安心して住みつづけられる公団住宅をめざす
2023年全国公団住宅居住者総決起集会を開催
都市機構へ署名提出・要請
208団地66,246世帯106,753名の署名を提出
都市機構では井添住宅経営部長、水野ウェルフェア総合戦略部長、佐々木ストック事業推進部長等が対応しました。
■鈴木代表幹事要請
本日私たちは北海道から九州までの10自治協が参加し、2023年全国公団住宅居住者総決起集会を東京一ツ橋の日本教育会館で開催しました。9月に取り組んだ「第13回団地の生活と住まいアンケート」に続き、安心して住み続けられる公団住宅を求めて全国統一行動の要請署名に取り組み、その署名を集約しました。集会には各政党の国会議員の方にもご参加いただき激励のご挨拶をいただきました。都市機構本社への要請項目は以下の通りです。
1.機構法「家賃の減免」条項の実施と家賃引き下げ、年金で住みつづけられる家賃制度を要求します。
2.公団住宅の売却・削減・統廃合に反対、公共住宅として継続・発展させることを要求します。
3.「修繕は家主の義務」、すべての団地の修繕・住環境改善の促進、管理の充実を要求します。
4.定期借家契約に反対、空家の早期解消を要求します。
5.子育て・高齢者居住の安定のために公的な保証政策を要求します。
これらの要求はそれぞれの居住者にとって切実な課題です。団地居住者の願いが込められた署名を提出します。
…… 各地方自治協代表の発言(要旨) ……
★北海道自治協
札幌冬季オリンピックの跡地にできた五輪団地から来ました。地下鉄の駅前で大変便利な団地です。古い団地なので暖房費が高く家賃も比較的高くなっています。今年の夏は大変暑くエアコンを設置しなくては生活できない状況でした。
★東京23区自治協
東京23区内のUR賃貸住宅では新入居者の多数が高齢女性の一人住まいとなっています。民間賃貸住宅では保証人が必要なことや、都営住宅は高倍率のためなかなか当選しない事が要因となっています。高齢女性の一人暮らしの方が入居した場合、生活支援アドバイザーや地域包括支援センター・自治会も協力しあいながら居住者の生活をバックアップしています。北区ではセーフティネット住宅の募集が豊島五丁目団地で1戸開始されました。新入居者だけでなく、今団地に住んでいる居住者が安心して住みつづけることができるよう健康サポート住宅などもぜひもっと増やしていただきたい。
★東京多摩自治協
今回のアンケート結果では、家賃負担が重いと感じている世帯が8割以上あり、公団住宅に住みつ続けたいと思ってい世帯が75%を超えました。不安に思っていることでは家賃が払えなくなるのではないかと思っている方も多数います。ぜひ高家賃を下げていただきたい。修繕では玄関ドアの防寒対策を強く望んでいます。
毎年多摩自治協では空き家調査をしていますが空き家も増加傾向にあります。永山団地では2,921戸のうち空家は517戸、1階・2階が100戸以上空き家となっています。健康寿命サポート住宅の促進をぜひお願いしたい。
★千葉・茨城自治協
高齢者の一人暮らしの方が多い。生活保護ぎりぎりの線で生活している方もいます。団地に配置していただいている生活支援アドバイザーさんが高齢者の対応をしていていただいて大変心強い。引き続き高齢世帯の方々が安心してい住めるようお願いします。
★埼玉自治協
埼玉自治協では団地集約事業が6団地実施されている。集約事業で残る住棟にはエレベーター設置がなかなか進んでいない。エレベーター設置事業を進めるにあたって建設費用の高騰が続いていると聞いているが、ぜひエレベーター設置を進めていただきたい。
★神奈川自治協
冬になり、外と部屋の中との温度差で結露が発生します。毎朝雑巾とバケツを持って結露の対応をしていますが、高齢になり足腰が弱くなってしゃがむことも困難になっている世帯も多くなっています。毎朝この対応は非常に大変です。結露が発生しないようペアガラス化を進めていただきたい。
★東海自治協
東海地域も古い団地が多くなっていて、今回のアンケート結果は全国の結果と同じように高齢化が進んでいます。高齢者は永年団地に住んでいて、これからも団地に住みつづけようとしている方々です。外壁修繕等定期的に実施していただいていますが、住戸内は古いままです。
外国人居住者も多くなっています。ブラジルの方を抜いてベトナムの方やネパールの方が増えています。外国人居住者の集合住宅での住まいのルールの徹底、社宅貸しでの管理の徹底など行っていただきたい。また、機構内に「外国人対応課」等の設置を検討していただきたい。
★関西自治協
アンケートの結果では年金生活者が70%、年収250万円以下が50%、家賃の負担が重いと思っている方が70%、公団住宅に住みつづけたいと思っている方が83%となっている。遺族年金で生活している70歳・80歳の方が多くなっている。物価の高騰や社会保険料のアップが生活を圧迫している。高齢居住者はUR賃貸住宅に永く住んで公団住宅を支えてきた人です。25条4項の適応をしてほしい。中層住宅へのエレベーター設置も死活問題です。
★北九州自治協
今回初めて女性世帯主が男性世帯主を上回り、高齢女性の一人暮らしが多いのが今回のアンケート結果の特徴でした。将来の家賃支払いに不安を感じている方が多くいます。また、一人暮らしの方が多くなる中、緊急連絡先が正確に登録されていないため、緊急時対応が難しくなっていることがあります。入居時に緊急連絡先の重要性などをきちんと話していただきたい。
★福岡自治協
今回のアンケート結果では、65歳以上の高齢者が63.1%、そのうち75歳以上の世帯が33.8%で3世帯に1世帯が後期高齢者世帯となっています。高齢一人住まい・二人住まいが78.3%となっていて、年金だけでは生活できない状況です。特に一人になった場合は家賃の支払いが困難になります。機構法25条4項を適応して頂きたい。また、中層住宅への消火器設置を要望します。
井添住宅経営部長あいさつ
本日は、多くの、貴重なご署名を遠路横浜までお運び頂き大変お疲れ様でございました。また、日頃からURの業務にご理解・ご協力を賜り、誠にありがとうございます。
先ほど、いただきました多くのご署名、そして、ただいまお聞かせいただきました各地方自治協代表の皆様からのご意見・ご要望につきましては、大変貴重なものであると認識しております。また、今年度、自治協の皆様が実施されました「第13回団地の生活と住まいアンケート」の結果につきましても真摯に受け止め、今後の業務運営の参考とさせていただきます。
令和5年も残りわずかとなりましたが、今年は新型コロナウイルス感染の影響が残るとともに異常気象と言われる猛暑が長く続きました。そのような厳しい状況の中、皆様におかれましては、自治会活動を通して、夏祭りや防災訓練などの再開、猛暑を避け、時期をずらしてイベントを開催いただくなど、様々な工夫を取り入れながら地域コミュニティの活性化にご尽力いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。
URを取り巻く経営環境は、昨今の金利上昇、資材・労務費高騰など、決して楽観できる状況ではございませんが、URとしましては、経営改善を通して経営の健全性を確保しつつ、国の政策実施機関として若年・子育て世帯、高齢者世帯、住宅困窮者等への対応など様々な政策的課題の解決や住まい方・働き方等の変化に柔軟な対応を図っていくため、URグループ一丸となって、業務にあたり皆様に安全・安心・快適な暮らしをご提供して参りたいと考えております。
自治協の皆様とは、これからも長年に渡って築き上げた信頼関係を大切にし、様々な場面で対話をさせていただき、共により良い住環境を作り上げていきたいと思っております。今後も、引き続き、お住いの皆様方にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。
国土交通省へ署名提出・要請
208団地64,957世帯105,596名の署名を提出
国土交通省にバスで着いた要請団は、会議室に移動し、署名をテーブルに積み上げて要請にうつりました。まず角和子代表幹事が、日本教育会館において99団地自治会177名の参加で行われた総決起集会の報告を行い、署名の要望項目を読み上げて要請を行いました。石坂住宅局長が多忙で遅れることから宿本審議官から先にご挨拶いただきました。
…… 各地方自治協代表の発言(要旨) ……
◆北海道自治協
北海道には29団地7,400戸の住宅がある。アンケートでは一人暮らし・高齢化・住んでいたいという希望は同じ。今年の夏はたいへん暑く、これまでエアコンもつけてこなかったが、この夏はしかたなくためていた年金の中で買ったと言う声をたくさん聞いた。そのためのエアコン専用のコンセントにダクトの設置もあった。乗り切ってやれやれと思ったら今度は暖房費を払わなければならない。このように大変でも住んでいたい。家賃減免でいつまでも住んでいけたらと思っている。
◆東京23区自治協
東京23区は他の地域とくらべて家賃が高い。家賃7万円以上が73.5%。家賃負担が重い84.3%となる。都営住宅は倍率が高くて入居できないことから、URに住みつづけていきたいとの要望。1人暮らしになるとたちまち家賃が払えなくなる。家賃減免を実施し、住みつづけていけるようお願いしたい。
◆東京多摩自治協
アンケート結果では高齢化で70歳以上が50%にもなる。2人に1人が70歳以上。困っているのは蛍光灯を買うにも付けようとしても電気屋が近くにないと大変。高齢化で今までできたことが全くできなくなる。最後まで住み続けたいが8割。80歳でご夫婦で越してくる。97歳で終活したいなど。今の団地で最後まで住みつづけらる保障が必要である。団地内移転も大変。現実をしっかりとらえていただきたい。また多摩では空き家が14%ある。手を付けていない、0.5%しか募集していない状況がありURは何を考えているのかと思う。これは住宅政策の問題でもある。
防寒対策も要望。「地球と人と未来にやさしいまちづくり」を目指して頑張っていただきたい。
◆千葉・茨城自治協
アンケートのなかで特徴的なことは、老後に備えてお金も蓄えていたが、使い果たして家賃を払っていくのが大変との声が届いている。家賃の減免が必要である。年間2000件以上も家賃が払えなくて退去させられている現実をどう解決していくのか。この間前進がない。どう解決していくのかをきちんと示していただきたい。
◆埼玉自治協
埼玉では今集約と再生団地が4団地ある。すでに取り組まれており、対象となった住棟の居住者はやむなく移転している。高齢者が多く移転は大変きびしい。機構は転居ににあたって原則同階へというが、高齢者は1階か2階の低層階が希望である。機構は空いていても希望を聞いてくれない。自治会が談判して実現した例はあるが、管理する側から考えて行動してほしい。まだ住める住宅である。取り壊し、更地にし、新しい建物で収益をあげるという目的が見え見えである。居住者にとって愛着のある住宅は有効活用する再生を考えてほしい。階下移転にあたっても家賃が上がらないようにしてほしい。
◆神奈川自治協
セーフティネット専用住宅としての活用は横浜市の団地で、昨年度4団地で6戸、今年度7団地で10戸と進んでいる。住宅を探している低所得の方にとってはURの快適な住宅に住めることは朗報だと思っている。横浜市だけでなく神奈川の他の政令都市にも広げく。今後も住みつづけたいとの回答が8割。私たちの「住まいは福祉・住まいは人権」の取り組みとともに、収入に見合った家賃の考え方にご理解をいただきたい。一人暮らしは孤立・孤独になってしまいがち。
各自治会は居場所づくりに取り組んでいる。国としてもさらなる支援体制を。団地は古い設備で、段差解消、省エネ改修としての玄関扉の防寒対策等を。外国籍の方が増えている。コミュニケーションのためにUR、自治体との連携が必要。多文化共生のための支援を。
◆関西自治協
機構法25条4項の実現要望はどこも同じ。中層エレベーターの設置がとくに重要課題となっている。現在の高齢社会にとって4階5階の生活は不自由一人住まいも多く70歳・80歳が毎日階段の上り下りしていることは苦痛以外のなにものでもない。機構は空き家があっても階下移転を希望しても部屋が無い・予算が無いという。おかしい。エレベーター設置は費用がかかるというのは理解するが、一人でも多くの人が安心・安全にくらせるよう望んでいる。国交省の支援をよろしくお願いします。
◆北九州自治協
自治協加盟は4団地ですが、30団地から署名・カンパをいただいている。アンケートは23団地2000世帯の集約をした。意見として「75歳働いているが退職したら年金が少て」「洗面台取り替えの要望」「高齢者1人暮らしでは修繕の案内があっても家具の移動はできない。」また未加盟団地から高額のカンパがあって期待が大きい。全国自治協とともに頑張る。
◆福岡自治協
家賃の引き下げ、家賃減免を要望する。URは中層住宅に消火器の設置の法的義務はないとしているが要望がある。また浴室折れ戸(救出口付き)の要望は、高齢者が中で倒れたら助けられない。私の団地は隣接してJR貨物・空港、都市高速も通っている団地。騒音の苦情があり、ペアガラスの設置を希望している。アンケート結果や署名を深く受けとめ、25条4項の実現を強く願う。
♦石崎住宅局長あいさつ
本日要望署名を持ってきていただきありがとうございます。私も10数年前からURを担当させていただいてきて、自治協の皆様とも長いお付き合いとなります。当時UR改革で「賃貸住宅は売っぱらってしまえ、家賃が払えない人は追い出せ」というような議論があったときに、署名をいただき、自席の後ろに積み上げて、皆さんの思いを背負って仕事をしていました。署名の力をいただき頑張れたと思っています。井上前事務局長とは連日のように相談させていただきながら、今あるしくみを作ってきたのかなと思います。
王子五丁目のお祭りには団地の方だけでなく地域の小学生なども参加していて、団地を中心にしながら地域全体のコミュニティを形成していただいていることは本当にありがたいと思いました。2年ほど前には小平団地を訪問し、自治会のコミュニティづくりのお話しを伺ったところです。だからこそUR団地は人気があり、住みたいと思う人がいるのだと思います。
国交省は、建物をつくっておしまい、入居しておしまいのように思われますが、それだけでなく、単身の方が増えるなかで、コミュニティや居住支援が必要と考えていて、地域の皆さんをサポートする自治会活動は素晴らしいと思っています。今考えている居住支援、コミュニティ支援のヒントをいただいた、引き続きアドバイスをいただきたいと思っています。国交省として難しいこともありますが、やれることは頑張りたいと思っています。