メッセージ             代議員発言              home top
高家賃政策に反対、住み続けられる家賃制度を
全国公団住宅自治会協議会第45回定期総会を開催
 全国公団住宅自治会協議会は6月16日、17日の2日間、第45回定期総会を愛知県犬山市の名鉄犬山ホテルで開催、北海道から九州まで105団地から231人の団地自治会代表と役員が参加しました。この一年、全国の団地自治会が結集して暮らしと住まいを守る運動を展開し、情勢を切り開いてきました。これからも団地の豊かなコミュニティと公共住宅としての住まいを守る活動に新たな決意を固める総会となりました。
 公団住宅をめぐる情勢は引き続き厳しく、公団住宅居住者の多くが高齢化・収入低下で家賃負担の重さに悩み、住み続けていくことへの不安を抱いています。昨年9月に行われた第11回団地の生活と住まいアンケート調査の集計結果から、世帯主65歳以上が68.4%、ひとり住まいが40.8%、年金受給世帯は7割を超え、世帯収入353万円未満の世帯が7割を占め、8割近い世帯が家賃負担が重いと感じている――という実態を各党議員へ訴え、公団住宅が住宅セーフティネットとして役割を果たせるよう「家賃の減免」、公営住宅入居対象層世帯は公営住宅並み家賃に引き下げること、高優賃住宅の継続――等を要請してきました。
 総会では、住宅政策、修繕など住環境の問題、集約事業等の団地再生、収入に応じた家賃・家賃減免・建て替え後高家賃等の問題、団地管理と共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、居住者の高齢化と見守り、組織拡大――等、2日間で延べ36人の代議員が発言。安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認、2018年度の活動方針を採択しました。この後、役員18名と会計監査2名の2018年度の役員体制が提案・承認され、最後に、・家賃支払いが困難な居住世帯に機構法25条4項「家賃の減免」の実施要求。・「団地別整備方針」策定に対し、公団住宅の削減・売却に反対し、貴重な資産として良好に維持・発展させることを要求。・室内修繕の不当な居住者負担をやめさせる。・家賃をはじめ修繕費負担などの問題は、機構との定例懇談会の「議題」とし、協議することを要求――等の、総会決議が全会一致で採択されました。
 総会1日目は午後2時、この1月に逝去された渡辺志げ子代表幹事(千葉・茨城)へ参加者全員で黙祷を捧げ、馬場善郎代表幹事が開会宣言。議長に木村冬樹さん(東海)、樫見正敏さん(東京23区)の両代議員を選出、議事運営委員6人を議長が任命しました。先ず来賓として江南市の澤田和延市長があいさつ、今総会の開催担当自治協として東海自治協の高笠原晴美会長が歓迎のあいさつを、楓健年代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)をしました。
 総会メッセージ(別掲)を谷代久恵幹事が紹介。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆院議員、同議連幹事長・平口洋衆院議員、同議連事務局長・秋元司衆院議員、公明党代表・山口那津男参院議員、立憲民主党UR住宅居住者を支援する議員連盟会長・末松義規衆院議員、国民民主党旧公団居住安定化推進議員連盟会長・大島九州男参院議員、同党副幹事長・小宮山泰子衆院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首・又市征治参院議員、国土交通省・伊藤明子住宅局長、独立行政法人都市再生機構・田島満信住宅経営部長、(株)URコミュニティ・山崎治平代表取締役社長、日本総合住生活株式会社・廣兼周一代表取締役社長から祝いのメッセージが、さらに全国公社自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。また、当日までに公明党UR住宅等の居住の安定等推進委員会事務局長・富田茂之衆院議員、(株)URコミュニティ・佐村河内義哉中部エリア統括役、日本総合住生活(株)名古屋支社・土屋邦夫支社長から祝電が寄せられました。
 議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数216名、出席104名、委任112名、合計216名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2017年度活動経過報告と2018年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。・はじめに―国民居住の現状と住宅政策の特徴 ・私たちの住まいの現状 ・機構法25条4項「家賃減免」条項の実施を要求する ・家賃は下げられる―機構の営業目標と財務を見る ・「団地別整備方針」策定に自治会参加―合意形成を要求する ・住宅修繕・住環境改善の促進、団地管理水準の向上を要求する ・むすびに――等が議案書に沿って述べられました。
 2017年度活動経過報告と2018年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、・高家賃政策に反対、安心して住みつづけられる家賃に ・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却、削減、統廃合に反対する ・定期借家契約の導入・拡大に反対 ・第11回団地の生活と住まいアンケート活動の取り組み ・2017年全国統一行動…安心して住み続けられる家賃制度を、公共住宅として守ろう ・「団地再生」への取り組み ・住みよい住宅・環境をめざして ・居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る ・都市機構本社との定例懇談会 ・都市機構本社との連携研究会 ・団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動――等、1年間の活動と成果が報告されました。
 活動方針では、 ・家賃の減免と家賃引下げを要求する ・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対する ・修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する ・居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る――等とし、具体的な活動として国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会・連携研究会の充実、地方自治体と話し合いやはたらきかけを強め、公団住宅をめぐる問題で地方議会へ請願・陳情活動に取り組む、2017年全国統一行動への取り組みなどが提案されました。
 第2号議案「2017年度決算報告と2018年度予算案」について、佐藤利彦財務局長が決算報告と予算案を提案、中島正憲会計監査が会計監査報告を行いました。この後、討議に入り、埼玉自治協・新所沢団地自治会の代議員を皮切りに13人が発言しました。
 2日目は中島議事運営委員長からの提案後、代議員の質疑・発言が行われ休憩を挟んで約2時間にわたり23人が発言(延べ36人)。幹事会からのまとめを興梠事務局長と楓代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の大きな拍手で承認・採択しました。
 第3号議案「2018年度役員の承認」では澁谷哲男幹事が役員名簿を発表。新たに青木有倶代表幹事、阿部京子、廣田政典幹事が加わった役員18名と会計監査2名を拍手で承認し、新年度の役員を代表して鈴木照子代表幹事が「厳しい情勢でも、自治会・自治協が一体となれば国会議員を動かすこともできる。安心して住み続けられる公団住宅をめざし、これからもみんなで頑張っていこう」とあいさつ。続いて今総会で退任する澁谷哲男、松尾由美子幹事、中島正憲会計監査が退任のあいさつを行い、「総会決議」(別掲)案を松尾由美子幹事が提案、全員の拍手で採択しました。
 議長退任後、林守一代表幹事が「来年の第46回定期総会は東京23区自治協が担当し、群馬県安中市で開催、多くのみなさんのご参加をお願いする。また元気でお会いしましょう」と閉会あいさつを行い、全国自治協第45回定期総会は成功裏に終了しました。


楓代表幹事あいさつ
(要旨)

 大家の都市機構は、建て替えという言葉を使わずに「再生」と言い、再生の中身は如何に整備敷地をつくり売却していくか、売れるところは売るこれが再生だ。儲かることはやり儲からないことはやらない。儲かるか儲からないかで団地をどうするか決めようとしている。国の政策だろうが、建て替えてもそれが回収できないところは建て替えない、修繕もやらない。儲かるところは修繕を進めていく差別化がおこなわれている。遠隔地の団地、中部圏では富山、石川、静岡では次から次からと売却されている。機構の中期計画では5万戸減らすと、機構には空き家が8万4000戸あり入居しなければ自然と減っていく。将来的には74万戸の賃貸住宅を55万戸まで減らしていく計画を持っている。今、日本の公共賃貸住宅は極めて厳しい状況に置かれている。修繕等の仕事は全て競争入札で、他の会社が落とすとその中で働いているJS等の人たちは5年間仕事がなくなる、造園もしかり。公団住宅を日本の公共住宅の柱として残していくか重要な問題であり、どうしても残していきたい。2日間、こうした問題を論議するが熱心な討論をお願いする。東海自治協は約50名が参加、犬山の総会が想い出に残るようしっかりと頑張りたい。


総 会 決 議

 私たちはこの両日、第45回定期総会を愛知県犬山市内で開きました。総会には105団地自治会から代議員と役員123名、傍聴者ほか108名が出席しました。国会議員、政党、団体等から21通の祝辞がよせられました。私たちの暮らしの現状、住まいをめぐる情勢と課題、この一年の活動と成果を確かめあい、2018年度の活動方針と役員体制を決めました。
 総会決議にあたり、まず見すえなければならないのは、安倍政権のおそるべき権力の私物化です。首相の森友・加計疑惑が、公文書改ざん、隠ぺい、廃棄、虚偽答弁をひきおこし、国民・国会を欺きつづけています。この強権と腐敗の政権を問うことなしに、私たちの暮らしと住まいを守ることもできません。
 都市機構は、2016年に家賃改定ルールを改悪しました。そしていま団地統廃合・売却の促進と管理コストの徹底削減にむけて「団地別整備方針」の2018年度内策定を急いでいます。機構のこの大方針は安倍内閣の閣議決定(2013年12月24日)によるものです。
 昨年9月の第11回「団地の生活と住まいアンケート」では、8割をこえる居住者が居住安定への切なる願いとともに、家賃負担の重さ、団地削減による移転の不安を訴えています。また居住者の高齢化、設備の劣化に対応する住宅修繕、住環境の改善も要望しています。これらの願い、要求にこたえるのは自治会・自治協であり、その実現のため、本日決めた活動方針を居住者みんなが力を合わせやりぬくことを確認しました。
 第1の課題は「家賃減免」の実施要求です。機構法25条は市場家賃を原則としながらも、第4項を設け、規定家賃の支払いが困難になった世帯にたいする「家賃減免」を定めています。機構はこの条項をまったく履行せず、家賃滞納者を退去させています。機構に住宅セーフティネット機能はありません。私たちは家賃減免の実施、公営住宅収入層には公営並み家賃への引き下げを要求します。
 第2に、「団地別整備方針」策定にたいし取り組みます。この方針は、資産売却にむけて団地それぞれの存否を方向づけ、団地管理に差別をもちこみ、コスト削減を徹底させるものです。公共住宅の絶対的不足が明らかないま、公団住宅の削減・売却にはあくまで反対し、貴重な国民資産として良好に維持・発展させることを要求します。居住者には借家権があり、正当事由のない追い出しはできません。私たちは結束してこの権利を守り、わが住まいと公団住宅を守っていきます。
 第3に、室内修繕の不当な居住者負担を止めさせます。国土交通省は民法改正をまえにこの3月、「賃貸住宅標準契約書」を改正しました。原則すべて貸主負担とし、借主負担は電球やヒューズの取り替えなど費用の軽微なものに限りました。畳床やふすま建具などまでも居住者負担にしている機構の契約書12条の不当性は明白です。機構の修繕義務と負担の速やかな見直しを要求します。
 第4には、家賃をはじめ修繕費負担など契約当事者間の問題は、自治協・機構の定例懇談会の「議題」とし、しっかり協議することを要求します。借家法上、両者に家賃の増減請求権が認められ、変更は協議を前提としています。しかし機構は協議に背をむけ議題にすることを拒みつづけています。居住者の居住の安定を守り、両者の関係を正常・円滑にして公団住宅を維持発展させるうえで、家賃問題を議題とした協議は必須の条件です。
 私たちの住まいへの危惧は、暮らし全体をふくめて国政の現状、さらには国の進路への不安ともつながっており、活動方針に「暮らしと権利、憲法と平和を守る」課題をかかげました。各団地自治会・地方自治協で独自に、あるいは共同して多彩な活動にとりくみ、全国的にも連帯の輪を広げ、組織を元気に強くすることが、諸要求実現の何よりの土台です。全国自治協は知恵と力を結集し、本総会で確認しあった目標にむかって、ひきつづき頑張っていきます。
以上、決議します。
                    2018年6月17日   全国公団住宅自治会協議会第45回定期総会

メッセージ         代議員発言         home         top