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独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会報告書の概要
T:はじめに

  大都市圏の住宅供給などの当初の政策目標が既に失われる一方、多額の債務、繰越欠損金を抱えるにいたっている。
  健全な財務構造へ転換し、民業補完を徹底する。             

U:検討に際しての基本認識

 1. 現在のURの問題点 ― UR業務の見直しと分割・再編、スリム化の必要
  1.分かりにくい組織目的
   UR当初の政策目標は既に失われた。組織が肥大化し、事業は複雑多岐にわたる。
  2.脆弱な財政構造
   13兆円をこえる多額の有利子負債をかかえ、繰越欠損金は約2,600億円残存する。金利上昇や不動産下落リスクが顕在化すれば更に悪化するおそれ。健全な財務構造への転換は喫緊の課題。
  3.不十分なガバナンス
   民業補完の政策対応と自律的な収益改善が求められる。
   相反する方向性に即して効果を上げるには、ガバナンスが不十分。
 2. 組織のあり方の基本的な考え方
   UR組織を2分割する。
  ○運営改善分野―URの政策的位置づけを維持しつつ効率的な事業運営。
  ○企業経営分野―株式売却も視野に入れて民営化する。
  その際には、賃貸住宅の居住者の居住の安定の維持等の必要性を十分踏まえつつ、地域において形成されているコミュニティの実態等も勘案して対応する必要がある。

V:新しい組織のあり方

  1.組織のガバナンスのあり方
   運営改善分野 ― 行政法人
   企業経営分野 ― 当面は政府100%出資の特殊会社
  2. 事業ごとの位置づけ
   賃貸住宅事業 ― 企業経営分野
          ― 運営改善分野
   都市再生事業    同上 (賃貸住宅事業の収益性・キャッシュフロー
                 の安定性を勘案して)
   ニュータウン事業  同上
    行政法人の各事業については、勘定区分や社内カンパニー等の取組に徹し、事業ごとの収支を明確にする。
  3.新たな組織全体で債務等を早期かつ確実に削減する仕組み

V−2−1. 賃貸住宅事業

 (1)区分
   運営改善分野―真に行政法人において実施する必要がある部分
   企業経営分野―上記以外は事業会社に位置づけることが基本
  (両分野とも)基本的には市場家賃で運営され、入居者の所得水準等についても公営住宅等とは政策上の位置づけが異なるとの事業の性格を大前提とする。
  ○住宅資産区分の要素
   物件の家賃水準
   要配慮者(低所得者等、減額措置対象者)の入居状況
   団地内の家賃の分布状況(最高・最低額の乖離の状況)
   物件の築年数、立地等(将来的な収益性の基本要素)
   団地再生計画による収益構造変化の有無(収益改善要素の有無)
   簿価と時価との乖離の程度(将来的な売却可能性の有無)
  ○当初の区分を固定化せず、状況に応じて、行政法人の資産について事業会社へ
   の業務委託や追加譲渡をおこなう。
 (2)分割する組織の設立時の資産評価
   ・新たな組織の資産評価の考え方
   ・減価償却期間の見直し ― 株式会社47年、行政法人70年
 (3)分割後の組織の資金調達の考え方
 (4)行政法人の取組
  ○団地ごとの管理(損益管理)方式の導入
  ○ストック再生・再編方針の見直し ― 集約方式の取組を優先実施
   団地再生にかんしては民間手法活用にむけた規制緩和
  ○新規募集家賃の家賃設定柔軟化を検討
 (5)事業会社の取組
  ○行政法人の繰越欠損金を解消した上は、速やかに積極的に株式売却を進める。
  ○柔軟な家賃設定、経費率の民間並みへの縮減、定期借家のいっそうの活用、民間業者への管理委託等コスト削減を図る契約形態の導入、REIT(不動産投資信託)の活用
 (6)家賃減額措置
    新組織は、現在URが負担している金額を単純に引き継がせるべきではない。
   賃貸住宅事業者として負担すべきコスト以外の政策的なコストについては国   の政策として実施すべきである。

V−2−2 都市再生事業

    収益、キャッシュフローが不安定であるから、賃貸住宅の運営改善分野とともに行政法人に位置づける。
    行政法人内での勘定区分、社内分社化等の取組を徹底する必要がある。

V−2−3 ニュータウン事業

    宅地供給等の政策的役割を終え、平成13(2001)年に撤退方針を決定した。
   平成17年以降、都市再生勘定(賃貸住宅部門)から利益を繰り入れ、欠損金の解消につとめた。しかし、さらなる損失の発生は避けがたく、UR全体の財務構造に大きな影響をあたえる。組織全体として取り組む必要がある。

W: 早急に実施すべき抜本的な経営改善の方策

 1.一般管理費の削減
   給与水準は、まず国家公務員と同程度とした上で見直す。常勤職員の2割削減を達成し、いっそうの削減が必要である。
   一般管理費については平成25年度、対20年度比20%以上の削減。
 2.事業用以外の資産の処分
   UR本社、職員宿舎など、このうち資産価値の高い横浜アイランドタワーをはじめ、比較的高い資産価値を有する物件(原案:晴海アイランドトリントンスク  エア、千種アーススクエア)は本年度中に売却にむけて取り組む。
   職員宿舎の大幅な整理、縮小を図る。
 3.関係会社が保有する利益剰余金と関係会社の整理・合理化

X: 改革の実現にむけて 

 1.組織の分割や新会社の設立等、所要の法改正をともなう制度的対応である。
  URの現状把握をさらに精緻におこない、将来見通しを前提に制度設計をする必要がある。
 2.早期に対応可能なものについて速やかに実施すべきである。
  (広告費の削減、UR資産の売却、利益剰余金の返納)
 3.民業補完の徹底と政策実施機能の発揮の両立をめざし、UR役職員の意識改革を期待する。                         
                                                       以 上
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