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機構法25 条4項「家賃の減免」実施を
公団住宅の売却・削減・統廃合に反対
全国公団住宅自治会協議会第49回定期総会を開催

88団地 111人が参加
 全国公団住宅自治会協議会は2022年6月19日、第49回定期総会を東京・一ツ橋の日本教育会館8階の大会議室で開催。北海道から九州まで88団地の自治会代表と全国自治協役員ら111人が参加しました。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年、2021年は議案書を送付し「書面表決」で行われましたが、今回は3年ぶりに対面で、またオンラインでの中継も交えて開催され、今総会の開催準備等は神奈川自治協が担当しました。

 この一年、全国の団地自治会が結集して暮らしと住まいを守る運動を展開し、情勢を切り開いてきました。これからも団地の豊かなコミュニティと公共住宅としての住まいを守る運動への決意を新たにしました。依然として公団住宅をめぐる情勢は厳しく、公団住宅居住者の多くが高齢化・収入低下で家賃負担の重さに悩み、さらにコロナ禍やウクライナ情勢、円安等の影響がそれに輪を掛け、住み続けていくこと・消費生活への不安を抱かせています。2021年度も 機構法25条4項「家賃の減免」の実施、 公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対、修繕・環境改善の促進、「住まいは福祉・住まいは人権」安心と豊かさが実感できる住宅政策の要求等を掲げて運動してきました。

 総会では、住宅政策、修繕など住環境の問題、団地再生、収入に応じた家賃・家賃の減免・高家賃等の問題、団地管理と共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、居住者の高齢化、組織拡大――等、10人の代議員が発言。安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認、2022年度の活動方針を採択しました。この後、役員19名と会計監査2名の2022年度の役員体制を提案、承認されました。  最後に、家賃については、機構法の減免条項の実施を要求。居住者に移転を強いる「団地再生」事業には、居住者の「借家権」をもとに十分な協議と合意を要求――等の、総会決議が全会一致で採択されました。
 

 午後1時30分に石川敏宏代表幹事が開会宣言。議長に野尻伸氏(上和田・神奈川)、鹿田直子氏(友泉・福岡)の両代議員を選出、議事運営委員5人を議長が任命しました。鈴木照子代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)をしました。
 総会に寄せられたメッセージを谷代久恵幹事が紹介。
 自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆院議員、同議連顧問・菅義偉衆院議員、同議連事務局長・小倉将信衆院議員、小林鷹之衆院議員、公明党代表・山口那津男参院議員、立憲民主党UR住宅居住者を支援する議員連盟会長・末松義規衆院議員、同議連顧問・菅直人衆院議員、同議連事務局長・早稲田ゆき衆院議員、同議連会長代行・小宮山泰子衆院議員、日本共産党中央委員会、高橋千鶴子衆院議員、武田良介参院議員、国土交通省・淡野博久住宅局長、独立行政法人都市再生機構・倉上卓也住宅経営部長、(株)URコミュニティ・志村一徳代表取締役社長、日本総合住生活株式会社・石渡廣一代表取締役社長――から祝いのメッセージが、さらに全国公社住宅自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合――から連帯のメッセージが寄せられました。

 議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数195名中、出席85名、委任110名、合計195名で今総会は成立する」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2021年度活動経過報告と2022年度活動方針案」の提案では、最初に「公団住宅をめぐる情勢と自治協活動の課題」を多和田栄治代表幹事が報告。・ はじめに、・ 家賃値上げ反対―「家賃の減免」要求、・ 公団住宅削減に反対―居住の権利とコミュニティを守る、・ むすびに――等が議案書に沿って述べられました。

 2021年度活動経過報告と2022年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、・家賃の減免と引き下げを要求する ・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減・統廃合に反対する ・定期借家契約の導入・拡大に反対 ・2021年全国統一行動…安心して住み続けられる家賃制度を、公共住宅として守ろう・「団地再生」への取り組み ・住みよい住宅・環境をめざして ・居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る ・都市機構本社との定例懇談会 ・都市機構本社との連携研究会 ・団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動――等、1年間の活動とその成果等が報告されました。
 活動方針では、 ・家賃の減免と家賃引下げを要求する ・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対する ・修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する ・居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る――等とし、具体的な活動として、国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会・連携研究会の充実、地方自治体と話し合いやはたらきかけを強め、公団住宅をめぐる問題で地方議会へ請願・陳情活動等に取り組む、2022年全国統一行動への取り組む――等が提案されました。

 第2号議案「2021年度決算報告と2022年度予算案」について、佐藤利彦財務局長が決算報告と予算案を提案、中島正憲会計監査が会計監査報告を行いました。この後、休憩を挟んで討議が行われ、千葉・茨城自治協・花見川団地自治会の代議員を皮切りに10人が発言しました。幹事会からのまとめを興梠事務局長が行った後、多和田代表幹事も答弁し、第1号・第2号議案について代議員の大きな拍手で承認・採択しました。

 第3号議案「2022年度役員の承認」では青木有倶代表幹事が役員名簿を発表。新たに井口信治(東京多摩)、竹村正(埼玉)、平本くるみ(埼玉)、中村久和(神奈川)の4氏が幹事に加わった役員19名と会計監査2名を拍手で承認。新年度の役員を代表して角和子代表幹事が「久しぶりに全国から集まり、元気な顔を見ることがお互いの励ましになる。役員が承認され、新しい情勢に向かって進んでいきたい。皆さんの支援・協力がなければ出来ないこと。各団地で組織を広め力を強めていこう」とあいさつ。続いて今総会で退任する佐藤財務局長、深沢武幹事、中島会計監査が退任のあいさつを行い(内海禮子会計監査は欠席)、「総会決議」案を阿部京子幹事が提案、全員の拍手で採択しました。
 議長退任後、澁谷哲男幹事が「また元気でお会いしましょう」とあいさつし、全国自治協第49回定期総会は成功裏に終了しました。



鈴木代表幹事あいさつ(要旨)
 本日の定期総会へご出席ご苦労様です。
 新型コロナウイルスの感染防止で安全対策を取り会議や活動が縮小され、自治会、自治協役員の皆様が、家賃、修繕問題はじめ諸活動に取り組まれていることに感謝申し上げる。
 全国自治協は、関東自治協結成から数えて60年になる。第一は各団地に自治会、そして地方自治協、全国自治協と、組織をつくって揺るがず活動を続けてきた。第二は公団住宅を公共住宅として守ってきた活動、この二つが土台をなしている。公団住宅については1980年代半ばから「行政改革」の目玉として、廃止、民営化論が政財界で高まり1997年当時の橋本内閣はそれを政府の方針として打ち出した。しかし、これに真向こうから反対してきた私たちの運動と国民世論もあり、それ自体はほぼなくなってきている。
 一方で政府が進めたのは住宅の公的枠組みを残しながら、1999年に住宅・都市整備公団から都市基盤整備公団へ移行を機に家賃は政策家賃から市場家賃となった。,2004年には公団を廃止し、民営化への橋渡しをめざす独立行政法人都市再生機構を発足させた。
 また、家賃に消費税を転嫁するなと日比谷の野音で反対集会(1989年4月)を開催。当時の橋本大蔵大臣に面談して「公団家賃に消費税は転嫁しない」という回答を得た。さらに公団住宅の民営化反対運動(2010年)では、何度も署名活動に取り組み国会へ提出。当時の前原国土交通大臣は私たちの前で、「公団を民営化したら、居住者の家賃は上がり払えなくなり出ていく。居住者は住む住宅がない」と、反対の意を表したことを記憶している。
 2013年12月24日に出された閣議決定「独立行政法人改革に関する基本的な方針」は、団地の削減・統廃合、家賃の引き上げ幅の拡大――等を柱にしたもので現在も都市機構の業務を支配している。私たちの住まいと暮らしの不安の根源は、この閣議決定にあるのは明らかだ。都市機構の住宅制度があるのではないことに注意を向ける必要がある。
 全国自治協が今、取り組んでいる機構法25条4項は、「市場家賃を基準にしながらも支払い困難者には減免を」と明記し、また住宅セーフティネット法は、機構賃貸住宅を「住宅セーフティネットの役割を果たすべき公的賃貸住宅」と規定している。私たちは政府・都市機構へ、法治国家なので法令の誠実な履行とそれに反する政府の方針転換を求め、国会へ法令順守の要請を重ねることが極めて重要になっている。
 都市機構は閣議決定に基づき2021年1月以降、募集家賃の引き上げを強めています。埼玉地区では、2021年の1月、4月、6月、10月と4回にわたり約20団地の募集家賃の値上げを実施。値上げの理由は、閣議決定、空き家への入居率が高い。機構に言わせると人気がありすぐに入居するから値上げするとのこと。さらに2022年度は全国でも埼玉地区のみが継続家賃の値上げ対象になった。その理由は、東京近郊から埼玉に移転してくる人が増えてきており、その都度不動産鑑定書に基づくものだと主張。コロナ禍で収入が減り家賃を払うことが大変な時期に公団住宅の家賃をなぜ上げるのか、多くの国民が公団住宅へ入居できるよう家賃を下げよと強く申し入れたところ。
 次に団地再生はあくまで機構資産の「再生」が狙い。自治協はコロナ禍に再生事業を進めるのはやめてほしいと申し入れをしている。居住者を集めて説明し意見を聞く集まりを持っていない。説明会なしでお知らせ文書のみで進めていることが大きな問題だ。
 長引くコロナ禍から改めて住まいとコミュニティの大切さを教えられ、生活基盤に対する国の政策が問われます。最後に私たち公団居住者として、平和と人権、暮らしと住まいを守るため、自治会、自治協に結集して活動を続けていこう。みんなで頑張りましょう。




総 会 決 議

本日、2022年6月19日、全国88自治会、代議員111名の参加を得て、3年ぶりに集会による第49回定期総会を東京都神田一ツ橋の日本教育会館で開くことができました。新型コロナウイルスの猛威は3年余におよび、なお収束のめどは立っていないなか、さまざまな制約のもとでの開催となりました。この間も私たちは、かつてない長期にわたる困難をのりこえて自治会活動をつづけ、全国統一行動を成功させ、3年ごとの団地生活アンケート、都市機構交渉、国会要請等々にとりくみ、住まいと団地コミュニティを守ってきました。
 全国の各団地代表が、居住者の切実な願いや活動成果をもちより、一堂に会して交流しあえたこと自体、大きな喜びです。この1年の自治協活動の経過と情勢報告、それにもとづく活動方針案、予算案を確認し、役員体制を決めて、新年度活動はスタートします。
 公団住宅に住む私たちの生活と要求、各自治会・自治協に課せられた課題は、団地生活アンケートにも示されているように明白です。課題解決のカギがどこにあるか、何をなすべきかは、これまでの活動をとおしてますます明確になってきています。また目標にむかっての活動をつうじ数多くの具体的成果をおさめ、活動方針への確信を深めてきました。

 この団地に住みつづけたい、家賃負担が重すぎると訴える居住者の切実な願いと、「住宅セーフティネット」「家賃減免」の法令を履行せず、家賃収入の最大化と住宅削減、団地再開発を目標の第一にかかげる機構方針との矛盾はますます拡大し、居住者の居住不安は深まっています。くわえて、大量の空き家放置の一方で、コロナ禍のなかでも家賃引き上げをはかる最近の動きは、公団住宅の公共的役割のあからさまな放棄を危惧させます。
 機構法25条4項は「家賃支払い困難者への減免」を規定し、「住宅セーフティネット法」は国民すべての住宅確保の政府責任を明記しています。私たちの居住のさしせまった困難と不安の最大の根源は、政府自体がこれらの法令を守っていないこと、法令を定めた国会が政府の不履行を見逃していることにあります。私たちは、機構交渉はもとより、政府要求、国会要請を強めていかねばなりません。  
 家賃については、機構法の減免条項の実施を基軸に要求します。居住者に移転を強いる「団地再生」事業には、居住者の「借家権」をもとに、十分な協議と合意を要求します。なお団地再生は、機構がその手法の一つにかかげる住宅「改善」からを要求します。
 私たちは、自治協活動60年をつうじ、各団地に自治会、地方には自治協、そして全国自治協とネットワークを広げ、住まいの向上につとめ、公団住宅を公共住宅として守り抜き、地域の主人公としてまちづくりにも寄与してきました。さらには国政においても一定の地歩をきずき、それが私たちの活動とその成果の土台となっています。
 この土台と方針に確信をもち、励ましあって、さらに活動を進めましょう。
 以上、決議します。
                     
       2022年6月19日
全国公団住宅自治会協議会第49回定期総会



 
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