●第9回団地の生活と住まいアンケート調査集計結果●
世帯収入の低下が高齢化と同時進行
237団地・10万586戸が回答
 全国公団住宅自治会協議会は9月、「第9回団地の生活と住まいアンケート」調査を実施しました。その集計結果がまとまりましたので発表します。地方自治協と団地自治会の努力により237団地で実施、全戸対象にアンケート用紙を配付、配付総数は23万6,237戸、回収戸数は10万586戸、回収率42.6%でした。取り組み団地数は前回(226団地)より11団地増加、回収戸数と回収率はわずかに減少しましたが、今回もまた過去8回と同じく大規模な調査となりました。
 集計結果により、世帯主をはじめ居住者の高齢化が3年前と比べてますます進み、年金生活世帯そして低収入世帯がさらに増え、「公団住宅に長く住み続けたい」世帯も増加――といったUR賃貸住宅居住者の実態がうきぼりになりました。都市再生機構とUR賃貸住宅の「政府100%出資の特殊会社化」をめざす行政刷新会議の企図は、居住者の実態・居住の安定を無視したとんでもないもくろみであることが、鮮明になりました。
 
世帯主の高齢化が引き続き急速に進み、60歳以上が69.4%を占めました(うち70歳代以上が42.4%)。前回(2008年)は61.9%(うち70歳代以上は34.3%)、60歳代以上の世帯主は3年間で7.5ポイントも増加。70歳以上について細かく見たところ、70〜74歳17.3%、75〜79歳14.6%(70歳代合計31.9%)、80歳代が10.2%、90歳以上が0.9%となることがわかりました。
 
世帯収入について、今回、収入額を総務省統計局・平成22年度家計調査・家計収入編(総世帯)によって区分。集計結果では、世帯収入251万円以下(第・分位)が49.1%とほぼ半数。251万円〜374万円未満(第・分位)は20.5%で、年間収入374万円以下の世帯が69.6%、7割を占めています。
 このため、いまの家賃の負担感では「たいへん重い」32.5%、「やや重い」37.2%で、同じく7割の世帯が「重い」と感じています。
 
世帯収入の内容について、「年金だけ」が39.1%(前回・年金が中心36.3%)、「年金とパート・アルバイト」9.9%(前回8.1%)で、いわゆる年金生活世帯は49%を占め(前回44.4%)、いっそう増えています。世帯主の高齢化、世帯収入低下の進行と相互関係にあることはいうまでもありません。
  今後の住まいについての考えでは、「公団賃貸住宅に長く住み続けたい」が78.0%と突出しています。前回(73.2%)より4.8%増加です。大半の世帯がUR賃貸住宅を「終の棲家」とする考えをもっていることを示すものです。公団住宅に住んでいて不安に思うのは「値上げや高家賃で家賃が払えなくなること」62.8%、「民営化され公共住宅でなくなること」51.6%と答えています。

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