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住生活基本法勉強会を議員会館で開催

52団地自治会106名が参加、7議員があいさつ

 

 全国自治協は2月24日に、家賃値上げと団地管理の民間委託問題、住生活基本法をテーマに「団地自治会代表者国会要請集会」を衆議院第2議員会館で開催しました。3月28日(火)午後1時よりその第2弾として、今国会に法案が提出され、これからの住宅政策に大きな影響を及ぼす「住生活基本法」案に焦点を当てた国会集会を、衆議院第1議員会館・第1会議室で開催しました。関東地区の5自治協と東海自治協の52団地自治会から106名が参加。
 黒田實財務局長の司会で進められ、まず楓代表幹事のあいさつの後、各党の国会議員があいさつしました。自由民主党=菅義偉、臼井日出男衆議院議員、民主党=長妻昭衆議院議員、公明党=木庭健太郎参議院議員、上田勇衆議院議員、日本共産党=穀田恵二衆議院議員、社会民主党=日森文尋衆議院議員から激励を頂きました(別項)。
 住生活基本法案に対する全国自治協の意見と要請について、多和田栄治代表幹事が報告、・居住をすべての国民にひらかれた権利として明文化を ・居住水準と住居費負担のシビルミニマム(最低限度の基準)を明確に ・公共住宅の役割を再確認し、縮小ではなく発展を ・居住者の位置づけと基礎自治体の役割を明確に等、あらためて率直にまとめ法案に対する私たちの意見として要請していこうと述べました(別項)。
 国会審議に向けた取り組みついて井上紘一事務局長が提案し、午後2時半過ぎ集会は成功裡に終了。この後、各自治協で分担して衆参両院国土交通委員の議員会館事務所を訪ね要請しました。



   住生活基本法案についての公団自治協の意見と要請


                                                     2006年3月28日
                                                全国公団住宅自治会協議会

 住生活基本法案が今国会に提出されました。
 「基本法」ですから住生活の憲法といえるものになることを期待します。憲法13条は、生命、自由および幸福追求にたいする国民の権利を、25条は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利と国の保障義務を定めています。この定めが住生活の部面において明確にされ、法律として具体化されることを私たちは求めてきました。
 国民の住まいの現状と要求をみるとき、その必要性はいま高まっています。
 だれにとっても生命と暮らしの砦である住宅が、各人の自己責任と民間企業まかせにされていくもとでは、住生活の安心・安全を得るのはますます困難となります。
 震災による家屋倒壊とおおぜいの人命喪失、耐震偽装や欠陥住宅の被害、リストラなどによる住宅ローン破綻の悲惨を私たちは日々見ています。青テントの列は十年あまり前にはなかった光景です。公営住宅への入居応募率が数十倍にも高まるなかで供給は縮小されつづけています。旧公団住宅では、居住者の高齢化と収入低下が顕著になるにかかわらず高家賃政策がとられ、居住者の居住継続とコミュニティ形成をむずかしくしています。

 これまで住宅政策は、公的資金による住宅を計画的に供給することを旨とする住宅建設計画法を建て前に展開されてきました。住宅建設5か年計画の策定に先だつ住宅宅地審議会の答申も1980年代までは法の趣旨を積極的に推進しました。      
  同法は、@居住水準目標の設定、A住居費負担の適正化、B公的住宅供給制度の役割、等々を施策目標にかかげましたが、5か年計画の全8期とも公共住宅供給の実績は目標には及びませんでした。しかしその原因を法とその目標設定のあり方に問うことはできません。行政当局が法に誠実に計画を遂行していれば、今日みられる深刻な住宅問題は起こりえなかったはずです。それどころか、さらに「構造改革」の名において、公団住宅制度につづき住宅金融公庫の廃止、公営住宅の縮小・変質が進められているのが現実です。
 わが国の住宅投資は欧米諸国に比べてもけっして少ないとはいえず、にもかかわらず国民の住宅事情は明らかに大きく立ちおくれています。その根本的な原因は、政府が「住まいは人権」、その保障責務の立場にたたず、主として内需拡大の経済政策、景気対策として住宅政策を展開してきた点にあると考えられます。国民の住まいにたいする権利を土台にしてこそ基本法としての役割が期待できます。このことは、住宅政策をめぐる世界の流れを見れば、いっそう明白です。
 1996年に国連人間居住会議はイスタンブール宣言で、住まいの権利を生存権のなかで最も重要な基本的人権と位置づけ、行動計画では各国政府がその実現に積極的に取り組み、自国の重要課題として展開することを確認しあいました。日本政府もこれに調印しています。また国際人権規約(社会権規約)は適切な住まいをすべての者の権利と認め、締結国政府にたいし権利の実現と実施状況の報告義務を課しています。国連の社会権規約委員会は政府報告書を審査し、勧告などをふくむ所見を表明します。日本政府は2001年の委員会所見にたいし次回は本年6月30日までに報告書の提出を迫まられています。国際法規の誠実遵守は憲法98条の定めるところでもあり、今回の基本法案提出が政府回答ともなるとすれば、同法を社会権規約にそう内容にするのは当然の要請です。
 住生活基本法の法案審議にあたっては、わが国住宅事情の実態を直視し、国民の居住にたいする要求を十分に汲みあげ、あわせて世界の大きな流れと国際場裏での日本政府の対応の経過にも注目いただくよう要請します。

 私たちがこれまで居住の安定・向上をもとめ活動し要請してきた経過とその内容をふまえ、同法案を国会提出に導いた社会資本整備審議会の答申「新たな住宅政策に対応した制度的枠組について」とあわせ検討しました。法案にたいする私たちの意見と要請の趣旨は以上に述べましたが、あらためて率直にまとめ要請します。

1 居住をすべての国民にひらかれた権利として明文化してください。
  「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である」は、すべての国民にかかわる基本理念であるはずです。「住宅の確保に特に配慮を要する者」とのみ関係づけるのは(第6条)、居住が国民の基本的人権ではなく、政府の配慮、施与の域にとどまることを意味します。
2 居住水準と住居費負担のシビルミニマム(最低限度の基準)を明確にしてください。
  住生活基本計画は閣議決定にゆだねられ、第1条の中核をなす基本計画ぬきに法の成立が図られています。第3条は「居住者の負担能力を考慮して、……良質な住宅の供給、建設、改良または管理が図られることを旨として」と記すのみで、住生活の安定確保と向上を保障する基準の策定を義務づけてはいません。住居基準と適正負担の限度にかんする規定なしに基本法の規範性は望めません。
3 公共住宅の役割を再確認し、縮小ではなく発展を図ってください。
  第2条は、公営住宅、公庫融資住宅、都市機構住宅等を一括して「公営住宅等」と定義しています。住宅建設計画法は「公的資金による住宅」、住宅宅地審議会答申はそのうち賃貸住宅を「公共賃貸住宅」と名づけていました。新たな「公営住宅等」の呼称に公共住宅制度の早まる縮小・変質をみるのは思い過しではなく、平成17年度予算から「公営住宅等」の科目さえ消えていることからも察せられます。
  公共賃貸住宅の役割と必要性、供給主体と居住者の関係等については、都市再生機構法の衆参両院付帯決議に明記されています。低所得階層をはじめ都市勤労者等の中間所得階層に良質の公共住宅を計画的に供給する基盤があってこそ、安心・安全の住生活水準が底上げされ、住民参加のまちづくりが推進されます。「特に配慮を要する者」に限定しての「公営住宅等」には、ソーシアルミックスの健全なまちづくりへの意向は見えず、コミュニティに荒廃をもたらし救貧対策にすぎなくなる危惧をもちます。
4 居住者の位置づけと基礎自治体の役割を明確にしてください。         
 住生活の安定確保と向上をめざす基本法の中心に位置づけられるべきは、だれよりも国民、居住者です。しかし「居住者」は全文で1か所、第9条に「連携および協力」しあうべき関係者として国、地方自治体、住宅関連事業者等が並記され、そのあとに加えられているにすぎません。基本法のなかにこそ、居住者の権利とともに住生活の主人公としての責任も明示すべきと考えます。
  住生活基本計画は、閣議が決定する全国計画に即して都道府県計画が策定されます。そのさい「インターネットの利用その他の国土交通省令で定める方法により」住民の意見を反映させ、市町村に協議することとしています。住民の意見反映と参加、基礎自治体の必要な権能の保証なしに、地域住宅行政の進展と自主的なまちづくりは望めません。この面でも基本法案の十分な検討を要請します。       以 上

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