●埼玉・上尾市議会
都市基盤整備公団の独立行政法人化及び公団賃貸住宅家賃の値上げを取りやめることを求
める意見書
政府は2001年12月19日、163の全特殊法人・認可法人について事業・組織の見直しを行い、廃止17、民営化45、独立行政法人38、その他(現状維持5、再検討13、別途整理45)を63とする「特殊法人等整理合理化計画」を閣議決定した。
都市基盤整備公団についても独立行政法人化に位置づけられており、同法人が行う賃貸住宅事業については「自ら土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設は行わない」「賃貸住宅の管理については、可能は限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図る。また、居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努める」とされている。さらに、同計画に盛り込まれた見直しは、2001年6月に成立した特殊法人等改革基本法に基づき、遅くとも2005年度末までの「集中改革期間」内に法制化など実施のための必要な措置をとることになっているが、都市基盤整備公団については、他の法人に先駆けて2004年度内までに独立行政法人化へ移行する準備が進められている。
全国公団住宅自治会協議会のアンケート調査によると、全国の公団住宅に入居している人は75万世帯、200万人。そのうち、
60歳以上の世帯主は約50%となっているほか、高齢者向けの優良賃貸住宅に入居している高齢者世帯が約20%を占めるなど高齢化が急速に進んでいることがうかがえる。
こうした中で、都市基盤整備公団が独立行政法人になり、公団賃貸住宅の売却や管理の民営化などを実施することになれば、特に高齢者を公団住宅から追い出すことにもつながることが懸念される。
このようなことから、公団賃貸住宅居住者が生活の不安を抱かず、住み慣れたところに安心して住み続けられるように、公団住宅を公共住宅として残し、より充実を図ることが求められている。
また、都市基盤整備公団は、2003年4月から賃貸住宅家賃の一斉値上げや「低所得高齢者等に対する特別措置」の打ち切りなどを検討している。
いま、企業の倒産やリストラなどの影響により失業率が依然として5%を超えるなど、日本経済の景気停滞が長期化し、各家庭の年収が下がる一方である。全国公団住宅自治会協議会のアンケート調査でも、公団賃貸住宅居住世帯の年間収入は、469万円未満の世帯が3年前より10.3%増加し、63.7%に達していることが報告されている。
このような背景の中での家賃値上げは、公団賃貸住宅居住者、特に高齢者など年金受給者の生活を直撃するばかりでなく、民間賃貸住宅家賃値上げを誘引し、今日の日本経済の不況に追い討ちをかけることになりかねない。
よって政府は、特殊法人等整理合理化計画に基づく都市基盤整備公団の独立行政法人化及び2003年4月予定している公団賃貸住宅の家賃値上げを取りやめるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条に規定に基づき、意見書を提出する。
平成14年12月19日
上尾市議会
国土交通大臣
都市基盤整備公団総裁
行政改革推進本部長
全国市議会議長
衆議院議長
参議院議長 あて提出