を開催
 全国自治協は12月3日、2015年度全国統一行動の締めくくりとなる「安心して住みつづけられる公団住宅をめざす・2015年全国公団住宅居住者総決起集会」を東京・千代田区の日本教育会館・一ツ橋ホールで開催しました。
 雨にもかかわらず、全国から144団地808名が参加、機構は2013年12月に閣議決定された家賃改定ルール見直しを年内にも決めようとしており、同ルールの改悪案に反対し安心して住み続けられる公団住宅を実現しようと熱気あふれる集会となりました。
 当日は、全国から集まった2015年全国統一行動署名約19万名分を集約し、要請団が都市機構本社、国土交通省住宅局へ提出・要請しました。
 集会は中島政幸、鈴木まゆみ両幹事の司会で始まり、まず全国自治協を代表して都市機構経営基本問題懇談会家賃部会委員でもある楓健年代表幹事が「このような家賃改定ルールは絶対に許せない。これからも公共住宅を守るという声を大きくしていこう」とあいさつ(別掲)しました。
 多忙な中、駆け付けていただいた自由民主党・平沢勝栄衆院議員(公団住宅居住者を守る議員連盟会長)、公明党・樋口尚也衆院議員(党国土交通部会長)、民主党・大島九州男参院議員(旧公団居住安定化推進議員連盟会長)、日本共産党・本村伸子衆院議員ら14人の各党国会議員からあいさつ(別掲)を頂戴しました。また、自民党・松本洋平衆院議員(同議連事務局長)ら5議員からメッセージが寄せられました。
 多和田栄治代表幹事が基調報告を行い、Ⅰ.家賃値上げルール見直し案(機構の最終報告)―5つのポイント~①値上げ幅の拡大②値上げは2年周期、各戸契約更新日ごと③敷金は家賃3カ月相当額の範囲内で追加徴収・家賃据え置き措置対象の切り下げ・家賃増収分の使途廃止 Ⅱ.閣議決定が指示する目的と具体策の枠内での機構の見直し案 Ⅲ.ルール見直しの口実の「作り話」と隠れた脅威~①「市場家賃との乖離」はない。空き家増大が証明する機構の高家賃②「年2%以上家賃インフレ」は兆しもない③家賃収入の27%も占める政府資金への利払い Ⅳ.戸別契約更新ごと家賃値上げ実施の意味するもの Ⅴ.機構法25条4項「家賃の減免」、機構法付帯決議を無視する見直し案-公営住宅法の趣旨に準じた家賃制度に改善を!―等について述べ、今回の家賃改定ルールの改悪に断固反対し、安心して住み続けられる公団住宅の実現をめざし、確信と展望を持って活動を進めようと訴えました。
 続いて今年は北九州をトップに、10自治協が次々と壇上に上がり決意表明を行いました。興梠信子事務局長が今後の取り組み(別掲)を提起、高柳睦子幹事が集会決議(別掲)を読み上げて提案し、大きな拍手で採択されました。最後に国土交通省と都市機構本社への要請団が壇上に上がり、団長の林守一、渡辺志げ子両代表幹事がそれぞれ決意を述べ、会場の大きな拍手に送られて署名を抱えた要請団が出発し、全国公団住宅居住者総決起集会は成功裏に終了しました。
楓代表幹事
◇楓代表幹事あいさつ(要旨)
 全国自治協を代表して家賃部会委員を務めている。今回の家賃部会は例年と非常に違った雰囲気で、何を言っても閣議決定に沿ってという返事が返ってきた。都市再生機構は日本住宅公団として出発し満60年になるが、その看板を掛け替えて来た歴史は日本の公共住宅政策の後退の歴史だと思っている。
 今、我が国には所得第・分位は1,200万世帯。この受け皿となる公営住宅は全国で200万戸もない。所得第・分位でも公営住宅に入れない1,000万世帯はあふれてしまう。その大半の方が都市機構の賃貸住宅に住んでいる。自治協のアンケート調査では所得第・分位は50%を超えている。家賃部会で機構は「自治協の数字は偏っている。機構は全住宅を調べているが第・分位は25%」と言うが、機構が調べているのは団地を抽出した全居住者の約1割。特に首都圏の平成になってからの団地では10万円を超える家賃が当たり前、第・分位の人は入居できない。自治協加盟は昭和40、50年代の団地、かなりの方が年金生活者になっており、このような差が出てくるのは当然。決して自治協が意図的に第・分位を多く見せようとしたのではない。
 機構の数字でも賃貸住宅74万6,000戸の4分の1・17万~18万戸が第・分位ということ。所得実態を正しく見ようとしないで、敷金の差額徴収、家賃改定周期を3年から2年に、また低所得高齢者への家賃据え置き措置を所得15万8,000円から10万4,000円に引き下げることを、国会議員へは「今住んでいる方には関係ない、高い家賃の方のみ」と説明し了解されている。本当にそうか、機構が同措置の所得金額を下げると公営住宅家賃へも反映されていく。
 今、募集家賃は毎月変更され、同じ団地で今月入居者が来月入居者より高くなること、継続家賃が募集家賃よりも高くなること―等もあり得ると機構は認めている。このような家賃改定ルールは絶対に許せない。これからも公共住宅を守るという声を大きくしていこう。
◇今後の取り組みについて
○2015年全国統一行動の成功に確信をもち、本日の内容と運動の到達点を居住者に伝え、引き続き学習と宣伝を強めましょう。
○家賃値上げルール見直し案に反対し、安心して住み続けられる家賃制度を求める活動を強めましょう。
○収益本位の団地統廃合、公団住宅の削減・売却に反対し、居住の安定を第一に自治会との十分な話し合いを要求しましょう。
○地方議会、首長、地元国会議員への働きかけを強めましょう。
○コミュニティの発展と自治会・自治協の組織強化を図り、要求の実現をめざしましょう。

集 会 決 議


 私たちは本日、東京・千代田区の日本教育会館ホールにおいて2015年全国公団住宅居住者総決起集会を開きました。全国の各団地自治会代表約800人が、居住者から託された国土交通大臣、都市機構理事長あての統一要請署名を持ちよって集会に参加し、署名提出をおこないます。
 本集会最大の課題は、機構が年内にも決めようとしている家賃値上げルールのさらなる改悪案に反対することにあります。
 安倍内閣は2013年12月、公団住宅について、収益本位の団地統廃合、家賃収益の最大化を図る値上げルールの見直し、低所得高齢者等への家賃措置の縮小などを閣議決定しており、機構が発表した見直し案はそれに従うものです。
 その大要は――
・値上げ幅を、市場家賃との開きの1/3から最大1/2に引き上げる。
・値上げは、戸別に契約更新日ごとに実施し、周期は3年を2年に早める。
・敷金は、値上げ後家賃の3か月相当額の「範囲内」とし、追加徴収する。
・高齢者等への家賃据置き措置は、所得10万4千円以下の低所得者に限る。
・家賃値上げ増収分の修繕費等充当にかんする国会決議は反古にする。
機構の見直し案は、「市場家賃との乖離」「将来の家賃インフレへの対応」を口実に、もっぱら家賃値上げを強化するルールづくりに走り、現行ルールに記した「居住の安定に配慮する観点」はその文字さえも削除しています。
 ところが実態は、公団家賃はくりかえし値上げされてきており、すでに市場家賃の高さにあり、それどころか高家賃ゆえに機構は空き家8.8万戸(総戸数の11.8%)をかかえ、増加の一途をたどっています。貴重な社会資産が大量に放置され、その家賃損失は年間700億円を超えます。一方、市場家賃はここ十数年、消費者物価指数で横ばい、下落の傾向にあり、将来とも上昇の兆しは見られません。閣議決定とそれに従う機構の家賃ルール見直し案の口実はもはや破たんしており、家賃収入の最大化の企みだけが浮き出ています。
 高家賃の引き下げこそが、居住者にとって切実な要求であり、また空き家を解消する確かな道でもあると言わなければなりません。
 居住者の大半が低所得の年金生活者であり、公団住宅が公営住宅の肩代わりをしている実態は政府も認めるところです。今回の見直し案が強行されれば、居住者をさらに追いつめ、空き家をいっそう増大させることは明らかです。それだけではなく、戸別契約日ごとの値上げ実施は、公共住宅としての性格を名実ともに無にし、借家人の権利を奪うものです。
 これまで家賃いっせい改定に際しては、国会等の助言も得て、値上げ実施の延期、値上げ幅の抑制、敷金追加徴収の中止、高齢者等への特別措置、値上げ増収分の使途等について一定の改善が見られました。またきわめて不十分ながらも家賃改定に先立ち住民自治会・自治協と機構との間に話し合いの機会もありました。今回の見直し案は、公共住宅にたいするこうした当然の公的監視と規制を排し、借家法が求める当事者間協議をも事実上拒んで、強権的に家賃値上げを進めることを意味します。各戸への値上げ通知にたいし「お問い合わせがあれば丁寧に説明します」との機構の態度は、居住者に孤立感と居住不安をいっそう深め、コミュニティを破壊にみちびくことは明白です。
 家賃値上げルールの年内改悪によって、具体的には値上げが1年早められて2016年4月以降に始まり、あわせて敷金の追加徴収も強行されるのではないか。そうした危機がいま私たちに迫っています。
 私たちは本集会において現に機構が提示している家賃値上げルールの改悪案に断固反対を表明し、その中止、改善に向けての行動を強めます。
 機構の賃貸住宅は住宅セーフティネットと法律上位置づけられ、機構法付帯決議は「家賃が居住者に過大な負担とならない十分な配慮」を機構に求め、機構法25条4項は「支払いが困難な場合の家賃の減免」を規定しています。また憲法25条の住宅条項ともいうべき公営住宅法も、広く私たち国民に適用されるべきです。
 今回の家賃値上げルールの見直し案は、これらの国法に逆行し、立場の弱い高齢者・低所得階層から住まいの安定を奪うものです。私たちは国会および政府にたいし、この深刻な住まいの危機の根源を国政の問題として真正面から検討することを要請し、国土交通大臣と都市機構にたいしては見直し案を直ちに中止し改善することを強く要求します。
 以上、決議します。
                                                   2015年12月3日
                                  安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
                                    2015年全国公団住宅居住者総決起集会
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