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全国公団住宅自治会協議会第39回定期総会を開催
公団住宅の売却・削減・民営化ゆるさず、公共住宅として継続させよう
 全国公団住宅自治会協議会は6月16日(土)、17日の2日間、第39回定期総会を福岡県北九州市の北九州八幡ロイヤルホテルで開催、北海道から地元九州の121団地から287人の団地自治会代表と役員が参加しました。
 夏までに結論とされる独立行政法人の見直し、都市機構の在り方に関する調査会で検討が進められており、高齢者や子育て世帯が安心して住みつづけられる公共住宅として守っていけるかどうか、いよいよ正念場を迎えさらなる今後の取り組みが求められています。
 総会には7党の党首・本部、国会議員からメッセージが寄せられました。全会一致で採択した総会決議では「公団住宅の売却・削減・民営化をゆるさず、公共住宅として継続させること」「現行家賃制度と『改定ルール』を見直し、高家賃の引き下げ、収入と負担能力に応じた住みつづけられる家賃制度の確立の要求」など8項目が決議されました。
 総会では1年間の活動についてその成果を確認し、運動への評価とともに閣議決定された独立行政法人の見直し基本方針に対し野田首相への手紙で切実な訴えを行ったこと、建て替え後高家賃と空き家過多の問題、団地管理の競争化問題、防災への取り組みなど2日間で延べ44人の代議員が発言、活発な討論が行われました。公団住宅をめぐる厳しい情勢のなか、安心して住みつづけられる公共住宅として今後も継続させるため、自治会・自治協がその役割を果たさなければならないことを改めて確認、2012年度の活動方針を採択しました。
 この後2012年度の役員が発表され、24年間にわたって全国自治協事務局長を務めた井上紘一氏が退任し、後任に東京多摩自治協・興梠信子事務局長が全国自治協事務局長代行に就任すること、役員20名と会計監査2名を承認しました。
7政党、国交大臣政務官からメッセージ
121団地自治会から287名が参加
 総会1日目(16日)は午後2時、藤谷昌男代表幹事の開会宣言で始まり、議長に廣田政典さん(福岡・アーベインルネス友泉)、林信好さん(埼玉・北本)の両代議員を選出。議事運営委員6人を議長が任命、今総会の開催担当自治協として福岡自治協の黒岩宣征会長が歓迎のあいさつをしました。北橋健治北九州市長が来賓出席し、北九州市の歴史等の紹介から「都市機構と環境に優しい住宅団地を小倉にいっしょにつくることになっており、国もバックアップすることになっている。独立行政法人の在り方については心配しており、どのように検討が進むか政府の動きを重視している。入居者の居住の安定が損なわれないよう、地元団地自治会の意見を聞き自治体として政府に適切な対応を求めていきたい」とあいさつがありました。
 林守一代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ(別掲)。総会メッセージを鈴木照子代表幹事が紹介。民主党代表・野田佳彦衆議院議員、民主党旧公団住宅居住安定化推進議員連盟会長・石毛鍈子衆議院議員、自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・菅義偉衆議院議員、同議連幹事長・下村博文衆議院議員、公明党代表・山口那津男参議院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首・福島みずほ参議院議員、国民新党代表・自見庄三郎参議院議員、たちあがれ日本代表・平沼赳夫衆議院議員、国土交通省・室井邦彦国土交通大臣政務官、独立行政法人都市再生機構・志村一徳住宅経営部長、財団法人住宅管理協会・福田秀文理事長、日本総合住生活株式会社・荒田建社長からのメッセージ。さらに全国公社住宅自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。議事運営委員長の中島政幸幹事が「代議員総数238名、出席120名、委任118名、合計238名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2011年度活動経過報告と2012年度活動方針案」の提案では、最初に「私たちの住まいをめぐる情勢と課題」を多和田栄治代表幹事が報告。①はじめに②迷走する「民営化」方針③「機構改革の工程表」の特徴④機構「特殊会社化」の1月20日閣議決定⑤閣議決定にたいする私たちの基本的な立場と主張⑥「都市再生機構の在り方の基本的な方向性」の特徴⑦「基本的方向性」その後の動き⑧私たちの今後の課題——等について報告がされました。
2011年度活動経過報告と2012年度活動方針案の提案を井上紘一事務局長が行いました。活動経過報告では、①公団住宅の売却・削減・民営化に反対し、公共住宅として守る活動②第9回団地の生活と住まいアンケート活動の取り組み③安心して住みつづけられる家賃めざして④定期借家契約の導入・拡大に反対⑤2011年全国統一行動⑥「団地再生」への取り組み⑦住みよい住宅・環境をめざして⑧居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る⑨都市機構本社との定例懇談会⑩都市機構本社との連携研究会⑪団地のコミュニティと全国自治協の組織・広報・財政活動等、1年間の活動と成果が報告されました。活動方針では引き続き、①公団住宅の分割・再編、民営化(特殊会社化)に反対し、国民の居住を担う公共住宅として守りぬく②安心して住み続けられる家賃に③修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する④居住者のくらしと権利、憲法と平和を守る…等とし、具体的には国交省・国会議員・各政党への要請や話し合い、2012年全国統一行動への取り組み、広報・組織・財政活動の取り組み強化などが提案されました。
 第2号議案「2011年度決算報告と2012年度予算案」について、黒田實財務局長が決算報告、谷澤弘昭会計監査が会計監査報告を行い、黒田財務局長が予算案を提案しました。この後、質疑応答に入り、東京多摩自治協・清瀬旭が丘団地自治会の代議員を皮切りに14人が発言しました。
 2日目の19日は議事運営委員会からの提案後、2時間にわたり代議員の討論を続行、30人が発言(2日間で44人が発言)し活発な討論が行われました。幹事会からのまとめを楓健年代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の拍手で承認しました。
 第3号議案「2012年度役員の承認」では楓代表幹事が役員名簿を発表。井上事務局長が退任し、団地再生対策部長の興梠信子幹事(多摩自治協・事務局長)が事務局長代行に就任すること、役員20名と会計監査2名を大きな拍手で承認しました。新年度の役員を代表して中田勝男代表幹事が「厳しい情勢の中、住まいを守ること一点でこの1年、期待に応えられるよう力を合わせて頑張っていきたい」とあいさつしました。今総会で退任する井上事務局長と谷澤会計監査が紹介され、井上事務局長があいさつしました。続いて「総会決議(別掲)」案を谷代久恵幹事が提案、全員の拍手で採択しました。議長退任後、渡辺志げ子代表幹事から井上事務局長の労をねぎらう言葉と「来年の第40回総会は千葉・勝浦で開催。これから1年間、公共住宅として守り誰もが安心と豊かさが実感できる住宅政策を求め、力を合わせて頑張っていきましょう」と閉会あいさつをし、全国自治協第39回定期総会は成功裏に終了しました。
林守一代表幹事あいさつ(要旨)
 今総会は非常に厳しい情勢の下での開催だ。振り返れば、私たちは家賃引き下げ要求運動を粘り強く続けてきた。署名・カンパをしても3年ごとに値上げされると非難もされたが家賃値上げ延期をさせた。国交省や機構と交渉を重ね、政権が代わっても従前に決まったことは踏襲して進めることを要求してきた。
 改めて都市機構改革を突きつけられどう対応するか考えなければならない。ここへ来て廃止・民営化の速度が増している。
 1月20日に閣議決定された公団住宅のあり方は悪名高い事業仕分けが反映されている。3月28日に出された都市機構の在り方調査会の結論は、分割・再編・スリム化をより協力に進める方向だ。調査会では家賃の減額措置があるから高齢者が留まり若い世帯が入居できない等、私たちの住む権利を無視した論議が平気で行われている。夏の結論に向け、公団住宅を公共住宅として守り抜けるか正念場を迎え、厳しい闘いが予想されるがどんな結論が出ようと屈することはないという意思を確認する総会だ。
 もう一面、昨年の東日本大震災を契機に地域で公団住宅を見直そうという動きがある。団地周辺住民の津波等水害時の一時避難場所として協定を結び、地域に安心感を与えている。地震に強く高台がない都会の防災拠点として、多くの人から安心・安全の砦として期待されている公団住宅の民営化、特殊会社化を阻止していくことに力を合わせていこう。


井上紘一事務局長退任あいさつ

 第39回定期総会を機に余儀ない事情のため退任させていただきました。
 公団住宅をめぐる現下の状況のもと本当に残念であり、全国でがんばっている皆様に申しわけなく思います。
 1978年(昭和53年)9月、公団家賃値上げ反対運動が大きく盛り上がった際、全国自治協の専従役員になり、以来33年になりました。全国自治協の事務局に入った直後から、広報部長として、現行家賃支払い(値上げ分の不払い)運動、そして6年間の家賃裁判運動と建設大臣あっせんによる和解解決、公団本社との定例懇談会の開催と、矢継ぎ早に動く事態と取り組み、団地への広報活動を担当しました。
 1989年(平成元年)6月、愛知県瀬戸市での第16回定期総会で事務局長に選任されました。楓健年さん(現代表幹事)からのバトンタッチでした。それから23年間、皆様方と共に住みよい団地・住みよい住宅、安心して住みつづけられる公団住宅をめざして活動してきました。力及ばず皆様方の期待に応えきれなかったこと、やろうとして出来ずにきてしまったことも数多くあります。
 この間、全国自治協の歴代の役員、すべての地方自治協、多くの団地自治会の方々と議論し、交流できたこと、そして全国自治協事務局を支えていただきましたことに、心から感謝いたします。また、長期にわたって事務局長の活動ができたのは家族の理解と支えがあったからと思っております。
 いま退任にあたって万感の思いがこみあげてきます。家賃・建て替え・団地再生問題などたくさんあるなかで一つだけ申し上げれば、1999年8月、住宅・都市整備公団が都市基盤整備公団に移行(同年10月)の直前、「公団と団地自治会との連携研究会」をスタートさせ、団地自治会を公団が公認し、緊急連絡員業務の受託、防災倉庫配備、来客駐車場設置、そして自治会事務所の提供などを実施するようになったことは、忘れることのできない取り組みでした。多くの団地自治会がその成果を享受し、「自治協に参加していてよかった」との感想を聞くにつけ、やりがいのある取り組みだと実感してきました。
 今後は、住んでいる団地の自治会活動、東京23区自治協役員として、引き続き全国自治協の運動に取り組む所存です。
 長い間の皆様方のご厚誼、叱咤激励、ご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。

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