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全国公団住宅自治会協議会第35回定期総会を開催

家賃値上げ反対、売却・削減を阻止しよう

全国の自治会の力を結集し公団住宅を守り抜こう

 全国公団住宅自治会協議会は6月21日(土)、22日(日)の2日間、第35回定期総会を栃木県日光市のホテルニュー岡部で開催、129自治会318名が参加しました。
 昨年12月24日に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画」、それを受けて同26日に「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」が発表されました。それは全団地を全面建て替え、複合型再生、集約、ストック活用、用途転換、土地所有者等への譲渡・返還等の6つの類型に分け、10年間で約10万戸の再編に着手し8万戸を解体するというものでした。また、耐震を口実にした居住者追い出しの住棟除却の方針も出されています。総会には、5党の党首などからメッセージが寄せられ、この問題に言及し全国自治協への支持を表明しました。
 全員一致で採択した総会決議では「再生・再編案による売却・削減計画、居住者の同意なしの事業着手に反対し、自治会との話し合いと合意にもとづく団地づくりを要求」。また来年4月には家賃改定が予定されており、全世帯アンケート活動に取り組み、生活実態と切実な要求を前面にかかげ、「家賃値上げに反対し、高家賃引き下げ、住みつづけられる家賃制度を要求」することを決議しました。総会では、1年間の運動についてその成果を確認し、運動への評価とともに家賃問題や再生・再編問題、耐震除却問題等41人の代議員が発言、活発な討議が行われました。公団住宅をめぐるきびしい情勢のなか、安心して住みつづけられる公共住宅として今後とも住まいを守り抜くため、自治会・自治協がその役割をはたさなければならないことをあらめて確認、2008年度の活動方針を採択し、役員を選出しました。

5政党・住宅局長からメッセージ  129団地318名が奮闘を誓い合う

 総会1日目(16日)は午後2時から溝口俊則代表幹事の開会宣言で始まり、議長に神田義行さん(埼玉:コンフォール西本郷)、阿部京子さん(千葉・茨城:花見川)の両代議員を選出。議事運営委員8名を議長が任命、今総会の開催担当自治協として、埼玉自治協の向地昇会長が歓迎のあいさつをしました。
 楓健年代表幹事が全国自治協を代表してあいさつ、「田中角栄の日本列島改造論から30余年、民営化されずに残っているのは私たちの公団住宅だけ、民営化をさせずに残してきたのは私たち住民の力だということを確認したい。昨年は民営化、売却・削減キャンペーンのようなマスコミ報道が繰り返し行われました。それは賃貸住宅部門を含めた都市機構の資産は16兆円を超え、黒字だからこそ民営化論議が出てくるのです。かつて行革本部の担当者が『民間は黒字だからこそ民営化し自分たちが欲しいと、赤字のところはいらない』と、まさに遠い僻地の団地はいらない一番欲しいのは東京23区と、今回の民営化・売却・削減の本質を表しています。政府は住宅があまっていると、しかし公営住宅の入居倍率をみると100倍・200倍というところが全国にはたくさんあります。所得が低い第1・第2分位の人たちにとっては住宅はまだまだ不足しており、公営・公団住宅等の公共住宅を守っていくことがきわめて重要、公共住宅を守るためにこの2日間の総会を成功させましょう」と述べました。
 総会へのメッセージを藤谷昌男代表幹事が紹介、自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長・伊藤公介衆議院議員、同事務局長・菅義偉衆議院議員、民主党代表・小沢一郎衆議院議員、都市再生機構住宅居住者の住まいを守る民主党議員連盟会長・末松義規衆議院議員、公明党国土交通部会長・高木陽介衆議院議員、同党・赤羽一嘉衆議院議員、日本共産党中央委員会、同党・仁比聡平参議院議員、社会民主党党首・福島みずほ参議院議員、国土交通省・和泉洋人住宅局長、独立行政法人都市再生機構・根岸尚住宅経営部長、財団法人住宅管理協会・福田秀文理事長、日本総合住生活株式会社・荒田建社長からのメッセージ。さらに全国公社住宅自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。そして、議事運営委員長の中田勝男幹事が、「代議員総数236名、出席130名、委任97名、合計227名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。

 第1号議案の「2007年度活動経過報告と2008年度活動方針案」の提案では、「私たちの住まいをめぐる情勢と運動課題」について、多和田栄治代表幹事が「再生とはもっと楽しく生きられることであり、居住者無視の再生など成功しない。メスを入れるとの口実で公団住宅をバラバラにしようという動きもある。論議を一層深めて国民の支持を得ながら公団住宅を守っていく運動を展開しよう。私たちはこれからの若い世代に公団住宅を引き継いでいく責務を持っている」と、公団住宅の民営化と売却・削減方針、4つの類型と団地再編方針の問題点、賃貸住宅資産と賃料収益、来年4月実施の家賃改定に対する見解と要求、団地別方針に対する各自治会の取り組み課題等が報告されました。
 2007年度活動経過報告と2008年度活動方針案の提案を井上紘一事務局長が行いました。活動経過報告では公団住宅売却・削減阻止運動本部を設置、居住の安定を求める緊急集会を開催、機関紙・カラー特集号の発行、地方議会への請願・陳情の取り組みで69府・県・市・区議会が政府に意見書を提出、各党国会議員への働きかけ、そして国土交通大臣の「居住者を追い出すようなことはしない」という国会答弁までの経過など民営化・売却・削減に反対し公団住宅を守りぬく運動についてと、2007年全国統一行動、建て替え問題、都市機構との連携など1年間の活動と成果が報告されました。活動方針では引き続き、 公団住宅の売却・削減・民営化に反対し公団住宅を守る、安心して住みつづけられる家賃制度に、修繕・住環境改善の促進、管理業務の充実を要求する、居住者のくらしと権利、憲法と平和を守るとし、具体的には国交省・国会・各政党への要請や話し合い、来年の家賃改定を前に第8回団地の生活と住まいアンケート活動(9月実施)への取り組み、2008年全国統一行動、広報・組織・財政活動の強化などが提案されました。
 第2号議案「2007年度決算報告と2008年度予算案」について黒田實財務局長が決算報告、谷澤弘昭会計監査が会計監査報告を行い、黒田財務局長が予算案を提案しました。
 この後、質疑討論に入り、北海道自治協へ新加盟した北広島北進町団地代議員の「お年寄りにとっては終の棲家、きょうの報告を聞き参加して良かった。自治協に加盟した甲斐もあった。ここへ送り出してくれた住民への報告会も予定している。これなら団地を守れると思った」を皮切りに13名が発言しました。

 2日目の22日は議事運営委員からの提案の後、2時間にわたり代議員の討論を続行、28人が発言(2日間で41人が発言)し、活発な討論が行われました。
 代議員の発言内容については、団地再生では「一部建て替えとなり居住者集会を開催。高齢者等の現実を無視した計画は認められない。撤回と変更の要求文を支社へ提出」「北九州では用途転換・集約が多い。高齢者から移すならみんないっしょに同じ場所へとの要望が」「家賃が機構を支えてきたことがわかり団地再生にはどうどうと反対していく」「空き家が多く収益性が悪いと集約団地にされた。環境防災ステーションができ安心・安全、老いも若きも支え合う自治会活動が大切、全国のみなさんと頑張っていきたい」「譲渡・返還の市街団地、結成総会を屋上で行った。住み続けたい。移転先が用意されても、通院や介護で不安はいっぱい」「更地売却はなくなったが建て替えの約束は反故にされた。迷惑をかけたと謝罪があり、修繕を要求し機構も約束」「これから発生する空き家を見込んでおり、同一団地に同じ間取りがないと家賃がアップする。1階でないと高齢者は困る。数合わせでなく納得できる内容で」「一部建て替えと発表され、機構からのお知らせに“十分な話し合い”と“具体的方策の検討”を入れさせた。自治体との3者協議の申し入れを行い、市との関係をより強めていきたい」「加盟団地が増え3団地に、44団地中35団地が団地再生、北海道から団地がなくなってしまう。気持ちがひとつになればノーと言える」「建て替えからストック活用に。修繕要求に全力をあげたい」「集約とされ学習会を開催。自治会加入5割、高齢化している。自治会加入率を上げ集約を取り消させる確信を持てた」などの不安や怒りが出されました。

 家賃問題では「来年の家賃値上げに向けて署名を集め、500世帯から怒りと悲鳴の意見が。組織あげて阻止したい」「年収100万円以下の世帯が増えている。肝に銘じ強力な体制で交渉を」「同じ棟でも家賃が違う。ライフアップしていないところを引き上げている。年金生活者が多く値上げ阻止を」「公共住宅として収入に応じた家賃制度の確立運動を。アンケート、署名、本当に全国的な運動を」等の意見が出されました。
 その他、「特別措置の収入基準が15万8000円は困る、改めてほしい。適用除外となった場合1DKで2万5000円値上げに、払えなくなるので署名運動を実施」「景観重視・防災拠点のまちづくり計画が承認された」「敷地売却益の使途は、手すりのアルミ化で不気味な音が発生」「団地内移転で心の通った対応を」「団地の生活と住まいアンケート・署名の目標を立て高い回収率を」「インド人3名が役員に立候補、家賃値上げ反対署名で500世帯から怒りと悲鳴の意見が」「ふれあい喫茶・リズム体操・ラジオ体操で高齢者も楽しい団地づくりを」「建て替えからストック活用に、修繕実施に全力をあげる」「建て替えからストック活用に、修繕実施に全力をあげる」「高齢者は年収100万円でも安心して住める制度を」「介護・医療・食生活と大変な状況だが住宅問題では力を合わせて」「空き家を公営の仮移転先に反対」「空き店舗に市等と高齢者のふれあいサロンを開設し利用者が増」「自治会が動けば国会・政治も動くのであきらめない限り終わらない」、自転車置き場の問題、社宅化と自治会未入会の問題、耐震結果の信ぴょう性、耐震除却での立ち退き費用の問題、集会所の貸し出し中止問題、振り込め詐欺で協会の対応遅れの問題、居住者の高齢化による問題・苦労・何でも相談会、個人情報保護法と自治会活動の問題、Eラウンジを利用したふれあいの場の充実、暮らしと憲法を守る運動を、植栽管理が競争化された共益費問題、随意契約問題、等々の発言がありました。

 幹事会からの討議のまとめを楓代表幹事が行った後、第1号・第2号議案について代議員の拍手で承認しました。
 第3号議案「2008年度役員の承認」では林守一代表幹事が役員名簿を発表、大きな拍手で承認されました。新年度の役員を代表して渡辺志げ子代表幹事が「来年は家賃改定の年、公団住宅を取り巻く状況はとてもきびしいが、安心して住み続けられる公共住宅として今後も守りぬくため、力を合わせて頑張ろう」とあいさつしました。続いて「総会決議」案を谷代久恵幹事が提案、全員の拍手で採択しました。議長の退任後、来年の第36回定期総会の世話役担当の東京多摩自治協副会長の片岡規子幹事が「来年も同じく栃木、今度は那須塩原で開催します。また1年間、安心して住み続けられる公団住宅をめざして頑張りましょう」と閉会あいさつをし、全国自治協第35回定期総会は成功裡に終了しました。

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