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家賃改定ルール見直しに反対し
安心して住み続けられる家賃を求める

9・4 国会要請集会を開催
 全国自治協は9月4日、「家改定ルール見直しに反対し 安心して住み続けられる家賃を求める 9・4国会要請集会」を衆院第一議員会館大会議室で開催。関東の5自治協をはじめ東海、関西自治協の98団地自治会から270人の役員らが参加しました。たいへんお忙しい中、6政党から衆院28議員(自民12、公明3、民主4、共産8、維新1)、参院4議員(自民1、公明1、民主1、共産1)、代理出席22議員、計54議員らに駆け付けていただき、19議員の方々から激励・連帯のごあいさつ(別掲)を頂きました。
 同集会は、佐藤利彦幹事の進行で午後2時に開会。主催者を代表して林守一代表幹事が「一昨年の閣議決定以来、改定周期3年を2年に、常時改定等の検討が具体化してきている。コミュニティが大事と言うが3年定借で入居させるなど、理念とやっていることが全く違う。機構はこの秋にルールを決める予定だが、安心して住み続けられる家賃ルールを主張していく。議員の方々の力もお借りし、全国統一行動に向け運動を広げていきたい」と、あいさつ。続いて楓健年代表幹事が、家賃改定ルール見直しの論点と問題点、意見募集での管理サービス事務所等の対応、経営基本懇家賃部会の開催日程―等の情勢について報告。
 この後、ご出席の各党議員から到着順にごあいさつをいただきました。集会が始まった時点ですでに多くの議員が会場に着席されていましたが、残念ながらご多忙のためあいさつをされずに退席された議員も多数おられました。出席議員のあいさつの後、多和田栄治代表幹事が・家賃改定ルール見直しの目的と方向・改定ルール見直しの理由と検討事項を検証・公共住宅の目的にふさわしい家賃制度を要求し、改定ルール見直しに反対する自治協の見解と要求―等について基調報告(下記)を行い、興梠信子事務局長が今後の取り組みを提起しました。鈴木まゆみ幹事が集会決議(下記)を提案、参加者の大きな拍手でこれを採択し、藤谷昌男代表幹事の閉会あいさつで無事終了しました。


◆情勢報告 楓健年代表幹事
 昨年の家賃部会で家賃改定ルールの論点として、・家賃改定周期3年を2年に、定期的を随時見直しに・値上げ幅の最高限度額は必要か・低所得高齢者の減額措置の見直し…等が出された。
 今年7月には自治協加盟等7団地自治会からヒアリングが行われた。未加盟1自治会がある程度の値上げ(2,000円位)はやむ終えないとした。また同月には居住者等から意見募集が行われ5,600もの意見が出された。居住者から意見を聴く等はかつてなかったこと。しかし管理サービス事務所等の対応や募集文書もお粗末で、特に高齢者には不親切なものであった。拙速であり、なぜ管理報で知らせなかったのか…来年4月の値上げも視野に入れ11月中にルールを確定するには8月の管理報では間に合わないからである。
 改定周期については先のヒアリングで「3年でも早すぎる。5年ぐらいに」と未加盟団地からも出されたが、民間並みに2年にしたいのが機構の意向。住宅セーフティネットであるにも拘わらず、改定周期を短くしたいとは言語道断、「随時改定」は話にならない。超高齢化の中で減額措置は現状維持が当然、また値上げ最高限度額を取り外すのもとんでもないことである。民間の家賃指数を100とすると機構家賃は97.2、機構も100にしたら存在価値がなくなり公共住宅政策もなくなる―等が、家賃ルール見直し問題には含まれている。家賃改定ルールの見直しをご出席議員の力をお借りし、自治会・自治協の運動で跳ね返していこう。


◆基調報告(概要) 多和田栄治代表幹事

Ⅰ 家賃改定ルール見直しの目的と方向

閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(2013年12月24日)
 「平成26年から、稼働率など需給の状況に応じた募集家賃の引下げや引上げを機動かつ柔軟に行うとともに、平成27年度中に継続家賃の引上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行い、適切な家賃収入を確保する。また、低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成26年度中に結論を得る」

賃貸住宅事業の目標(第3期中期目標:2014年4月1日から5年間)
「賃貸住宅事業について、キャッシュフロー収入の最大化を推進する」

家賃改定ルールの現状
1)現行ルールは、引上げ幅・スピードともに「下がりやすく、上げにくい」仕組みであり、市場家賃の上昇に追いつけず、十分な収入増が図れない。
2)家賃減額措置の新たな対象世帯が増加し、機構の経営負担が増大する。

基本懇家賃部会における検討事項
1)引上げ幅の拡大(例:市場家賃との乖離の1/3⇒1/2を引上げる)
2)民間並み改定周期に短縮(例:3年ごと⇒2年ごと、あるいは随時)
3)低所得高齢者等への家賃特別措置の適用要件の見直し(例:年齢や所得の基準、入居時期による限定、資産状況も調査など)

Ⅱ 改定ルール見直しの理由と検討事項を検証

1.継続家賃はすでに市場家賃レベルにあり、「市場家賃との乖離」はない。
2.むしろ市場家賃を上回り、何よりの証拠が近年の空き家の増大である。
3.募集と継続の賃料逆転は、機構法25条にも反する。
4.現行ルールは「下がりやすく、上げにくい」仕組みではなく、「上げすぎ、下げない」仕組みである。
5.改定ルール見直しは、「乖離」の作り話と「家賃インフレ」だのみの暴論。
6.機構の「近傍同種家賃」「市場家賃」は、法の制約をうけない委託業者の「鑑定家賃」―公正な根拠なく、結果は空き家の増大。 
7.各戸の家賃の算定方法は「企業秘密」非公開―「ルール」ではない。
8.政府への利払い1682億円、業務収入の27%を占める。空き家による家賃損失499億円、それでも純利益は284億円を計上(賃貸住宅事業2014年度決算)―政府の高金利政策を改め、高家賃引き下げ、空き家解消で経営健全化を。

Ⅲ 公共住宅の目的にふさわしい家賃制度を要求し、改定ルール見直しに反対する―自治協の見解と要求

1.機構は機構法付帯決議、住宅セーフティネット法の趣旨を無視し、居住者の生活実態、居住安定への配慮はまったく見られない。
 「機構は、賃貸住宅の家賃設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担にならないよう家賃制度や改定ルールに対する十分な配慮に努めること。特に低所得の高齢者等に対する家賃の減免や建替えに伴う急激な家賃の上昇の抑制については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること」
2.機構は機構法25条4項の「家賃の減免」条項を死文化させている。
 憲法25条が保障する生存権の基盤である居住を市場にゆだね、市場家賃化をすれば、居住確保のできない国民が多数でることは自明である。公営住宅供給または家賃補助は国および自治体の責務である。機構の市場家賃化と「家賃減免」条項は一体のものであるが、機構はこの条項を死文化させている。
3.公営住宅法に準じた家賃制度への改善を要求する。
 居住者の大半が低所得の年金生活者であり、機構の賃貸住宅が事実上公営住宅の肩代わりをしているのは政府も認めている。わが国住宅法制の基幹をなす公営住宅法は、資格のあるすべての国民に開かれた権利、国および自治体に課せられた義務を定めている。政府および機構は居住の実態を直視し、公営住宅法の趣旨に則り、居住者が安心して住みつづけられる家賃制度を確立するよう要求する。


◆集会決議

家賃改定ルール見直しに反対し安心して住み続けられる家賃を求める 9・4国会要請集会決議

私たちは本日、「家賃改定ルール見直しに反対し、安心して住み続けられる家賃を求める9・4国会要請集会」を開きました。
集会には全国の団地自治会代表約300人が参加し、国会各党から多数の衆参両院議員各位のご出席をたまわり、ご支援と励ましのご挨拶をいただきました。
 都市再生機構はいま、2013年12月24日の閣議決定に従って家賃改定ルールの見直しを急ぎ、年内にも決定する予定です。
 機構は現行ルールの見直すべき点として、①改定幅もスピードも「下がりやすく、上げにくい」仕組みであり、市場家賃の上昇に速やかに追いつけず、収入増が十分図れない、②低所得高齢者等への家賃措置は、新たな対象世帯が増加し、機構の経営負担が増大する、の2つをあげ、継続家賃引上げ幅の拡大、特別措置負担の縮小等を図っています。その目的が「家賃収入の最大化」にあることも隠していません。
 機構の家賃はすでに市場家賃のレベルにあり、高家賃政策が居住者の追い出し、空き家の増大を促しているのが現実です。今回の改定ルール見直し方針には、居住者の生活と居住の安定への配慮がまったく見られないばかりか、空き家増大による家賃収入の巨額損失の事実がしめすように、団地の実情も市場の動向も無視してはばからない、不当かつ無謀な愚策であると断言できます。私たちは高家賃の引き下げと団地管理の改善こそ先決であると考えます。
 国会要請集会にあたっては、家賃改定ルール改悪が機構法付帯決議をはじめ国土交通大臣のたびたびの発言趣旨にも反することを指摘しなければなりません。大臣発言も国会決議も一貫して機構に求めてきたのは、「居住者が安心して住みつづけられる十分な配慮」と「居住者との十分な意思の疎通と連携」です。改定ルール見直しについて、国会各党の要請をうけ大臣が「居住者の意見を十分聴いて検討するよう」機構に指示されたことを高く評価します。
 機構のきわめて消極的な「居住者の意見募集」にもかかわらず、短時日のうちに160団地から5,600もの意見(中間報告)が寄せられたと聞き、ことの深刻さをあらためて確認します。機構がこれらの意見をどのように受けとめ、結果を公表するか、私たちは大いに注目します。
 全国自治協は本集会を決起の場として2015全国統一行動に取り組みます。運動課題の中心には、家賃改定ルール改悪反対、公共住宅にふさわしい家賃制度への改善要求とともに、団地統廃合による公団住宅売却・削減反対をかかげます。
 近日中に統一行動の手引きパンフを作成し、そのなかで機構の家賃改定ルール見直しが正当な理由も根拠もなく、いかに収益本位にまみれた暴挙であるかを徹底批判し、私たちが要求する公共住宅政策と家賃制度のあり方を明らかにして、要求実現への確信を深めます。この確信は今秋の全戸署名をはじめ一連の運動を成功させる土台になります。
 終わりに、本日の集会にご出席くださった国会議員各位にあらためて感謝するとともに、国民の居住安定の確保を何よりも国政の重要課題として、なお一層ご尽力くださるよう要請して決議とします。               
                                                      2015年9月4日
        家賃改定ルール見直しに反対し、安心して住み続けられる家賃を求める9・4国会要請集会
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