全国公団住宅自治会協議会は6月16日(土)、17日(日)の2日間、第34回定期総会を滋賀県大津市の琵琶湖グランドホテルで開催、134団地から329名が参加しました。
 昨年12月25日に出された規制改革・民間開放推進会議の第3次答申では「機構住宅77万戸は規模が課題である」として、削減・売却が打ち出されました。総会には、5政党の党首などがメッセージを寄せ、この問題に言及し、全国自治協の運動への支持を表明しました。全員一致で採択した総会決議は「公団住宅は重大な危機に立たされています。今日の総会から数ヵ月間、公団住宅のあり方とその行方をめぐって、きびしい攻防が行われることになります」と訴え、「都市再生機構に対する規制改革会議答申に反対し、その撤回と、国会付帯決議の全面実現、居住の安定を保障する施策の充実を要求」することを決議しました。
 総会では、1年間の運動についてその成果を確認し、全国自治協の活動への評価とともに家賃問題や建て替え問題への意見など36人の代議員が発言、活発な討議が行われました。公団住宅をめぐるきびしい情勢のなか、安心して住みつづけられる公共住宅として今後とも守りぬくために、自治会・自治協がその役割をはたさなければならないことをあらためて確認、2007年度の活動方針を決め、役員を選出しました。

 総会1日目(16日)は午後2時から林守一代表幹事の開会宣言で始まり、議長に小野修平さん(関西:千里山)、小島修一さん(東京23区:金町第二)の両代議員を選出。書記2名、議事運営委員6名を議長が任命、今総会の開催担当自治協として、関西自治協の溝口俊則会長が歓迎のあいさつをしました。
 楓健年代表幹事が全国自治協を代表し「昨年12月の規制改革会議の答申は、機構住宅77万戸は多すぎるから地方自治体への譲渡をと、買い取れる自治体が全くないことを承知で言っており民間へ売り払えということだ。さらに5月末の答申では16兆円を超える資産があるからと都市機構を目玉にあげ、機構ファミリー企業の縮小、競争入札のいっそうの推進を上げている。この答申は 財界が民間に仕事をよこせという恫喝(どうかつ)である。 私たちはあえて抵抗勢力となることが必要、運動により公共住宅をいかに守っていくか考える総会に」とあいさつしました。
 総会へのメッセージを片岡規子幹事が紹介、今回は国土交通省からも寄せられました。自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟会長伊藤公介衆議院議員、同事務局長の菅義偉衆議院議員、民主党代表小沢一郎衆議院議員、公明党政務調査会副会長上田勇衆議院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首福島みずほ参議院議員、国土交通省・和泉洋人大臣官房審議官、独立行政法人都市再生機構・根岸尚住宅経営部長、財団法人住宅管理協会・内藤勲理事長、日本総合住生活株式会社・荒田建社長からのメッセージ。さらに全国公社住宅自治会協議会、全国公営住宅協議会、全国借地借家人組合連合会、都市機構労働組合、日本総合住生活労働組合から連帯のメッセージが寄せられました。
 そして、議事運営委員長の中田勝男幹事が、「代議員総数232名、出席135名、委任89名、合計224名で今総会は成立」と宣言し議事に入りました。
 第1号議案の「2006年度活動経過報告と2007年度活動方針案」の提案では、「私たちの住まいをめぐる情勢と運動課題」について多和田栄治代表幹事が報告。「規制改革会議の答申事項 a.の『…地方公共団体に譲渡するなどして機構の業務から…』で、地方公共団体が受け入れる見通しはとてもない。民間開放だから『など』のほうが本来の意だ。そして公団住宅だけでなく、借家人の権利も提案され、居住継続を保障する普通借家権を保障のない定期借家契約に替えさせ、建て替えや売却でもわずかな金銭給付で追い出せるよう正当事由制度を見直すことまで書かれている。自由に商売できるようにするのが規制緩和のはず、公共事業までも民間の事業チャンスにしていこうとその魔の手が公団住宅にまわってきた」と指摘。さらに住生活基本法制定とその政策展開・都道府県計画の中身、公団住宅居住者の居住実態、『居住の安定を図る』国会決議の活用経過、ルールが問題の継続家賃改定や現地管理の民間企業委託問題等について報告、住宅政策等における自治協の役割をあらためて確認しました。
 2006年度活動経過報告を井上紘一事務局長が、2007年度活動方針案の提案を深沢武広報部長が行いました。活動経過報告では、規制改革問題で自民党・公団住宅居住者を守る議連への働きかけ、国土交通省との話し合いの経過、冬柴国交大臣要請、国会要請集会、240自治会長署名の提出等の運動、住生活基本法案への取り組み、家賃値上げ反対と家賃改定ルール見直しを求める活動、2006年全国統一行動、建て替え問題、都市機構との連携等1年間の活動と成果が報告されました。活動方針では規制改革会議の答申に反対し、国会付帯決議の全面実現や公共住宅政策の拡充要求を課題に、具体的には国交省、国会、各政党への要請や話し合い、自治体や地方議会に対しての取り組み、2007年全国統一行動への取り組み、広報・組織・財政活動の強化などが提案されました。
 第2号議案「2006年度決算報告と2007年度予算案」について黒田實財務局長が決算報告、井口信治会計監査が会計監査報告を行い、黒田財務局長が2007年度予算案を提案しました。
 この後、質疑討論に入り、千葉・茨城自治協高根台団地の片田代議員の「世界の代表に実態を見学してもらうなど、イスタンブール宣言をふまえ世界を視野に入れた運動を。また建て替え問題では自治体への対応などで交流会を開催してほしい」を皮切りに10名が発言しました。
 2日目の17日は議事運営委員会からの提案の後、2時間にわたって代議員の討議を続行、26名が発言(2日間で36名が発言)し、活発な討論が行われました。
 代議員の発言内容については、「首相官邸で240自治会長署名を提出、国交大臣に面会し付帯決議を守っていくという回答があった。毎月のように地元選出国会議員へ要請を行ったことが大きな運動に結びついた。各自治協も地元選出国会議員へ運動を」「連携の成果で自治会事務所が設置され、自治会の存在・権威も増し会員を150世帯増やせた」等の成果が報告されました。外国人入居での問題対策で20数カ国語の冊子を作成するよう機構に要求することの提案。学校跡地のマンション業者への売却問題で公的利用を訴え区と交渉し、中学校跡地は都水道局が買うことになったこと。スーパーの跡地が老人健康施設になったこと。駐車場料金改定で自治協がJSと早くから話し合い近傍の駐車場料金を調査し、提示額を300円〜800円下げさせたこと。AED設置を機構に要望したが、すばやく命を助けるために自治会で設置したこと等々、多岐にわたる自治会の熱心な取り組みが報告されました。
 家賃問題では「家賃改定ルールが問題、子育てファミリー世帯が住み続けられるような減免措置を」「税制の影響、高齢者世帯が安心して暮らせるような減額措置を」が、また建て替え問題では「浜見平の免震構造に防災出資金制度から予算がついたと国交省から聞いている」「工事入札後に業者が辞退、再入札すると工事が半年遅れる。戻り住宅は370戸未着手部分は225戸、計画どおり造るつもりがあるのか自主規制しているのでは、計画どおり建設を」「余剰地売却で規定・約束を守らない場合契約解除などを、自治会への説明責任も明記させ、業者との交渉もスムーズに」「戻り入居家賃で新制度との格差は大きい、新旧制度の統一を」「38戸のテラス住宅で4割が空き家で寂しい、計画修繕からはずされ安心安全とはほど遠い。中層は3年の定期借家に。今年度中に方針が出るといわれているが高齢者が多くみんな住み続けたいと」等の意見・報告がありました。
 その他、組織強化、連携で「あんしんコール」を試行実施、宅配ボックスの共益費負担問題、マル暴対策に自治会抜きで警察OB渉外役を配備、全棟ロードヒーティングが完成、多文化共生、共益費関係、シンドラー・エレベーターの点検に立ち会ったこと、遊具の撤去問題等々の発言がありました。
 幹事会からの討議のまとめを楓代表幹事が行った後、第1号、第2号議案について代議員の拍手で承認しました。
 第3号議案「2007年度役員の承認」では渡辺志げ子代表幹事が役員名簿を発表、大きな拍手で承認しました。新年度の役員を代表して藤谷昌男代表幹事が「規制改革の公団住宅をめぐる状況はとてもきびしいが、安心して住みつづけられる公共住宅として今後も守りぬくために、みんなで力を合わせて頑張ろう」とあいさつしました。
 続いて「総会決議案」を谷代久恵幹事が提案し、全員の拍手で採択しました。議長が退任後、来年の第35回定期総会の世話役担当の埼玉自治協事務局長の鈴木照子代表幹事が「来年は栃木・鬼怒川で開催します。また1年間、安心して住みつづけられる公団住宅をめざして頑張りましょう」と閉会あいさつをし、全国自治協第34回定期総会は成功裡に終了しました。


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全国自治協第34回定期総会を開催

売却・削減に反対、居住の安定の保障を

安心して住みつづけられる公団住宅を