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高家賃政策に反対、住み続けられる家賃制度を
全国公団住宅自治会協議会第43回定期総会を開催
 全国公団住宅自治会協議会は6月18日、19日の2日間、第43回定期総会を群馬県みなかみ町の水上ホテル聚楽で開催、北海道から九州まで112団地から256人の団地自治会代表と役員が参加しました。この一年、全国の団地自治会が結集して暮らしと住まいを守る運動を展開し、情勢を切り開いてきました。これからも団地の豊かなコミュニティと公共住宅としての住まいを守る活動に新たな決意を固めた総会となりました。
 公団住宅をめぐる情勢は引き続き厳しく、都市機構は安倍内閣の閣議決定に従い家賃改定ルールの見直しを行い、改定周期は3年から2年に短縮され、いっせい改定から各契約更新日ごとの個別改定になったこと。さらに機構は団地管理や修繕などのコスト削減を求められ、東日本賃貸住宅本部を中心に広域的な組織再編を行っています。これらに対し全国自治協はたゆまない運動を継続してきました。家賃改定ルールの見直しでは、当初、所得10万4000円以下に改めるとしていた低所得高齢者世帯への特別措置をこれまでどおりとし15万8000円を維持させたこと、継続家賃改定による増収額を含む家賃収入は賃貸住宅に優先的に充当する―等、一定の成果を得ることが出来ました。 
 総会では、住宅政策の確立、耐震改修と修繕など住環境の問題、集約事業や借地市街地等の団地再生、収入に応じた家賃・家賃減免・高家賃等の問題、団地管理と共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、居住者の高齢化と見守り、組織拡大、憲法と平和―等、2日間で延べ42人の代議員が発言。
 公団住宅をめぐる厳しい情勢の中、安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認し、2016年度の活動方針を採択しました。この後、役員20名と会計監査2名の2016年度の役員体制が提案・承認され、最後に「住まいは人権、住まいは福祉」の声を高め粘り強く活動を継続していこうと総会決議が全会一致で採択されました。

 総会1日目は午後2時30分、林守一代表幹事の開会宣言で始まり、議長に竹村正さん(埼玉)、阿部京子さん(千葉・茨城)の両代議員を選出。議事運営委員6人を議長が任命、今総会の開催担当自治協として埼玉自治協の佐藤利彦会長が歓迎のあいさつを行い、楓健年代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)しました。
 総会メッセージ(別掲)を鈴木照子代表幹事が紹介。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆院議員、同議連幹事長・平口洋衆院議員、同議連事務局長・松本洋平衆院議員、民進党旧公団住宅居住安定化推進議員連盟会長・大島九州男参院議員、民進党・小宮山泰子衆院議員、公明党代表・山口那津男参院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首・吉田忠智参院議員、国土交通省・由木文彦住宅局長、独立行政法人都市再生機構・吉田滋住宅経営部長、(株)URコミュニティ・山崎治平代表取締役社長、日本総合住生活株式会社・廣兼周一代表取締役社長からのメッセージが、さらに全国公社自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。
 また、当日までに自民党・大見正衆院議員、公明党幹事長代理・富田茂之衆院議員、(株)URコミュニティ・松橋武則東日本エリア統括役から祝電が寄せられました。
 議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数223名、出席108名、委任115名、合計213名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2015年度活動経過報告と2016年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。 ・都市再生機構に始まり、住宅政策は大きく後退・変質 ・いま都市機構の目標は何か? ・居住者の現状と高齢者の不安 ・「家賃改定ルール見直し」後の新たな情勢と運動課題 ・団地管理の低下を危惧させる機構の組織改編 ・結びに―等が議案書に沿って報告されました。
 2015年度活動経過報告と2016年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、 ・安心して住み続けられる家賃制度を求めて ・住まいの安定と権利を守る活動 ・定期借家契約の導入・拡大に反対 ・2015年全国統一行動 ・「団地再生」への取り組み ・住みよい住宅・環境をめざして ・都市機構本社との定例懇談会 ・都市機構本社との連携研究会 ・居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る ・団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動―等、1年間の活動と成果が報告されました。
 活動方針では、 ・高家賃政策に反対、安心して住み続けられる家賃に ・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、民営化に反対する ・修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する ・居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る―等とし、具体的な活動として国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会の充実、2016年全国統一行動への取り組みなどが提案されました。
 第2号議案「2015年度決算報告と2016年度予算案」について、佐藤利彦財務局長が決算報告と予算案を提案、谷澤弘昭会計監査が会計監査報告を行いました。この後、質疑等に入り、千葉・茨城自治協・湖北台団地自治会の代議員を皮切りに15人が発言しました。

 2日目は冒頭、先に亡くなられた前財務局長の黒田實氏に全員で黙祷を捧げました。議事運営委員会からの提案後、代議員の質疑・発言が行われ休憩を挟んで約2時間にわたり27人の発言(延べ42人)が行われました。幹事会からのまとめを楓代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の拍手で承認・採択しました。
 第3号議案「2016年度役員の承認」では藤谷昌男代表幹事が役員名簿を発表。新たに木村憲正代表幹事、石川敏宏幹事が加わった役員20名と会計監査2名を大きな拍手で承認し、新年度の役員を代表して渡辺志げ子代表幹事が「厳しい状況の中でも、自治会・自治協が一体となれば国会議員らを動かすこともできる。安心して住み続けられる公団住宅を求め、これからもみんなで頑張って運動を進めていこう」とあいさつ。続いて今総会で退任する藤谷代表幹事(他2名が退任=鈴木まゆみ幹事、谷澤弘昭会計監査)が代表してあいさつしました。「総会決議」(別掲)案を松谷栄代表幹事が提案、全員の拍手で採択しました。
 議長退任後、片岡幹事が「来年の第44回定期総会は東京多摩自治協が担当し、新潟県越後湯沢で開催する。多くのご参加をお願いしたい」と閉会あいさつを行い、全国自治協第43回定期総会は成功裏に終了しました。


楓代表幹事あいさつ(要旨)
 私たちの大家・都市機構は61年前に日本住宅公団としてスタートした。その間、名称が3回変わり、その歴史はそのまま日本の公共住宅の後退の歴史でもある。全国自治協が結成された1974年当時の田中角栄総理は、後援会・越山会の席で150兆円ぐらいの借金は大したことは無い、電電公社・国鉄・日本住宅公団を民営化すれば150兆円は問題ないと。それから43年、NTT、JRになり、名前は変わっても残っているのは都市機構だけ。独法としての機構・公共住宅を守ってきたのは私たち全国自治協の力によるもの、確信を持って運動を進めることが必要。機構は家賃改定ルールを見直し、3年ごとの一斉値上げから2年ごとの個別改定にした。これは我々の統一した運動を破壊するものだ。ルールの中で低所得高齢者等への特別措置を当初、所得10万4千円以下にとしていたが、運動で現行の15万8千円を守り抜いた。また家賃値上げ増収額は修繕に使うという文言の改定ルールからの削除も、賃貸住宅の維持管理に使うとさせた。ルール見直しで機構が繰り返し言ったのは「閣議決定、閣議決定」、これにより我々の家賃改定の仕方まで決められた。国の閣議で外交や防衛を議論するのは当然だが、UR賃貸住宅の家賃改定ルールをどうするかは、せいぜい上に上がっても国交相の範囲、住宅局長でも十分な話。機構は国民共有の財産であるUR賃貸住宅を民間が儲ける道具にしようとしており、絶対に許してはならない。私たちはUR賃貸住宅を公共住宅として守り、子供・孫の世代へ引き継ぐ運動をこれからも継続していく。本総会で決意を新たにしていきたい。


集会決議
 私たちは6月18・19の両日、群馬県みなかみ町において第43回定期総会を開きました。総会には全国107団地自治会から代議員108名をはじめ総数256名が参加し、国会議員、政党、団体等から20通の祝辞が寄せられました。本総会は、私たちの住まいをめぐる情勢と課題、この一年間の活動と成果を確かめあい、2016年度の活動方針と役員体制を決めました。
 都市再生機構は2015年度、前年の団地再編の指針策定につづき、家賃改定ルールの見直しをはかり、全国自治協はこの問題を中心に取り組んできました。団地処分の加速化といい家賃の値上げ強化といい、これまでと大きく違う特徴は、第2次安倍内閣になって、内閣が独立行政法人である都市機構の具体的な方針、施策にまで直接介入し、期限を切ってその「改革」実施を押し付けてきたことです。機構はもっぱら「閣議決定」を理由に問答無用とばかりにこれを強行してきました。団地居住者の実情や願い、セーフティネット住宅としての役割をかえりみず、こうして決められる方針に道理はなく、その実施は暴政といわざるをえません。
 全国自治協は、機構の家賃ルール見直し案の問題点を明確にしたうえで、とくに低所得高齢者世帯等への特別措置改廃に強く反対し、これを取り下げさせました。居住世帯の高齢化と収入低下、過重な家賃負担は、私たちにとって最大の核心的な問題であり、この成果を踏まえ、この視点を基本に、安心して住みつづけられる家賃制度の実現をめざし取り組みを強めていきます。
 機構は、家賃値上げを今後2年ごと、各戸ばらばらにおこなうほか、家賃算定の方式をいっそう不透明なものに変えようとしています。団地ごとの具体的な再編・処分の計画についても、2018年度中の策定を急ぎ、事実上自治会ぬきに進めることが危惧されます。各団地での自治会の結束と独自活動、自治協と連帯しての機構交渉がますます重要になってきています。
 機構は経営の主要目標に、継続家賃の最大限値上げと修繕費・団地管理コストの徹底した削減、団地の売却をあげています。それを遂行するために4月1日、東日本賃貸住宅本部を中心に大きく組織再編をしました。共通してすでに団地管理の水準低下がみられ、「収益本位」を公言しているだけに悪化も予想されます。私たちは団地の主人公、貴重な公共資産として団地を育ててきました。この自覚を深め、機構の「改革」方針にたいする新たな取り組みが求められています。
 阪神淡路大震災から20年がすぎ、ことしは東日本大震災・福島原発事故から5年、そしていま熊本地震がつづき、巨大地震発生の確率上昇も報じられています。住居が人間の生活(生命)になくてはならない基盤であり、家屋を失えば住民の絆、コミュニティも壊れることを身にしみて感じ、にもかかわらず、その住居と地域の復旧・復興が遅れている現実も知らされています。そのなかで既存の公団住宅の優位性とともに、公共住宅の確保・拡充の重要性が改めて実証されています。
 しかし今、私たちに追い打ちをかけている住まいの不安、公共住宅存続の危機は、内閣の決定から来ており、国にたいし国民の居住の安定・向上を実現する住宅政策の確立を願わずにはいられません。住まいの命綱ともいうべき公共賃貸住宅は、所得保障をふくむ社会保障政策と一体のものであるべきです。公的年金では支払えない公共住宅の不当な高家賃設定は、行政欠陥の極みであり、国民の生存権と国の社会保障義務をさだめた憲法25条を国自身がないがしろにするものです。私たちが活動方針に「居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る」をかかげているのも、そのためです。
 公団住宅廃止・民営化を政府方針とさだめて20年、私たちはその流れを堰き止めてきました。「住まいは人権、住まいは福祉」の声高く、世論の支持を広げ、ねばり強く活動を続けているからです。本総会で決めた活動方針に確信をもち、力を出しあい励ましあい、全国一つとなって目標実現にむかい新たに踏み出しましょう。以上、決議します。
     
                2016年6月19日      全国公団住宅自治会協議会第43回定期総会
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