●東京・北区議会(2002年12月)
都市基盤整備公団住宅の家賃と居住の安定に関する意見書
政府は、昨年12月に「特殊法人等整理合理化計画」を閣議決定し、都市基盤整備公団の廃止、独立行政法人化を決定した。
さらに、国土交通省は都市基盤整備公団の組織の見直しの時期を、改革を推進するために1年前倒しし、独立行政法人に移行させる方針を明らかにした。現在、来年の通常国会に関係法案を提出すると側聞している。
一方、都市基盤整備公団では、こうした国の動きがある中で、継続家賃については3年毎に改定するとの方針に沿い、平成15年4月の見直しを予定している。
しかし、公団住宅が都市基盤整備公団に移行する際、居住の安定を図るため、衆参両院の所管委員会において「賃貸住宅の家賃の設定にあたっては、居住者にとって過大な負担とならないよう十分な配慮に努めること。」との附帯決議をしている。また、公団法では、「賃貸住宅の家賃の額を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃の額、変更前の家賃の額、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めなければならない。」としている。
折しも、日本経済は長引く不況に見舞われ、景気回復は一向にその兆しさえ見えず、区民生活にも大きな影響を与えている。
本区内には、公団賃貸住宅が1万3,000戸以上あり、多くの区民が居住している。公団居住者は、高齢、長引く不況によるリストラや所得水準の低下等の状況にあり、家賃値上げは居住者にとって過大な負担となるばかりか、生活不安をもたらすことも懸念される。住まいは基礎的かつ重要な生活の場であり、居住者が生活不安を抱かぬよう空き家の解消も含め、万全の措置を講ずることが不可欠である。
よって、本区議会は政府及び都市基盤整備公団に対し、左記事項を求めるものである。
記
1.来年4月に予定されている家賃改定に際 し、継続家賃の値上げは行わないこと。
2.低所得高齢者等への家賃減免措置を拡充するなどの居住支援措置をとること。
3.都市基盤整備公団の独立行政法人化への移行にあたっては、高齢化が著しい公団住宅居住者 の居住の安定を図るよう万全の措置を講ずること。
右、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成14年12月6日
東京都北区議会議長 福田 伸樹
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 殿
国土交通大臣 扇 千 景 殿
都市基盤整備公団総裁 伴 襄 殿
●東京・北区議会(2003年3月)
都市基盤整備公団住宅の家賃改定に関する意見書
都市基盤整備公団は、4月からの継続家賃の改定を決定し、本年1月、居住者に通知した。
この通知によると、一部に家賃の引き下げはあるものの、区内の赤羽台、赤羽南一丁目、豊島五丁目、王子五丁目などの公団住宅では、軒並み引き上げとなった。
こうした中、低所得高齢者等については、居住の安定に配慮することとして特別措置がとられている。
しかしながら現下の厳しい社会経済状況に鑑みると、子育て世代や中高年世代等にとっては、家賃の引き上げは大きな経済的負担となり、居住の安定を確保することが困難な状況となる。
都市基盤整備公団成立時の付帯決議には、「家賃の設定および変更にあたっては、居住者にとって過大な負担とならないよう十分な配慮に努めること」とある。
本区議会は昨年12月、公団居住者の要望等を踏まえ、「都市基盤整備公団の家賃と
居住の安定に関す意見書」を提出したにもかかわらず、今回、4月からの家賃改定を居住者に通知したことは、本区議会の意向を軽視したもので、公団居住者の心情が理解されず大変遺憾である。
よって、本区議会は再度、政府および都市基盤整備公団に対し、継続家賃引き上げの4月実施を凍結するよう求めるものである。
右、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成15年3月26日
東京都北区議会議長
福田 伸樹
内閣総理大臣 小泉 純一郎 殿
国土交通大臣 扇 千 景 殿
都市基盤整備公団総裁 伴 襄 殿