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機構法25 条4項「家賃の減免」実施を
公団住宅の売却・削減・統廃合に反対
全国公団住宅自治会協議会第46回定期総会を開催
 全国公団住宅自治会協議会は6 月15 日・16 日の2 日間、第46 回定期総会を群馬県安中市の磯部ガーデンで開催、北海道から九州まで102 団地の自治会代表と全国自治協役員ら208 人が参加しました。
 この一年、全国の団地自治会が結集して暮らしと住まいを守る運動を展開し、情勢を切り開いてきました。これからも団地の豊かなコミュニティと公共住宅としての住まいを守る運動への決意を新たにしました。
 公団住宅をめぐる情勢は引き続き厳しく、公団住宅居住者の多くが高齢化・収入低下で家賃負担の重さに悩み、住み続けていくことへの不安を抱いています。2018 年度は、 機構法25 条4項「家賃の減免」の実施、 公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対、修繕費の居住者負担の見直しを掲げて運動し、修繕負担見直し等で大きな成果を挙げました。
 総会では、住宅政策、修繕など住環境の問題、団地再生、収入に応じた家賃・家賃の減免・高家賃等の問題、団地管理と共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、居住者の高齢化と見守り、組織拡大̶̶等、2 日間で延べ40 人の代議員が発言。安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認、2019 年度の活動方針を採択しました。この後、役員18 名と会計監査2 名の2019 年度の役員体制を提案、承認されました。
 最後に、家賃支払いが困難な居住世帯に機構法25 条4 項「家賃の減免」の実施、ストック活用・再生ビジョンに沿った「団地別整備方針」に対し、公団住宅の削減・売却に反対、賃貸借契約書12 条の改正に伴う室内の修繕要求̶̶等の、総会決議が全会一致で採択されました。
102団地自治会から208名が参加
 総会1 日目は午後2 時、石川敏宏代表幹事が開会宣言。議長に福井昭雄氏(関西)、樫見正敏氏(東京23 区)の両代議員を選出、議事運営委員7人を議長が任命しました。今総会の開催担当自治協として東京23 区自治協の中島政幸事務局長が歓迎のあいさつを、鈴木照子代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)をしました。
 総会に寄せられたメッセージ(別掲)を阿部京子幹事が紹介。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆院議員、同議連幹事長・平口洋衆院議員、同議連事務局長・秋元司衆院議員、公明党代表・山口那津男参院議員、立憲民主党UR住宅居住者を支援する議員連盟会長・末松義規衆院議員、国民民主党旧公団居住安定化推進議員連盟会長・大島九州男参院議員、同党副幹事長・小宮山泰子衆院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党副党首・福島みずほ参院議員、国土交通省・石田優住宅局長、独立行政法人都市再生機構・谷口実住宅経営部長、(株)URコミュニティ・香川隆裕代表取締役社長、日本総合住生活株式会社・廣兼周一代表取締役社長から祝いのメッセージが、さらに全国公社住宅自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。また、(株)URコミュニティ・吉富俊昭東日本エリア統括役から祝電が寄せられました。
 議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数212 名、出席101名、委任111名、合計212名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2018 年度活動経過報告と2019 年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。Ⅰ-1. 公団住宅をめぐる政策の推移60 年 Ⅰ-2. 国の責任放棄と居住貧困の拡大 Ⅱ .都市機構の第4期中期目標および計画がしめす経営方針  Ⅲ .当面する主要課題と運動の到達点… 機構法25条4項「家賃の減免」実施、「 ストック活用・再生ビジョン」̶公団住宅削減・売却、統廃合反対、改正民法に即した家主義務の実現と修繕・住環境改善の促進  Ⅳ .むすびに̶̶等が議案書に沿って述べられました。
 2018年度活動経過報告と2019年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、①家賃の減免と引き下げを要求する②居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減・統廃合に反対する③定期借家契約の導入・拡大に反対④ 2018年全国統一行動…安心して住み続けられる家賃制度を、公共住宅として守ろう⑤「団地再生」への取り組み⑥住みよい住宅・環境をめざして⑦居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る⑧都市機構本社との定例懇談会⑨都市機構本社との連携研究会⑩団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動̶̶等、1 年間の活動と成果が報告されました。
 活動方針では、 ①家賃の減免と家賃引下げを要求する②居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対する③修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する④居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る̶̶等とし、具体的な活動として、国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会・連携研究会の充実、地方自治体と話し合いやはたらきかけを強め、公団住宅をめぐる問題で地方議会へ請願・陳情活動に取り組む、2019年全国統一行動への取り組みなどが提案されました。
 第2号議案「2018 年度決算報告と2019年度予算案」について、佐藤利彦財務局長が決算報告と予算案を提案、野尻伸会計監査が会計監査報告を行いました。この後、討議に入り、千葉・茨城自治協・湖北台団地自治会の代議員を皮切りに12 人が発言しました。
 2 日目は中島議運委員長からの提案後、代議員の質疑・発言が行われ休憩を挟んで約2時間にわたり28人が発言(延べ40 人)。多和田代表幹事が答弁し、幹事会からのまとめを興梠事務局長が行った後、第1 号・ 第3号議案「2019年度役員の承認」では竹内紘一幹事が役員名簿を発表。新たに角和子代表幹事、澁谷哲男幹事が加わった役員18 名と会計監査2 名を拍手で承認し、新年度の役員を代表して多和田代表幹事が「年に1回全国から集まり、元気な顔を見ることがお互いの励ましになる。役員が承認され、新しい情勢に向かって進んでいきたい。皆さんの支援・協力がなければ出来ないこと。各団地で組織を広め力を強めていこう」とあいさつ。続いて今総会で退任する馬場善郎幹事、野尻会計監査が退任のあいさつを行い(林守一代表幹事は欠席)、「総会決議」(別掲)案を谷代久恵幹事が提案、全員の拍手で採択しました。
 議長退任後、廣田政典幹事が「来年の第47回定期総会は北九州・福岡自治協が担当し、福岡県宗像市で開催。多くのみなさんのご参加をお願いする。また元気でお会いしましょう」とあいさつし、全国自治協第46回定期総会は成功裏に終了しました。第2号議案について代議員の大きな拍手で承認・採択しました。


鈴木代表幹事あいさつ(要旨)

 全国自治協は、関東自治協から60年、都県別に分かれて40年。この間、家賃の繰り返し値上げ、居住者追い出しにも等しい建て替えとの闘いを余儀なくされながら、政府の公団住宅廃止・民営化方針を食い止めてきた。
 2018年度は運動が大きく展開された。①・家賃の減免措置の実現に向け、千葉、神奈川県議会をはじめ34議会が意見書を提出、また9市長からも要望書が出された。千葉県の意見書には「25条4項家賃の減免の適用」と具体的に明記され今後の運動の大きな力になる。②修繕負担項目の見直しで居住者負担88項目を11項目にさせたことは、居住者の運動の大きな成果。2020年4月施行を2019年1月に前倒しさせ、さらに50年以上の継続居住者に対し優先的に2019年5月から畳床、襖の骨の取り替え、クロスの全面はがれの修繕など、皆さんの運動で実施させた。しかし畳表の取り替え、襖の張り替えなどは居住者負担になっており今後の大きな課題。③高齢者向け優良賃貸住宅の継続について全国自治協を中心に国会議員等へ要請の結果、2019年度予算に組み入れられたことは大きな成果だ。これを機構法25条4項実施の突破口にさせなければならない。④ストック活用・再生ビジョンにより40年代団地の大半がストック活用から再生に変わった。ビジョンには公的賃貸住宅としての位置づけや現居住者への視点はなく、再生により世帯属性に左右されず多様な世代を対象にし、民間事業者等と連携した街づくり、機構資産の価値向上をめざすというもの。
 再生という名で追い出されるのではないかということも危惧される。公的賃貸住宅の不足が明らかな今、ビジョンは公団住宅の削減、売却、統廃合の加速を目指すもの、これには反対する運動を進めていく。40年代団地は大半が高齢者、私たちは終の棲家として安心して住み続けられる公団住宅、住環境の改善を求めていこう。

集 会 決 議

 私たちは6月15・16日の両日、第46回定期総会を群馬県安中市内で開きました。総会には全国99団地自治会の代議員と執行部役員120名、傍聴者88名が出席しました。国会議員、各政党、都市再生機構ほか諸団体から数多くのご祝辞が寄せられました。私たちの暮らしの現状、公団住宅と住まいをめぐる情勢と課題、この1年の活動と成果を確かめあい、2019年度の活動方針と役員体制を決めました。
 私たちの活動は、関西にはじまり関東に協議会を設立(1960年)して60年になります。歴代内閣はこの間、家賃のくりかえし値上げ、居住者追い出しの建て替えを圧しつけてきました。住宅政策の根本を「公共責任から民間企業まかせ」に転換し、政府が公団住宅廃止・民営化方針を決めるなか私たちは、これをくい止め、公団住宅と住まいを守ってきました。しかし住まいの困難と不安は強まっています。今その本源は2013年12月24日の閣議決定にあります。
 都市機構はこの指示にしたがい、家賃収入の最大化と団地管理コストの縮減をはかり、収益性の低い団地の削減・統廃合、民間事業と一体の団地「再生」事業を進めています。
 私たちは2018年度、3つの目標、①機構法25条4項「家賃の減免」の実施、②公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対、③修繕費の居住者負担の抜本見直しをかかげて活動し、大きな成果をあげ、貴重な画期を記しました。

 「公営住宅収入層には家賃の減免を講ずる」との国土交通大臣の国会答弁(2016年11月)にもかかわらず、機構は法令不履行を認めざるをえず、私たちの要求にたいする共感は国会各党にも広がっています。そうしたなかで高齢者向け優良賃貸住宅の家賃減額の期限後継続は実現しました。公営住宅収入層すべてに等しく家賃の減免・補助をすべきは国政の喫緊の責務です。私たちはその実現にむけ与党をはじめ全党にたいし国会要請を強めていきます。
 機構は「UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョン」を発表し、既存建物「活用」は25万戸とし、建て替え・集約など「再生」団地を45万戸に拡大、2033年までに新規建設をふくめ65万戸程度に削減するとしています。「再生」による整備敷地は72%を民間に売却しています(2018年度実績)。新ビジョンからは住宅セーフティネット機能への視点は遠のき、「民間事業者等との連携」は重視しても「居住者自治会との協議」はなく、団地とその地域の再開発事業を前面に押しだしています。このビジョンに沿って「団地別整備方針」を作成し、団地ごとに多様な手法を使って動きをみせます。各自治会にとって今後の大きな課題となります。
 修繕費の負担区分見直しの要求が実現して、居住者負担81項目は11項目に減り、「修繕の家主義務」は法律上もいっそう明確になりました。賃貸借契約書12条の改正にともない、修繕要求の居住者権利も広がっています。この成果を全居住者のものとして各団地で室内修繕を大いに進めるとともに、消費税増税のもとでも修繕費の3%以上削減をかかげる機構の修繕・環境改善の進捗と共益費運用にきびしく注目しなければなりません。

 以上みたように、私たちはきびしい情勢のもとで、数々の成果をあげて確信を深め、活動の土台と見通しを広げることができました。問題の所在も明らかになりました。各自治会での結束と地方自治協の連帯を強め、全国の団地居住者が一体となり共に活動を進める決意を新たにしました。
 なお、目前に主権者として国の進路を選択できる国政選挙をひかえています。自治協方針は、住まいの問題とともに、「暮らしと権利、憲法と平和を守る」課題をかかげています。このチャンスを活かしきり、私たちの願いの実現にむけて国政を根底から問い直し、主権者としての意思をきっぱり表明することは決定的に重要であり、この点もあわせて本総会で確認しました。

  以上、決議します。
                      2019年6月16日   全国公団住宅自治会協議会第46回定期総会
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