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各政党の住宅基本法や住宅政策の考え方を聞く


◆責任をもって国がやる     
   
菅義偉衆議院議員(自由民主党)

 「公団住宅居住者を守る議員連盟」事務局長の菅です。自由民主党の立場としては民間でできることは民間でやる、これは当然のことです。しかし、国がやらなければならないことは責任をもって国がやる、これも極めて大事なことであり当然のことだと思います。人間の生活の基本である衣食住、衣も食も日本は世界でもトップレベルですが、住宅はまだまだ立ち後れていることは多くの国民が認めるところですし私もそう思っています。
 私は高校まで秋田県の山の中で育ち、卒業して東京に出てきて一番困ったのは住宅です。
田舎にいたときは住宅はついているものと思っていたので、東京に出てきてなぜ住宅にそんなにお金がかかるのかと痛切に感じました。それで住宅問題は国会議員になってからのライフワークとして一生懸命に取り組んでいます。
 昨年の暮れの三位一体改革で地方へ移譲された3兆円の中には住宅も入っていました。
しかし、住宅というものは国が責任をもって守るべきものであると、セーフティネットは極めて大事なものであると、このふたつは絶対に譲ることはできないと公明党国土交通部会長の赤羽議員と与党の中でタッグを組んで、公共住宅については国が責任をもってこれからもやっていこうと決めました。みなさんの公団住宅については国が責任をもっていくことをまず報告します。 
機構になると今までと変わってしまうと、みなさんはたいへん心配され、国土交通委員会の審議を多くの方が傍聴しました。そして安心して住み続けることができるよう、今までの公団と同じように交渉もできるよう付帯決議を付けました。このことは責任をもって守りますし、問題があればきちんと言っていきたい。今国会での住宅政策関連法案については、たとえばひとつの市に市営住宅があって県営住宅がある、今まではそれぞれ別々だった管理を一本でしようということで、それを望むならしていきたいと思います。そして公営住宅を造るとき、たとえば高齢者施設や保育所などを設置する場合、厚生労働省なので予算が別でしたが、これも地方自治体が一括してできるよう法律改正をしたいと思っています。縦割り行政を脱却し、地方に裁量権を認めさせようという内容です。地域住民にとって一番よく知っている地方自治体がやる、そういう仕組みを作るものとご理解いただきたい。
 さらに住宅基本法を作りたいと思っています。住宅というものは人間にとって極めて大事なもの、それに対し基本法がないのはおかしいと自民党の中では勉強会を開いています。かつて住宅建設基本法は昭和40年代に成立しましたが、それは住宅を造る方であって何万戸建設しようというもの。今度は住宅の居住・質についての基本法を作っていきたいと考えています。私も委員会のメンバーですので、みなさんからお話を伺い基本法の中に組み入れていきたい。今度の国会には間に合いませんので来年の通常国会だろうかと思います。住宅についての基本というものを作っていきたい。昨年は様々な災害がありました。新潟中越地震では公営住宅の必要性は多くの国民のみなさんに理解をしていただいたと思っています。
 今公団で生活しているみなさんは責任をもって守るようにしたい。今の住宅も建て替えなどもみなさんがまとまれば、きちんとした形でできる仕組みを推奨していきたい。公団住宅居住者を守る議員連盟は約40名おりますので、今後ともみなさんからご意見を聞かせて頂きたいと思います。
 


◆公共住宅政策なのか疑問    
   石毛^子衆議院議員(民主党)

 民主党「多摩公共住宅の将来を考える市民議員懇談会」会長の石毛です。党と連携をとりながら、どのような住宅政策をとっていくべきか検討を進めているところです。
 昨日は多摩自治協のみなさんと都市機構をめぐる動きについて懇談をしました。今国会の予算審議では、老年者控除の引き下げ、特別減税のゆくゆくは廃止、介護保険料等の値上げや所得により自己負担2割など税と社会保険料の引き上げに加え、公営住宅家賃、高優賃住宅家賃の引き上げが起こっているということを情報交換しました。
 この通常国会では住宅に関連するいくつかの法律改正が提案されます。「主要政策手法三本柱の改革 」とし、@公庫改革=住宅金融公庫を廃止し新独立行政法人に変え、証券化を行いそれを販売して得た資金を貸し付けていく、という新しい金融の仕組みを作ること。仕組みを残すことによって天下り先をなくさないともいえる。A公営住宅改革=予算は560億円が計上され、地方公共団体が住宅政策を立案していく。公営住宅の建て替えでグループホームを造ったり緑地を整備したりという再開発に、事業規模の45%を補助する事業。B公団改革=都市再生に民間を誘導するための条件整備。既存賃貸住宅の有効活用。ニュータウン事業等の早期終了と財政融資資金の繰り上げ償還の実施。具体的には私の選挙区の多摩ニュータウン等のたくさんの未利用地を早期に売却して、借りた財政投融資金の早期繰り上げ償還をする、とのことです。
 昨日の多摩自治協との懇談では、既存団地の建て替えで建設戸数を減らし未利用地を作り売却する、今後30年代・40年代団地で急ピッチで進められることが出されました。未利用地を処分して如何に借金を返していくことが先行し、現居住者の安心・安全をどのように確保していくかということは手薄になっています。具体的に公団家賃がどのくらい上がっているのかや高優賃住宅の値上げ等の話を聞き、政策として意図されていないということを実感しています。家計費に占める家賃負担額は15%、これをとうに超え家賃負担はますます重くなっています。これがどんどん上げられ社会保障としての公共住宅政策といえるのか疑問を持ちます。
 都市再生機構法には多くの付帯決議を付けることができました。国民の居住の安定、高優賃住宅の供給促進、住宅セーフティネットの構築等が決議されています。もう一度再確認しきちんと都市機構や国土交通省にただし、安心できる住宅政策を遂行していくことが今国会の役割と認識しています。国土交通委員の阿久津幸彦議員と頑張っていきます。



◆住宅基本法の制定を    
  赤羽一嘉衆議院議員(公明党)

 公明党国土交通部会長の赤羽です。
公団自治協のみなさんには先日、公明党からの北側国土交通大臣とお会いして頂きました。また先般の家賃値上げで、高齢者世帯、低所得者世帯については1年間猶予すべきだと主張しそれを実現してきました。3年ごとの家賃値上げ増収分は、みなさんに修繕7項目で還元する値上げでなければならないということも主張してきました。
 みなさんの心配は機構に移ってからどうなのか、小泉首相は官から民、みんな民間に放り出すのではという懸念があったのでは。居住の安定を確保する衆・参両院の付帯決議を反故にされないようにということでした。昨年7月の都市機構・中期目標は公団住宅をどうするか、付帯決議のように「居住者の居住の安定を図り適切な維持管理を行う、社会・経済情勢を踏まえた居住環境の向上に努める」という国土交通大臣からの指示を受けて発表しています。みなさんの意向が確実に国土交通行政に住宅政策に大きく反映されていることをご理解頂きたい。
 今国会での3本の住宅関連法案で、都市機構については過去の負の遺産、無駄な開発事業をどうするか、それを抱えていると都市機構の財政事業はますます悪くなり、みなさんへのサービスもできなくなる。ここで区切りをつけ、今持っている遊休地を売却し財政状況を良くしていくという法案で、成立しても賃貸住宅のみなさんには迷惑をかけない内容です。問題が出てきたら国土交通部会長の私に言って頂ければ、しっかり受け止め大臣にも伝えたい。今後もこの問題に取り組んでいくことをお約束します。
 公団住宅の耐震診断については全国の9割が済んでおり、改修が必要な他の600団地の8割を改修しています。住宅金融公庫、公営住宅、公団、行政改革の大きな流れの中で、公明党は昭和44年から7回にわたって住宅基本法という法案を提出しています。国会からも制定を求められており、少子高齢化・社会情勢の変化の中で住居のセーフティネット、大きな柱として住宅基本法を作らなければならない。党内に住宅プロジェクトとして公的住宅・住宅金融・中古住宅・バリアフリー小委員会を作り、政府が来年の通常国会に向け法案の準備をしています。与党としてみなさんの声を反映した住宅基本法案を提出したい。 老年者控除の廃止についてはみなさんのおっしゃるとおりですが、公的住宅の家賃算定のところだけ残すわけにはいかない。しかし3年間は激変緩和措置とし、その間に住宅基本法を制定し高齢者のみなさんへの措置をとろう、セーフティネットを張っていくのが宿題ですので責任をもって具体的な政策としてやっていきたい。みなさんは安心して住んで頂きたい。困ったことや不安あったら言ってください。全力を尽くして闘いますし、出来ることはやりますとお約束します。



◆住宅は憲法25条に基づく    
  穀田恵二衆議院議員(日本共産党)

 日本共産党の国会対策委員長で対応に追われており、最初に失礼させていただきます。今までも公団住宅居住者の生活と権利を守るために頑張ってこられたみなさんに敬意を表します。
 このまま公団住宅はどうなるのだろうかという不安を抱えていることについて日本共産党の考え方を述べさせていただきます。
 昨年12月、政府・国土交通省は住宅政策改革要綱をつくり、来年度には住宅政策の大本を変えようとしています。その中で公団賃貸住宅がどうなるのだろうかという不安を描くのは同感です。民間にできることは民間にという構造改革に沿って、国が公共住宅政策から撤退する流れ、住宅の市場化の促進、都市再生機構の民営化の流れに反対します。
 そして今後の住宅政策について考えるとき、住宅とは何かという問題です。政府・財界では住宅の一層の市場化を最大の命題として上げ、不動産商品として住宅の流通を活性化しようとしている。しかし住宅は人間が生きていく上で欠かせないもので、憲法25条が規定している生存権にもとづいて、だれにも最低限の保障がなされなければならないもの。
住宅問題を民間にできることは民間にと、弱肉強食の世界でいいのかということです。ヨーロッパでも是認されている「住宅は福祉」ということが大切です。したがって「住宅基本法」については、国民の居住の安定を図るうえで国や地方自治体の責任を明確にすることが大事です。当然住宅のあるべき居住環境水準、さらには収入に応じた家賃水準を明らかにし、それに相応しい住宅を造ることを目標にすべきです。
 ふたつめに、今、公共住宅は足りているのかどうかという問題で、ストック等の話が必ず出ますが、政府のやり方は公営住宅の新規建設はしない。入居者資格要件を厳しくして住民は追い出し、公団住宅も新たな賃貸住宅は増やさないで民間に任せるというのがこれからの方向。しかし公営住宅の入居資格者を対象にすれば240万戸足りないという現実があります。したがって公共住宅は充足しているのではないという考え方にすえたい。
 相次ぐ災害や長期不況にリストラ、年金改革などあらゆるところに負担がかかり高齢者の負担も大きくなった。7兆円の負担増、そのうえに消費税の増税が待ちかまえている。みなさんが掲げる「住まいは福祉、住まいは人権」こそ、住宅政策の基本として貫かれるべきもの、今こそ公共住宅の拡充をという立場でのぞみたいと考えています。
最後に住宅金融公庫の廃止や公営住宅法案とともに、都市再生機構の焦げ付き債務を解消するための法案が提出されています。みなさんの賃貸住宅の収入は黒字なのに、それを居住者に還元するのではなく開発見込みのない土地を膨大に買った責任の穴埋めにし、都市再生事業に投資するやり方が実態ではないかと思います。今国会についてはこういう角度から対応していきたい。政府の住宅政策の切り縮めに反対し、国民のくらしを守る政治の実現のために頑張りたいと思います。いっしょに頑張りましよう。



◆高齢者の負担増はしっかり討議を 
  福島みずほ参議院議員(社会民主党


 党首の記者会見で遅くなりました。
 今国会では予算審議が進行中です。政治とお金の問題にきちんとメスを入れるべきです。応援してください。
私自身も参議院予算委員会のメンバーですので、高齢者の負担増についてはしっかりと討議していきたい。保険料の値上げと増税が今度の予算案の特色です。与党から介護保険の改正案が出されましたが、これも衣食でひとり当たり3万円以上の負担増という中身です。3月まで来年度予算の議論をしますので、みなさんの課題や住宅基本法についても前の段階として、まず負担増や問題点について取り上げ、社民党として全面的に協力したい。予算案がこのまま通りますと税金も保険料もすさまじい負担増になります。
 住宅基本法についても社民党は頑張っていきます。
 最後に、今の日本社会で二極分化がすすみ、雇用や生活の安定が失われている問題です。フリーターの生涯賃金は今約5,200万円、正社員の4分の1です。この問題について、先日、参議院予算委員会で「マンションを購入するどころか子どもも育てられない」と質問しましたら、議員から「マンション買えるようにもっと頑張って働け」と、「政治の責任だ」「どこが政治の責任だ」とヤジられたのには驚きました。
 住居の問題、雇用の問題、福祉が壊されていくこと、一昨年は健康保険の改悪法、去年は年金、今年は介護保険の負担増、来年は医療、そして消費税を上げるということが見えてきている中で反対をし、みんながともに生きられる社会を作るべく頑張っていきたいと思います。


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