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全国公団住宅自治会協議会第40回定期総会を開催
来年4月の継続家賃値上げ中止を、高家賃引き下げ改定ルール見直しを
 全国公団住宅自治会協議会は6月15日、16日の2日間、第40回定期総会を千葉県勝浦市の勝浦ホテル三日月で開催、北海道から九州まで117団地から311人の団地自治会代表と役員が参加しました。この一年、全国の団地自治会が結集して運動し、前政権の公団住宅分割・株式会社化方針を食い止めました。今総会はこの大きな成果を確認し合い、今後も住まいと団地の豊かなコミュニティを守る活動方針を決定し、新たな決意を固めた総会となりました。
 しかし、引き続き公団住宅をめぐる情勢は厳しく、前内閣の閣議決定の凍結に合わせて、それ以前の自公政権下で決定された公団住宅削減・民営化等の方針は生きていること、都市機構改革に引き続き取り組むことが確認されています。決して油断はできません。また機構が来年4月を予告している継続家賃の改定、高家賃政策による空き家の増大があります。機構は、10%余の空き家を放置しつつも家賃収入の一割を超える純利益を上げており、まず第一に高家賃を引き下げ空き家の解消を図るべきであり、値上げは断じて許せません。いよいよ正念場を迎え、さらなる今後の取り組みが求められています。総会には6党の党首等国会議員他からメッセージが寄せられました。
 総会では、住環境、団地再生、高家賃と空き家増大の問題、団地管理の競争化問題、共益費問題、防災への取り組み、団地のコミュニティ、高齢者の見守り、組織拡大等2日間で延べ44人の代議員が発言、活発な討論が行われました。公団住宅をめぐる厳しい情勢のなか、安心して住み続けられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認し、2013年度の活動方針を採択しました。この後、中田勝男代表幹事に替わり松谷栄幹事が代表幹事に、新たに馬場義郎幹事が加わった役員20名と会計監査2名の2013年度の役員体制が提案・承認されました。全会一致で採択した総会決議では、来年4月実施の家賃値上げ中止、高家賃の引き下げを要求、公団住宅の売却・削減・民営化、定期借家契約拡大に反対、暮らしと平和を守る運動を進める―等が採択されました。
6党の党首等国会議員、住宅局長からメッセージ

117団地自治会から311名が参加
 総会1日目(15日)は午後2時、中田勝男代表幹事の開会宣言で始まり、議長に阿部京子さん(千葉・茨城〜花見川)、井口信治さん(東京多摩〜滝山)の両代議員を選出。議事運営委員7人を議長が任命、今総会の開催担当自治協として千葉・茨城自治協の渡辺志げ子会長が歓迎のあいさつを行い、楓健年代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)しました。
 総会メッセージを鈴木照子代表幹事が紹介。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・平沢勝栄衆議院議員、同議連幹事長・平口洋衆議院議員、同議連事務局長・越智隆雄衆議院議員、民主党旧公団住宅居住安定化推進議員連盟幹事長・大島九州男参議院議員、公明党代表・山口那津男参議院議員、日本共産党中央委員会、生活の党・小宮山泰子衆議院議員、社会民主党党首・福島みずほ参議院議員、国土交通省・井上俊之住宅局長、独立行政法人都市再生機構・伊藤治住宅経営部長、財団法人住宅管理協会・福田秀文理事長、日本総合住生活株式会社・福永清社長からのメッセージが、さらに全国公社自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。議事運営委員長の高笠原晴美幹事が「代議員総数229名、出席116名、委任111名、合計227名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2012年度活動経過報告と2013年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。・はじめに・公団住宅分割・株式会社化方針「当面凍結」の成果・以前に決定し継続する事項とは何か・公団住宅つぶしの起爆剤は機構の財務構造・機構の現職トップたちは語る・国はまず公共住宅政策を確立せよ・定期借家契約導入拡大、借家法改悪を阻止・来年4月1日の家賃値上げ反対、家賃改定ルールの抜本見直しを要求・機構による直接管理の回復は公団住宅を守る必須の条件・むすびに―等が議案書に沿って報告されました。
 2012年度活動経過報告と2013年度活動方針案の提案を興梠信子事務局長が行いました。活動経過報告では、・公団住宅の売却・削減・民営化に反対し、公共住宅として守る活動・安心して住み続けられる家賃めざして・定期借家契約の導入・拡大に反対・2012年全国統一行動・「団地再生」への取り組み・住みよい住宅・環境をめざして・都市機構本社との定例懇談会・都市機構本社との連携研究会・居住者の暮らしと権利、憲法と平和を守る・団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動―等、1年間の活動と成果が報告されました。
 活動方針では引き続き、・家賃値上げ反対、安心して住み続けられる家賃に・居住者の居住の安定と権利を守り、公団住宅の売却・削減、民営化に反対する・修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する・居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る―等とし、具体的な活動として国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、機構との定例懇談会の充実、2013年全国統一行動への取り組みなどが提案されました。
 第2号議案「2012年度決算報告と2013年度予算案」について、黒田實財務局長が決算報告、津山閑会計監査が会計監査報告を行い、黒田財務局長が予算案を提案しました。この後、質疑応答に入り、千葉・茨城自治協〜習志野台団地自治会の代議員を皮切りに15人が発言しました。
 2日目の16日は議事運営委員会からの提案後、代議員の質疑・討論を行い10分間の休憩を挟んで2時間に渡り29人が発言(2日間で44人が発言)し活発な討論が行われました。幹事会からのまとめを楓代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の拍手で承認しました。
 第3号議案「2012年度役員の承認」では林守一代表幹事が役員名簿を発表。松谷栄代表幹事(前幹事)、新たに馬場義郎幹事が加わった役員20名と会計監査2名を大きな拍手で承認しました。今総会で退任する中田代表幹事と津山会計監査がそれぞれあいさつしました。新年度の役員を代表して林代表幹事が「安心して住み続けられる公団住宅を求める運動を進めていくため、地元選出国会議員等への要請を活発にしていただきたい。厳しい情勢の中、期待に応えられるよう全国の団地自治会の知恵と力を結集して頑張っていきたい」とあいさつしました。続いて「総会決議(別掲)」案を鈴木まゆみ幹事が提案、全員の拍手で採択しました。議長退任後、藤谷昌男代表幹事が「本総会はみなさんのご協力で成功を収めることが出来た。活動の成果と方針に確信を持って運動のさらなる前進を図っていこう。来年の第41回定期総会は神奈川自治協が担当し静岡県伊東市で開催する。多くのご参加をお願いしたい」と閉会あいさつを行い、全国自治協第40回定期総会は成功裏に終了しました。

楓健年代表幹事あいさつ(要旨)
 全国各地からの出席、ご苦労さまです。全国自治協は今、多くの課題を抱えている。
 公団住宅を分割し株式会社化する…みなさんの運動、政党への働きかけで今年1月、安倍内閣は野田内閣の閣議決定を「当面凍結」する閣議決定を行い、ホッとしている。しかし、先日の国会で岡田前副総理は「在り方調査会がまとめた改革をきちんとやるべきだ」と改めて発言している。また、住宅管理協会は今年12月1日から株式会社化され、一部の超高額家賃団地は取りあえず売却するという機構との一括改革で、住管センターに特化した完全子会社化とも言われている。元々、都市機構の分割・民営化は現政権の自民党が提唱したものであり油断はならない。
 昨年の家賃部会で都市機構上西郁夫理事長が、家賃が減収し来年4月の家賃値上げを実施したい、ルール改定の検討をお願いしたいと発言している。また、団地内駐車場・全国36万5,000台の管理が機構にシフトされ、値上げが計画されている。この時期に家賃値上げは中止すべき、駐車場料金とのダブルパンチはやるべきではないと主張した。今年は大きな勝負の年になる。
 団地管理業務がすべて競争化され、関西の樹木管理入札では予定価格の20%台という低価格で落札されている。管理主任、窓口業務についても一昨年、関西では32%で落札され、管理主任の給与が一律15万円に引き下げられ、半数が辞め新しい人に替わった。私たちが望む安心して住み続けられる団地の管理が出来るのか問題だ。
 団地の中では少子高齢化、外国人居住者、増大する空き家等の様々な問題があり、今総会でみなさんの熱心な討論を期待したい。 

総 会 決 議
 私たちは、きのう今日の両日、千葉県勝浦市で第40回定期総会を開きました。全国の団地自治会が結束して活動してきたこの1年間の成果をまとめ、あらためて目前にせまっている情勢を確認しあい、明日からの取り組みの方針と新年度予算、役員体制を決めました。
 この1年間の私たちの活動の何よりの成果は、民主党政権が決定した公団住宅分割・株式会社化方針をくい止めたことです。
 公団住宅の廃止・民営化をめざす方針は、すでに十数年にわたり歴代内閣によって進められ、私たちは住まいを守る困難な活動をよぎなくされてきました。国民の期待をうけて政権交代をはたした民主党内閣もこの方針を見直すどころか、それに拍車をかけ、消費税増税に先立ち政府が「身を切る」証として公団住宅の処分を急ぎました。大義も道理もなく、実現の見通しさえない粗暴きわまる政府決定でした。
 国会に日参して各党に要請するとともに、地方議会、首長に意見書、要請書の提出を陳情し、居住者一人ひとりが要請はがきを首相、大臣等にとどけるなど、そして全国統一行動を大きくもりあげました。私たちの合い言葉は、憲法25条がしめす「住まいは福祉、住まいは人権」です。政府といえども正面きってこれに背くことはできません。私たちの運動は政府の方針書にも「居住者の居住の安定とコミュニティの維持の必要」を明記させました。
 昨年12月の総選挙で政権が交代し、新内閣によって公団住宅分割・株式会社化方針は「当面凍結」となりました。この成果は、これまでも公団住宅民営化方針をくい止めてきた実績とあわせ、私たちの着実な運動が現実政治に確かな影響を与えていることを実感させ、自治協活動への確信を深めるものです。
 しかし油断はけっしてできません。第2次安倍内閣は、前内閣の閣議決定凍結にあわせて、それ以前の自公政権下で決定された公団住宅削減・民営化等の方針は生きていること、都市機構改革には引きつづき取り組むことをあらためて確認しています。いうまでもなく、都市機構が現にすすめている収益本位の家賃くりかえし値上げ、団地の削減計画、定期借家契約の拡大、管理業務の外部化、等々は以前に決定された方針がもとになっています。この現実をきびしく見つめながらも、私たちがきずいてきた運動の土台と実績をふまえ、結束を固めて着実に活動を続けるならば、公団住宅を公共住宅として守りぬく道は開けると確信します。
 いま私たちの目前には、機構が来年4月実施を予告している継続家賃の改定問題がせまっています。居住者の高齢化はすすみ世帯主の7割が60歳以上、年金生活が半数を占めています。あわせて収入の低下も顕著に現れており、約半数が年収250万円以下となっています。
 2011年4月、機構は、こうした居住者の収入実態を無視し、「経営の健全化」を第一の理由に家賃値上げを強行しました。機構の高家賃政策は、居住者を団地から追いやり、空き家を増大させる一方で、家賃収入の1割をこえる純利益を上げています。高家賃こそ引き下げるべきです。空き家を解消し、公共住宅としての使命を発揮すべきです。家賃値上げは断じて許せません。私たちは本総会の名において、家賃値上げ作業をただちに中止するよう機構に要求するとともに、政府・国会にたいし機構法付帯決議と住宅セーフティネット法にもとづき「居住者の居住の安定」を実現すべく機構を監督・指導するよう要請します。
 第2次安倍内閣のもとでは規制改革会議の復活にともない、団地売却・削減の促進、定期借家契約の拡大強化も予想されます。団地管理業務のリストラ、外部化はさらにすすめられ、現地管理水準の低下、混乱は目に見えています。こうした情勢、事態に各団地自治会、自治協はどう対処していくか、その活動方針は本総会で確認しあいました。
 私たちは公団住宅の住まいの問題だけでなく、暮らしと権利、憲法と平和を守る課題に継続して取り組む方針も決めました。私たちは憲法の条項を拠りどころに運動し、生活と権利、平和を守ってきました。憲法99条は憲法尊重を国務大臣、国会議員等に義務づけ、96条は改正発議に両院議員の各3分の2以上の賛成を求めています。このハードルを過半数にまで下げる96条改正は極めて危険です。
 以上みたように、自治会と自治協の役割はいっそう重要になってきています。本総会で決定した諸課題の実現をめざして結束をさらに強め、活動を強化することを決議します。
             2013年6月16日    全国公団住宅自治会協議会第40回定期総会
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