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都市再生機構の在り方に関する調査会の
報告書に抗議し、撤回を要求します。


                          2012年8月31日  全国公団住宅自治会協議会 幹事会
 
 本年1月20日の閣議決定「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」は、都市機構について「業務の見直しと併せ、分割・再編し、スリム化する」、内閣府に調査会を設置し「賃貸住宅の特殊会社化を検討する」ことを決め、これをうけて都市機構の在り方調査会は、8月28日に報告書を発表しました。

 私たちは、この閣議決定に接し、野田首相ほか関係各大臣、各党国会議員に要請をかさね、地方議会、首長にたいしても協力要請の請願・陳情をおこなってきました。
 このたび調査会は、私たちの要請を顧みることなく、住まいを根底から危うくし、公共住宅制度をも廃止にみちびく、きわめて理不尽かつ粗暴な提言をおこないました。その主な特徴を指摘します。

 1.報告書が都市機構「改革」の名で提言しているのは、機構賃貸住宅を株式会社と行政法人に分割し、公共住宅廃止に大きく踏み出すことです。岡田担当大臣は家賃10万円程度を国会で例示した以外に分割の基準も、新法人の目的、施策内容もなんら示すこともなく、それどころか分割後も「状況に応じ」行政法人から株式会社への移行がありうることを明記しています。住宅困窮のはげしい大都市圏で公共住宅が大量に削減され、公共住宅居住者に深刻な不安、脅威をあたえるものです。

 2.機構賃貸住宅の分割、株式会社化の理由として報告書は、13兆円を超える負債と約2,600億円の繰越欠損金をあげ、「将来の国民負担増加のおそれ」を強調しています。政府資金の高利運用、土地失政のシワよせによる欠損金等様々な制約のもとで、家賃収入が築いた負債を上回る14.7兆円の資産には口を閉ざしています。機構財務を不安定にし、損失を出しつづける都市再開発事業、ニュータウン事業には「民業補完」の聖域としてメスをいれず、赤字穴埋めの財源を、機構事業で唯一安定的な純利益をあげている賃貸住宅部門のいっそうの収益改善、資産売却、株式会社化に求めようとしています。

 3.機構財務の改善と財政赤字の縮減を機構改革の大目的とし、新たな行政法人にくみいれる賃貸住宅の経営も、居住者の収入実態を問わず市場家賃を基本に、団地ごとの損益管理を徹底していくとしています。報告書のどこにも、人間が心安らかに暮らせる住まいとその将来にたいする国の責任を思わせる記述はみられません。報告書に、居住者の居住の安定維持と地域コミュニティにふれた一文はありますが、それを担保する措置への言及はまったくなく、当事者である私たち居住者がこの一文に期待を託すことは到底できません。

 私たちは本報告書に反対して撤回を求め、次の要求実現のためにひきつづき活動を強めることを表明します。
1)公共住宅制度の事実上の廃止はもとより、公共住宅戸数の削減は許せません。都市機構賃貸住宅の分割、株式会社化に反対します。
2)都市機構の在り方調査会報告書(2012年8月28日)の撤回を求めます。
3)機構賃貸住宅居住者の生活実態を直視し、「住宅セーフティネット」法などの法制上の位置づけ、都市機構法付帯決議等を厳守し、その諸事項の実現を求めます。
4)機構賃貸住宅を公共住宅として継続発展させるとともに、公共住宅の役割を明確にし、民間・公共住宅の別なく国民だれにも最低限度の居住保障をする住宅政策を確立してください。
                                                      以 上


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