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高家賃政策に反対、住み続けられる家賃制度を
全国公団住宅自治会協議会第44回定期総会を開催
 全国公団住宅自治会協議会は6月17日、18日の2日間、第44回定期総会を新潟県湯沢町の湯沢グランドホテルで開催、北海道から九州まで105団地から225人の団地自治会代表と役員が参加しました。この一年、全国の団地自治会が結集して暮らしと住まいを守る運動を展開し、情勢を切り開いてきました。これからも団地の豊かなコミュニティと公共住宅としての住まいを守る活動に新たな決意を固めた総会となりました。
 公団住宅をめぐる情勢は引き続き厳しく、都市機構は閣議決定に従った新家賃改定ルール、いっせい改定から各契約更新日ごとの個別改定にした継続家賃の値上げをこの4月から実施しています。また、閉会した国会では住宅セーフティネット法が改正されました。国は居住の貧困が拡がっていることを認めながらも、民間の空き家を活用し登録制で住宅困窮者に提供する…国民の居住の公共責任を放棄し、民間事業者任せに転換するための法改正が行われました。衆参国会審議に際し、各党議員へUR賃貸住宅居住者の生活実態を訴え、公団住宅が住宅セーフティネットとして役割を果たせるよう「家賃の減免」、公営住宅入居対象層世帯は公営住宅並み家賃に引き下げること、高優賃住宅の継続――等を要請してきました。
 総会では、住宅政策、アスベスト・EV設置・修繕など住環境の問題、集約事業等の団地再生、収入に応じた家賃・家賃減免・建て替え後高家賃等の問題、団地管理と共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、居住者の高齢化と見守り、組織拡大――等、2日間で延べ43人の代議員が発言。
 厳しい情勢の中、安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認、2017年度の活動方針を採択しました。
 この後、役員19名と会計監査2名の2017年度の役員体制が提案・承認され、最後に、①公団住宅を公共住宅として守り、売却・削減に反対。②家賃支払いが困難な居住世帯に機構法25条4項「家賃の減免」の実施、公営住宅収入世帯には公営並みに家賃の引き下げを。③公営住宅をはじめ公共住宅政策を取り戻し、広く「家賃補助」制度の早期実現を――等の、総会決議が全会一致で採択されました。
 総会1日目は午後2時から林守一代表幹事の開会宣言で始まり、議長に中居睦子さん(東京多摩)、野尻伸さん(神奈川)の両代議員を選出。議事運営委員6人を議長が任命、今総会の開催担当自治協として東京多摩自治協の片岡規子副会長が歓迎のあいさつを述べ、楓健年代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)しました。
 総会メッセージ(別掲)を鈴木照子代表幹事が紹介。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆院議員、同議連幹事長・平口洋衆院議員、同議連事務局長・秋元司衆院議員、民進党旧公団住宅居住安定化推進議員連盟会長・大島九州男参院議員、公明党代表・山口那津男参院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首・吉田ただとも氏、国土交通省・由木文彦住宅局長、独立行政法人都市再生機構・吉田滋住宅経営部長、(株)URコミュニティ・山崎治平代表取締役社長、日本総合住生活株式会社・廣兼周一代表取締役社長からのメッセージが、さらに全国公社自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。また、当日までに公明党UR住宅等の居住の安定等推進委員会事務局長・富田茂之衆院議員、(株)URコミュニティ・松橋武則東日本エリア統括役から祝電が寄せられました。
 議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数218名、出席104名、委任114名、合計218名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2016年度活動経過報告と2017年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。①はじめに ②住宅セーフティネット法改正にみる住宅政策の特徴 ③機構法25条4項「家賃減免」条項の実施要求と空き家解消 ④家賃改定ルール変更後の状況と団地別「整備」実施方針の確定 ⑤むすびに――等が議案書に沿って報告されました。
 2016年度活動経過報告と2017年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、 ①高家賃政策に反対、安心して住みつづけられる家賃に ②居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却、削減、民営化に反対する ③定期借家契約の導入・拡大に反対 ④2016年全国統一行動 ⑤「団地再生」への取り組み ⑥住みよい住宅・環境をめざして ⑦居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る ⑧都市機構本社との定例懇談会 ⑨都市機構本社との連携研究会 ⑩団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動――等、1年間の活動と成果が報告されました。
 活動方針では、 ①高家賃政策に反対、安心して住みつづけられる家賃に ②居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、団地統廃合に反対する ③修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する ④居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る――等とし、具体的な活動として国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会・連携研究会の充実、第11回団地の生活と住まいアンケート調査、2017年全国統一行動への取り組みなどが提案されました。
 第2号議案「2016年度決算報告と2017年度予算案」について、佐藤利彦財務局長が決算報告と予算案を提案、石山暢江会計監査が会計監査報告を行いました。この後、討議に入り、千葉・茨城自治協・湖北台団地自治会の代議員を皮切りに18人が発言しました。
 2日目は中島政幸議事運営委員長からの提案後、代議員の質疑・発言が行われ休憩を挟んで約2時間にわたり25人が発言(延べ43人)。幹事会からのまとめを楓代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の拍手で承認・採択しました。
 第3号議案「2017年度役員の承認」では木村憲正代表幹事が役員名簿を発表。新たに馬場善郎代表幹事、澁谷哲男、竹内紘一、松尾由美子幹事が加わった役員19名と会計監査2名を大きな拍手で承認し、新年度の役員を代表して渡辺志げ子代表幹事が「厳しい状況の中でも、自治会・自治協が一体となれば国会議員を動かすこともできる。安心して住み続けられる公団住宅をめざし、これからもみんなで頑張っていこう」とあいさつ。続いて今総会で退任する松谷栄代表幹事、片岡規子、髙柳睦子幹事、石山暢江会計監査が退任のあいさつをしました(もう一人の黒岩宣征幹事は欠席)。40数年にわたって全国自治協の役員を歴任した片岡氏へ幹事会を代表して楓代表幹事から花束が贈られ、これまでの功績を振り返り感謝の言葉を述べました。「総会決議」(別掲)案を谷代久恵幹事が提案、全員の拍手で採択しました。
 議長退任後、高笠原晴美幹事が「来年の第45回定期総会は東海自治協が担当し、愛知県犬山市で開催するので多くのご参加をお願いしたい。また元気でお会いしましょう」と閉会あいさつを行い、全国自治協第44回定期総会は成功裏に終了しました。

楓代表幹事あいさつ
(要旨)
 今、全国自治協が取り組んでいる安心して住み続けられる団地が、政府側の立場から言えば正に危機的な状況に置かれている。4月末に住宅セーフティネット法が改正された。政府は住宅困窮者の住宅が足りないということを認めているが、公共賃貸住宅を建てるという気は全くない。それを解決するため民間の空き家を利用し、そこに入って貰うための法改正だ。日本の公共住宅政策は存亡の危機に立たされており、安心して住み続けられる住宅を、と進めている私たちの運動はますます重要になっている。
 この4月から新ルールに基づき家賃改定が行われている。入居した月に値上げ、一斉値上げではなく毎月どこかの団地で値上が行われ、自治会は非常に実態を掴みにくい状況だ。すでに継続家賃で5,000円近い値上げ通告が来ているところもあり、現在の日本の経済事情では大変大きな負担だ。年金を減らし、医療費等の負担を増やし、住宅には住みにくくする政策に、憲法で保障されている権利、安心して住み続けられる住宅を政府は責任を持って提供すべきだと声を大きくしたい。政府は自らは建てない、地方自治体でと言う。しかし地方自治体は住宅を建てられるような状況にない、精々東京都ぐらいだ。
 全国自治協は昭和49年に第1回定期総会を開催し今回で44回、各団地では高齢化が進み子供をもうけるような若い夫婦が非常に少なくなってきている。少子高齢化問題に一番真剣に取り組んでいるのは団地自治会・居住者である。管理者である都市機構はもっと関わりを持つべきで国ももっと責任を持つべきだ。みなさんの活動・団地での現象を通して、この総会で問題提起をしていただき議論して、私たちの進む方向を決めていきたい。

集会決議

 私たちは6月17・18日の両日、新潟県湯沢町で第44回定期総会を開きました。全国105団地自治会から代議員と役員126名、傍聴者99名をふくめ総勢225名が参加しました。各政党、団体等からは18通の祝辞が寄せられました。私たちの住まいをめぐる情勢と課題、この1年の活動と成果、到達点を確かめあい、2017年度の活動方針と執行体制を決めました。
 情勢はますます厳しくなっています。私たちの生活の実態や居住安定の願いとは逆の政策がつぎつぎ進められているからです。年金世帯は居住者の半数をこえ、増えつづけています。収入は低下、蓄えも底をつくなかで、政府は頼みの年金をカット、医療介護等の負担も引き上げてきています。家計の大半を占める家賃にたいし、都市機構は2016年には家賃収入の最大化をとなえて改定ルールを変更し、さらなる値上げを図っています。家賃負担の重さにくわえて、住居そのものが削減されていく不安も深刻です。機構は全団地について集約や統廃合などをふくめ団地別「整備」方針の2018年度内確定を急いでいます。公団住宅の将来と居住の安定をおびやかすこれらの政策は、安倍内閣のもとで「閣議決定」により直接指示され、機構はそれを錦の御旗に強行してきています。国民の願いに背く政策は、国民の生活を壊し、みずから政策の矛盾を深めるばかりです。
 「住まいは福祉、住まいは人権」をかかげる私たちの運動をまえに、20年余にわたる歴代内閣の公団住宅廃止・民営化方針は頓挫しました。これに無反省に今国会では住宅セーフティネット法を改正しました。低廉な家賃の公共住宅はむしろ減少して絶対的に不足しており、居住の貧困が広がっている現状を政府も認めながら、法改正の目的は、国民居住への公共責任を事実上投げだし、住宅セーフティネットを「民間空き家の活用」、民間事業者まかせに転換するものです。しかし付帯決議に、「公営住宅を始めとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努める」を第1項にあげざるを得なかったのは、国民の居住安定の要求は切実であり、あるべき解決の方向と責任の所在ももはや明らかだからです。
 公営住宅法は、住宅に困窮する国民にたいし健康で文化的な生活を営むに足る住宅を低廉な家賃で供給する国および自治体の義務を明記しています。都市機構法25条4項も、規定の家賃の支払いが困難になった場合の「家賃の減免」を定めています。昨年11月の国会質疑では、機構は本条項にもとづく措置をまったく実施していない事実を示さざるを得ず、国土交通大臣は、公営住宅の入居基準に該当する世帯には家賃減免措置を講じてまいりたいと明言しました。
 政府がつくりだした居住の現状と私たちの要求は、いまや明白です。私たちは、①公団住宅を公共住宅として守り、売却・削減に反対します。②機構規定の家賃支払いが困難な居住世帯に機構法25条4項「家賃の減免」の実施、公営住宅収入世帯には公営並みに家賃の引き下げを要求します。あわせて、③公営住宅をはじめ公共住宅政策をとり戻し、広く「家賃補助」制度の早期実現を要求します。
 私たちは活動方針に、住まいと暮らしを守る課題とともに、平和を守り、憲法を生活に活かす課題をかかげました。いま私たちに迫っている生活の困窮は、乱暴な国会運営、政権内のあいつぐ疑惑やモラル崩壊、そして国の進路にさえ重大な危惧をいだかざるをえない国政の動きと一体のものです。「戦争のできる」国づくり、「国民は知らされず」「監視され、ものが言えない」時代の再来は断じて許さない、その決意と悔いのない行動が求められています。
 公共の住宅に暮らし、地域コミュニティを共同して培ってきた私たちは、各団地での活動をいっそう盛んにするとともに、全国自治協への結集をさらに強めて、本総会で確認しあった目標にむかい、ひきつづき頑張っていきます。
 以上、決議します。
                  2017年6月18日     全国公団住宅自治会協議会第44回定期総会
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