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「居住者守れ」と各委員が質疑
住宅政策、建て替え制度の統一、修繕のこと



審議を終え報告集会を開催、
写真奥左より富樫議員、山下議員、谷林議員、大沢議員、藤井委員長

【審議の模様】

◇吉田博美議員(自民・保守新)

 民間にできることは民間に任せる法案に敬意を表す。都市再生の民間による理念、見解を大臣にお尋ねする。
 扇国土交通大臣大臣 21世紀は民間に委ねるという基本方針、都市整備は民間活力と知恵を活用し、あらゆる機能を取り入れ、より良い公園緑地、潤いとバリアフリーを完備した、ホッとする街をつくりたい。官と民の知恵を加味することで、21世紀の新しい都市づくりが見える。
 吉田議員 家賃はどのように設定するのか。変更はないのか。
 松野住宅局長 近傍同種市場家賃で設定する。民間事例を収集し、床面積、経過等の不動産評価に基づき定める。継続家賃は3年ごとの改定ルールになっている。市場を上回る場合は下げる。新法人になっても基本的には変わらない。家賃の支払いが困

難な居住者には減免制度がある。
 吉田議員 管理の外部化の進捗状況はどうなのか。民間に広げるべきだ。
 古屋都市公団理事 外部化は7割、平成15年にはすべて外部化する。
 吉田議員 入居率と家賃の推移はどうなっているか。
 古屋理事 募集中の空家は平成15年3月で3,747戸。全体の0.5%200戸に1戸、この3年間は同水準。家賃は市場との調和を図る。空家家賃は3年連続で引き下げた。今後はニーズの多様化等的確に対応し、居住水準の向上、入居キャンペーン等で入居促進に努める。 


◇山下八州夫議員(民主)

 住宅政策を新機構に任せて大丈夫なのかという気もする。公団は住宅政策に貢献してきた。住宅政策が後退するのでは、国民の心配はここにある。 扇大臣 75万戸200万人が利用、戦後の住宅不足を解消し夢を与え愛されてきた。高齢化など世の中の変化により、数さえ足りればは終わり、不安を解消し、一歩前進して公団の役割も変わらなくてならない。新機構は住宅政策の要、改革は必要。少子高齢化に対応し、不安を与えないよう指導する。
 山下議員 手摺は民間にはできない、公団だからできる。様式、設備の牽引の役割を果たしてきた。機構にはできるのか。
 扇大臣 民間の知恵といっしょになって公団では高コストになるものも民間では低コストでできる。パイオニアのノウハウを活かしていきたい。
山下議員 居住の安定確保が一番大事、公的な責任ある機関が必要。全国自治協のアンケートでは高齢化が進んでいる。建て替えで戻ってこれる環境、コミュニティの維持、いろいろな面でフォローが必要と思うがどうか。
 中田都市公団理事 建て替えは98,000戸着手、説明会をやり時間をかけて相談に応じている。公共施設、社会施設の整備等居住の安定の街づくりは継続したい。


◇谷林正昭議員(民主)

 都市公団になる時附帯決議がついているのに2年たったら突然行革で、改革の必要性はあるが抱えている問題点はどうするのか。
 古屋理事 良質な住宅の大量建設、都市対策に貢献してきた。都市再生をどう図るか民間に委ね、能力を引き出せるよう効率化に最大限の努力を図りたい。
 谷林議員 建て替え事業、家賃が高い。新制度、旧制度で措置に大きな違いがあるが、新制度の遡及措置をしてほしいがどうか。
 中田理事 減額措置を講じてきて平成10年に拡充した。旧制度当時の条件で合意した戻り入居者だけに新制度が遡及されると公平性を欠く。
 谷林議員 新制度は528万円以下。旧制度は354万円以下、355万円では措置の対象にならない。同じ公団の中で条件の悪いのは納得いかない。措置に補給金を出しても合わせるべき、大臣の気持ちを聴きたい。 扇大臣 不安を与えないように措置しなければ改革できない。公団の体質、関連子会社、天下り問題等変えていく。新・旧納得いくように説明することが大事なこと、体質改善も含めて自己反省すべき。


◇森本晃司議員(公明) 

 65歳以上の居住者が21.3%、家賃の減額や高優賃などを公共団体と積極的に図るべきでは。家賃減額措置が継続されないのではとの心配がある。制度に変更はないと考えて良いか。  
 住宅局長 機構に変わっても続ける。建て替えの家賃減額措置は引き継ぐ。
 森本議員 売却の不安がある。国民共有の財産、慎重にしてほしい。
 扇大臣 75万戸200万人を考える時、貴重なストックをいかに活かすか、何のための機構か、悪くなっては改革の意味がない。管理、サービスの向上に努め不安を与えない。


◇富樫練三議員(共産)

 すべて新制度に統一した場合どのくらい負担が増えるのか。
 伴公団総裁 平成14年度2DK50uで、概ね2億円。
 富樫議員 2億円、けちけちしないでやるべき、誠意が示されていない。修繕問題だが鉄部塗装が54,000戸に減っている。なぜやらないのか。
 古屋理事 不具合があればやる、周期を決めてやっている。平成12年度の7項目鋼製窓枠のアルミ化など重点的に取り組んでおり適格に維持している。
 富樫議員 適格にやっていない。今回の値上げで30億円増えた。値上げした分を何に使うのか説明がない理由を。
 伴総裁 値上げ分は生活環境改善に、主な計画修繕に使う。7項目を継続して推進する。

 
◇大江康弘議員(国会改革連絡会)

 公団がやってきたことには意義があった。機構はどういう責任を果たすのか、福祉国家イギリスは賃貸住宅の売却でおかしくなった。日本もそうならないように、国の政策としてどう進めるのか。
 扇大臣 75万戸200万人に夢を与え生活の楽しさを与えてくれた。今は2割が高齢者、名前は変わっても居住の安定、安心、内容は変わらない。便利になり安心していられるよう債務と指導の立場にある。責任を果たしていただく。長く住み続けたいと思うような住まい、終の棲家になるよう努める。

  


 2日目は参考人を招致しての質疑が行われました。全国自治協を代表して片岡規子住宅環境部長が参考人陳述を行いました。関東地区5自治協と東海自治協から130人が傍聴に参加しました。午前10時から3人の参考人陳述が始まり、伊藤滋早稲田大学教授、原田敬美東京都港区長、片岡住宅環境部長の順番で続けて行われました。片岡住宅環境部長は居住の安定、居住者の生活実態、継続家賃の値上げ、建て替え制度の改善、管理修繕等の問題点、コミュニティの重要性を訴えました。  

片岡住宅環境部長の意見陳述はこちら

伊藤滋早稲田大学教授 機構は何をやるのか課題を8つあげました。
○大工場の跡地利用を図るとあるが、変動が大きく遊休地の取得は難しい。民間市場は質が悪く市場が変化、売れにくい土地を長く保持することになる。
○密集市街地の基盤整備は非常に困難。専門家の投入、長い期間誰が支払うか、支払い方によっては都市再生機構がつぶれる。○再開発に参加組合方式でとあるが、現在の法律では売れるか売れないか、民間に肩代わりをすること。市役所に買い取りしてもらうこと。 
○都市再生に民間を誘導し支援する。税金を使わずに利益を上げる。民間も利益を上げるのが理想形態。
○主な業務はすべてに全面的に介入し、民間が拡大するか難しい。定期借地はよいアイディア、積極的に活用するべき。  
○既存住宅は大変な資産、古くなった建物の建て替え、老朽化した分譲住宅も機構が積極的に取り組む。東京、大阪だけでなく地方都市も機構がやるべき。
○都市再生には知恵と民間のセンスが必要、機構は赤字団体になる可能性がある。国民に説明できるものにしていくべき。

原田敬美東京都港区長 港区は大規模開発、民間の活力で再開発がやられ、複合的市街地を形成。夜間人口、就労人口等人口回復の兆し、平成20年には18万人になる。開発と人口の伸びはあるが、基盤整備が個々にやられ道路のネットワークがない。密集地や老朽マンションを抱え防災に問題がある。@都市計画の整備、A公園の整備、公共駐車場の設置、CJR駅周辺の基盤整備、再開発の推進を考えている。計画的再開発が必要。自治体の人材、ノウハウには限界がある。新たな法律により、機構の役割を果たしてくれれば意義がある。

 3日目は再び政府・公団に対する質疑が行われ、最後に大沢辰美議員(共産)が法案に反対の立場から討論を行い、法案を賛成多数で可決しました。この後、山下議員より都市再生機構法に対する「附帯決議」が提案され、全会一致で採択しました。 
 谷林議員 2日間の審議で政治判断、リーダーシップが必要と感じた。賃貸住宅の確保、住んでいる人のコミュニティ、住んでいて良かった街づくり。新法人に移行するにあたって住宅は本当に大切なもの、周辺の街づくりに果たしてきた役割、空間、環境を大切にし建て替えによって失われることのないようにしてほしい。このことについて大臣は。 
 扇大臣 いかに環境が大切か、75万戸の管理には大きな責任がある。緑の街に老人のためのバリアフリーに政策転換しなくてはいけない。良かったといえる建て替えに、自然との共生を忘れることなくが原点。
谷林議員 旧・新制度について、新機構になる機会にシステムを作るべきと思う。費用は2億円で済むと言われた、不公平をなくしこの時期に合わせてほしい。
 古屋理事 家賃が激変する時は保障条件を提示している。旧の方が新制度へは困難。公営との連携、高優賃、借上等で対応する。 扇大臣 その時代にあった制度改正、情報開示が必要。公団は最大の配慮を、新機構になる時もう一度住民が納得できる説明をすべき。
 大沢辰美議員 高い家賃では住めない。深刻な不況の中で経済事情とは何か。
 住宅局長 経済事情とは近隣とのバランスを考え、市場の推移で定める。入居者の暮らしの変動ではな
い。入居者については4項で定めている。
 大沢議員 入居者の生活実態も考慮してほしい。
 大江議員 公団の果たした役割は大きい。
 古屋理事 75万戸は機構に継承する。公共住宅にふさわしい管理、民間の力も借りる。居住者が安心して住めるよう努力する。
 大江議員 絆が崩れる不安もあるが。いいところはしっかり引き継ぎ、努力してほしい。

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