自民党「公団住宅居住者を守る議員連盟」と懇談
「ふるさとであり続ける団地を市場原理だけで割り切れない」
議員連盟会長の伊藤公介衆議院議員があいさつ
自由民主党の公団住宅がある選挙区の議員有志による「公団住宅居住者を守る議員連盟」との懇談が、団地自治会代表者国会要請集会終了後の3時30分から、衆議院第2議員会館の第1会議室で行われました。当初は第3会議室で予定されていましたが、集会に参加した各団地自治会の代表も参加することになり、会場が急遽第1会議室(一番大きな部屋)へ変更されました。
同連盟会長の伊藤公介衆議院議員、副会長の臼井日出男衆議院議員をはじめ33人の国会議員(代理出席16人含む)、全国自治協の役員をはじめ各団地自治会の代表者と、国土交通省住宅局の和泉洋人大臣官房審議官、河村正人住宅局総務課長、早川雅章民間事業支援調整室長、独立行政法人都市再生機構尾見博武理事、奥野泰三住宅経営部長が出席しました。越智隆雄衆議院議員(東京6区)の司会で開会、冒頭に伊藤会長(東京23区)があいさつしました。
伊藤会長は多摩ニュータウン諏訪団地の分譲住宅建て替えを取り上げ「日本団地の大きな転換の第1歩、その周辺の賃貸住宅をどうするか早急に対応を迫られている」と、また「現実の団地は所得第1分位約450万円以下が51.数%で300万円以下は45.1%を占める。第1分位はひと言で言えば高齢者、団地が非常に高齢化している」。空き家問題にもふれ「12〜13%も空き家の団地があるが民間だったら家賃を若干下げ、長い間空き家を放置しない」と、民間開放の答申については「これを具体化していくのはこれから、採算性、市場性は半分は必要、故郷の団地をどこかへ売り払うことが良いのか議論を詰めたい。公団をもう一度作り直す時を迎えていることは事実だと思う。きょうはみなさんの意見を出してほしい。議連の議員のみなさんといっしょに、団地のみなさんとともに頑張っていきたい」とあいさつしました。
和泉審議官は「住宅セーフティネット法案(仮称)を与党が議員立法で提案する予定。都市機構法と住生活基本法で若干意味が違うところがある。大きなふたつの方向がある中でどうしたら機構住宅を守りそこの生活を守っていけるか、機構だけではなかなか根本的な対策はできない。地元の公共団体もしっかりして貰わなくてはならない」と、また尾見理事は「77万戸を今後どう活用するか自治協のみなさんとも定例的に懇談している。居住者の高齢化、収入低下と現実は感じている一方で、市場家賃の殻の中でどう解決していくか難しい問題だ。できるだけ知恵を絞りたい」と、さらに奥野部長が機構としての「賃貸住宅」の現状を述べました。
これに対し多和田栄治代表幹事が、「規制改革の答申では『物件』と、この言葉に全てが表れている。住まいは文化、子育て、労働、老後と地域活動を発展させる主人公としてトータルで住生活と思っている。祭りの時に先生方が来られる団地を物件と扱うとは、と言わざるを得ない。住生活基本法にはストックの活用は書かれていても、その中の居住者が『安心して住み続けられる』という保証が書かれていない。住生活基本法が住宅の憲法なら都市機構法付帯決議が公団住宅居住者の憲法だと思っている。その憲法実現を進めていただきたい」とあいさつ、井上紘一事務局長が全国自治協の要望事項を述べました。また自治会代表からは近傍同種家賃の調査対象事例への異議、40年代団地へのエレベーターの設置、住み続けられる家賃を、団地のコミュニティと建て替え、建て替え問題、管理民間委託問題等他、要望・意見が出されました。
最後に伊藤会長が「故郷であり続ける団地を市場原理だけでは割り切れない。国が提供した故郷を絶やすのか、故郷を新しい時代に作り替えていく、国がやっていると誇れる住宅政策に挑戦したい」と締めくくりました。
●当日出席された国会議員(敬称略)=伊藤公介(東京23区)、臼井日出男(千葉1区)、越智隆雄(東京6区)、土屋正忠(東京比例)、松島みどり(東京14区)、松本洋平(東京19区)、小川祐一(東京21区)、萩生田紘光一(東京24区)、山中Y子(千葉2区)、山口泰明(埼玉10区)、坂井学(神奈川5区)、鈴木恒夫(神奈川7区)、田中和徳(神奈川10区)、鈴木馨祐(南関東比例)、江ア洋一郎(南関東比例)、大塚高司(大阪8区)、関芳弘氏(兵庫3区) 計17人
●代理出席の国会議員(敬称略)=菅義偉(神奈川2区)、小此木八郎(神奈川3区)、河野太郎(神奈川15区)、菅原一秀(東京9区)、下村博文(東京11区)、櫻田義孝(千葉8区)、椎名一保(千葉)、金子善次郎(北関東比例)、牧原秀樹(北関東比例)、亀岡偉民(福島1区)、藤野真紀子(東海比例)、武藤容治(岐阜3区)、谷川秀善(大阪13区)、大前繁雄(兵庫7区)、西村康稔(兵庫9区)、山崎拓(福岡2区) 計16人
要望事項を述べる井上紘一事務局長
自由民主党
公団住宅居住者を守る議員連盟
会 長 伊 藤 公 介 様
平成19年3月9日
全国公団住宅自治会協議会
役 員 一 同
公団住宅(UR都市機構住宅)に関する要望書
貴会の先生方の国政へのご尽力と、私たち全国公団住宅自治会協議会の活動及び公団住宅(都市機構住宅)居住者へのあたたかいご理解・ご厚情に心から御礼申し上げます。
公団住宅の経営・管理が独立行政法人都市再生機構に移るに際して平成15年3月に結成された、自由民主党「公団住宅居住者を守る議員連盟」の存在と活動は、私たちにとって本当に心強いものがありました。先生方のご尽力に感謝申し上げます。
このたび再び貴会との懇談会が行われる運びとなり、ありがとうございます。
つきましては、この機会に次のとおり要望事項を申し上げますので、ご尽力をたまわりたくお願い申し上げます。
要 望 事 項
1.規制緩和・民間開放の推進に関する第3次答申の都市再生機構賃貸住宅に関する事項について
衆参両院の都市再生機構法附帯決議事項にもとづき、都市機構賃貸住宅のはたす重要な役割を政府として確認し、居住者の居住の安定のための施策を積極的に推進してください。
2.都市再生機構の家賃制度の改善
前回の貴議員連盟会合の際にも要望しましたが、居住者の高齢化・低収入化が進行している現状に対処し、安心して住み続けたいとの要求実現のために、都市機構の家賃制度を改善し、現行の市場家賃基準だけでなく入居者の生活実態に合わせた、居住の安定を図る制度の拡充策をとること、
そのための予算措置等についてもご検討をお願いします。
3.国会(衆参両院国土交通委員会)の都市再生機構法案に対する附帯決 議(平成15年5月14日衆院、6月12日参院)の居住者に対する施策に 関する決議項目の具体的実施をはかること。特に次の2項目については よろしくお願いします。
(1)賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう家賃制度や家賃改定ルールに対する十分な配慮に努めること。
特に、低所得の高齢者等に対する家賃の減免や建替えに伴う急激な家賃の上昇の抑制について、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること。
*賃貸住宅は古くなればなるほど家賃は下がるのが通例なのに、公団住宅は経年劣化等に関係なく、市場家賃水準になるまで値上げがくり返されています。このようなやり方の改善をお願いします。
(2)賃貸住宅の建替えに当たっては、居住者の居住の安定を図るとともに、良好なまちづくりとコミュニティの維持に努めること。
*建て替え戻り入居者の家賃は平成10年度に制度改善されました。 しかしそれ以前の戻り入居者には適用されていないため、継続居住がきわめてきびしくなっています。改善された制度を統一的に適用して居住者間の不公平を解消し、住み続けることができるようにしてください。
4.昭和30年代団地の建て替え事業について
建て替え団地の「余剰地」の大半を民間事業者に売却している現状について、公的利用の割合を増やすようお願いします。
5.高齢者優良賃貸住宅の拡充について
都市再生機構は高優賃住宅の供給についてがんばってきています。新たにつくる「地域優良賃貸住宅制度」によって機構の高優賃供給が後退することなく、戸数増や募集方式の改善などの面でいっそう拡充されるようお願いします。
6.高齢者、身障者が住みやすい住宅・環境へ、バリアフリーの促進
中層住棟へのエレベーター設置については、これまで危ぐされてきた問題点を克服した、居住者の大半が合意できる内容のバリアフリー対策として進めるようお願いします。
以 上