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都市機構「特殊会社化」検討に断固反対
   
公共住宅として守れ―11・1国会要請集会

40人の各党国会議員が支持表明と激励
 政府の行政刷新会議の独立行政法人「改革」検討作業で都市再生機構とUR賃貸住宅の特殊会社化が急浮上しています。これに反対するために、全国公団住宅自治会協議会は11月1日午後1時から衆議院第一議員会館で「行政刷新会議の『民営化』検討に異議あり――UR賃貸住宅を公共住宅として守れ! 11・1国会要請集会」を開きました。
 議員会館最大の会場(定員190人)は97団地自治会の代表219人の参加者でいっぱいになり、熱気あふれる集会となりました。民主、自民、公明、共産、社民各党の28人と代理(秘書)12人合わせて40人の衆参両院議員が出席。衆議院本会議開会前のあわただしい日程のなか、20人の国会議員がつぎつぎに発言し「UR賃貸住宅の特殊会社化には反対だ」、「公共住宅として継続させなければいけない」との見解と、全国自治協の要求の支持を表明しました。
 集会では「UR賃貸住宅の民営化(特殊会社化)に反対し、公共賃貸住宅として継続することを要求する決議」を採択しました。同決議は次の3項目を表明・要求しています。
 (1)行政刷新会議第3ワーキンググループが都市機構の特殊会社化、UR賃貸住宅の民営化を結論づけたことに強く抗議し、断固反対を表明する。
 (2)UR賃貸住宅を、政府の責任のもとで、公共住宅として継続させることを要求する。
 (3)居住者の収入に見合った、住み続けられる家賃制度の導入など施策の拡充、賃貸住宅の売却・削減計画中止、居住者本位の公共住宅再生・発展計画づくりを要求する。
 集会後、参加者は各地方自治協ごとに別れ決議を持って地元選出国会議員に要請する行動を行いました。

 
重大な事態、全自治会が立ち上がろう
 11・1国会要請集会では、はじめに林守一代表幹事が「特殊会社として民営化されれば利益第一となり、高齢者への施策はじめ居住者の居住の安定策は二の次となるなど絶対に許せない。、断固反対するため集会を開いた」と代表あいさつしました。次々にかけつけてきた20人の各党国会議員が順次あいさつし決意表明、激励を述べました。
 情勢報告と全国自治協の要求説明を行った井上紘一事務局長は、現情勢について次のように指摘しました。
 @ 独立行政法人「改革」方針の検討を進めている行政刷新会議の独法分科会第3ワーキンググループ(WG)は、10月25日の会議で都市再生機構は政府100%出資の特殊会社にせよとの結論をまとめた。私たちの住まいUR賃貸住宅を公共住宅として守っていけるのか、民営化を許してしまうのか、きわめて重大な事態をむかえた。すべての自治会が立ち上がるよう呼びかける。
 A 第3WG6人の顔ぶれは財界のブレーンではないかと思える人たちで多数を占め、その論議の実態は「はじめに結論(特殊会社化)ありき」で、特殊会社にするための障害を取り除く方策を国交省に要求するなど一方的で、居住者のことや公共住宅としての役割にはいっさい目をつぶった、きわめて不公平で片寄ったものである。こんなひどい、そして短時間の「検討」によって、半世紀にわたって蓄積されてきた公共住宅、私たちの住まいの命運を決めるやり方は絶対容認できない。これらのことは国権の最高機関を担っている国会議員もほとんど知らされていない。本集会を開いたのはそのためでもある。
 B 都市再生機構の事業と組織の見直しについては、馬淵・大畠の二人の国土交通大臣が「新しい公的法人」とすることを明言し、国土交通省は7月1日に工程表を発表した。にもかかわらず、行政刷新会議(議長・野田総理大臣)が第3WGの民営化という結論をそのまま決定するようなことがあったら政権内部の重大問題となる。
 C 私たち全国自治協の要求は、本日の決議文の最後に書いてある3項目(前出)である。
 D 2011年全国統一行動が始まっているが、運動を広げ、成功させることがきわめて重要な意義もつ。居住者は自らの住まいについてこんなひどいことが進んでいることを知らない。各自治会で全居住者に知らせ、署名・カンパ活動を大きく盛り上げよう。
                                                      
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家賃問題でも報告
 続いて、楓健年代表幹事(都市機構経営基本問題懇談会家賃部会委員)が、「10月からの家賃値上げをストップできなかったが、世界経済がいちだんと深刻さを増しているこのようなときに値上げをするなどとんでもないこと。あくまで反対する」、「基本懇家賃部会での家賃改定ルール見直し検討は、いまの状況では難しい」と報告しました。
 深沢武広報部長が「第9回団地の生活と住まいアンケート」の集計結果概要を発表しました。
 鈴木照子代表幹事が決議案を提案、全参加者の大きな拍手で採択、渡辺志げ子代表幹事が「この重大なとき、みんなが結束してがんばり抜こう」と閉会あいさつし、午後3時過ぎに終了しました。
国会議員あいさつ(要旨)
◆石毛えい子衆議院議員(民主・旧公団居住安定化議員連盟会長) 先日、超党派の議連と前田国土交通大臣へみなさんの要望を届けた。大変難しい時を迎え、累積財政赤字をどうするか、1人当たり700万円の借財を背負わなければならない状況のなか、独法見直しにURも入っているが、日本の歴史を刻んだ高齢者の居住の場・住の確保で大事にしなければと理解している。政府持ち株会社・民営化案が出ているが居住は社会保障の根幹、新しい方向性をどう導いていくか重要の時期。生活実態、団地コミュニティがソフト部分の資産と理解しており、団地を出なければならない状況はコミュニティをバラバラにしてしまう。11月いっぱいにどうするかという時、党からも発言し居住の安定に最大限努力したい。 top
◆小宮山泰子衆議院議員(民主党・旧公団居住安定化推進議員連盟幹事長) 民主党の議員連盟起ち上げから頑張っている。居住の安定化を目標にもう一度整理をして活動していきたい。本日、民主党・国土交通部会の打ち合わせがあるのでみなさんの顔を浮かべながら望みたい。今後とも頑張っていきたい。
◆末松義規衆議院議員(民主・旧公団居住安定化議員連盟前会長・首相補佐官)  去年の事業仕分けの結論が国交省から出たら、また同じようなチェックがなされるのは早いと懸念している。みなさんの生活に不安を与えないよう努力をしていきたい。top
◆杉本和巳衆議院議員(民主) 愛知県一宮、江南が選挙区。事業仕分け等で懸念が出ているが、リーマン、ギリシャ・ショックで市場万能主義は見直される時が来ている。秘書があえて江南団地に住んでおり、みなさんの事情は非常に良く分かっている。暮らしやすさは市場万能主義では絶対に実現できない。事業仕分け担当大臣に直接話せる立場におり、どうぞ使っていただきたい。
◆山花郁夫衆議院議員(民主) 住宅政策を国としてしっかり考えなくてはならない。大震災の被災者を受け入れた団地もあり、公共住宅の果たす意義をもう一度検証した上でこれからの議論を進めていくべきだ。みなさんの意見を聞き行動していきたい。 top
◆初鹿明衆議院議員(民主) たくさんの公団住宅がある江戸川区が選挙区。管理をする組織がどんな形になろうと、忘れてはならないのは居住者がいるということ。そしてみなさんが安心して暮らせることを、ずっと確保していくことが重要だ。みなさんの思いを受け止め、きっちりと行動していきたい。     
◆勝又恒一郎衆議院議員(民主) 震災以降、国民の安心・安全が問われている。住宅は安心・安全の基礎、そこが不安のみなさんの声は真摯に受け止め、微力ながらも黙っているわけにはいかない。 top
◆小野塚勝俊衆議院議員(民主) 34万人都市となった埼玉・所沢が選挙区。20〜30年の間に公団住宅等を中心にまちが形成され、地域コミュニティがつくられてきた。政治が守らなければいけないものは国民の衣食住、その住を守らなければ政治家は使命を果たしていない。居住者が高齢・低所得化し、民営化で住をなくしてしまったらそこから出て行かなければならない。大震災で世界から評価されたのは絆・精神性の高さ、その培われたコミュニティが壊れてしまう。みなさんの意見が反映されるよう頑張りたい。
◆青木愛衆議院議(民主)  東京・北区、足立区が選挙区。居住者のみなさんの生活実態を把握し、安心して住み続けられるような施策を考えていかなければならない。微力ながら頑張る。  
◆菅義偉衆議院議(自民・公団住宅居住者を守る議員連盟会長)  野党になってもみなさんの思いを守り続けていこうと全力で取り組んでいる。地震がいつあってもおかしくない状況のなか、せっかく大都市に集中してある公団住宅を民営化することは全く考えられない、阻止することを誓う。現在の住まいを終の棲家として住み続けることができるよう全力で頑張っていきたい。 top
◆下村博文衆議院議員(自民・公団住宅居住者を守る議員連盟幹事長) 選挙区にUR賃貸住宅が11ヵ所ある。UR賃貸住宅の位置づけを住宅福祉政策として方向転換すべき。現在65歳以上が40%、何年かしたら50%が年金生活になる。国民年金だけではURに住み続けることは不可能、国の方針で公営住宅に移れといわれても、そもそも受け入れがなく実際入れない。終の棲家としてコミュニティをつくったところで暮らしたいといっても、今までの延長政策では成り立たない。76万戸200万人を追い出す政策だ。高齢者をどうフォローするか、住宅福祉的観点からの最先端モデルとしてUR賃貸住宅のあり方が問われており、国がそれを考えなくてはいけない。国・役所任せではみなさんの要望は通らないので超党派の議員連盟で家賃値上げ問題も含め、国民共有の住宅問題・テーマとしてしっかり対応していきたい。
◆田中和徳衆議院議員(自民・公団住宅居住者を守る議員連盟副会長) 選挙区は人口増加率日本一の川崎、老後に不安を持つ方も多い。高齢化が進み安心して住めるようにコミュニティを確立し、住んでいるまちにお互いが愛着を持ち、終の棲家としての誇りが持てるよう政治として住に責任を持たなくてはならない。公の住の役割を正しく理解し、UR賃貸住宅にも公的役割を認めていくことが大切だ。  top
◆平沢勝栄衆議院議員(自由民主党・公団住宅居住者を守る議員連盟副会長) みなさんの要望が実現できるようにしっかり頑張りたい。
◆中川雅治参議院議員(自民) 公団住宅、UR賃貸住宅の民営化は絶対に阻止すべきである。元々が住宅政策でつくられたものであり、その意義はこれからますます大きくなっていく。効率・利潤を求める方向は自民党時代にも出ていたが、民主党になってよりひどくなり危惧している。民営化を阻止してみなさんの安心・安全のために力を尽くしたい。  top
◆富田茂之衆議院議員(公明・国土交通部会長) 
 10月26日、国土交通委員会で国交大臣に住宅問題で、持ち家政策から賃貸住宅政策にすべきではと質問した。全く同じ考えと答えられ驚いたが、すでに全国自治協の要望を受け止めたからと理解し、地元・千葉幸町、若松団地のことを大臣に伝えた。民主党がしっかりすべき、野党として民主党・政府にみなさんの居住の安定を求めていきたい。
◆高木美智代衆議院議員(公明) 公明党は高齢を向かえたみなさんが安心して住めるよう、いっしょになって全力で頑張ってきた。独立行政法人改革は住民・国民を守る視点が欠如している。安心して住める団地・地域づくりをめざし闘っていく。  top
◆竹谷とし子参議院議員(公明) 高齢化が進み年金収入で暮らしている方も多い公団住宅を住民の声も聞かずに縮小・民営化すると、たった1時間の事業仕分けで200万人の生活が不安に陥るようなことを認めるわけにはいかない。情報公開とURが努力することを十分に検討してからだ。住まいは生活の基礎、政府はみなさんの声を受け止めるべきだ。
◆穀田恵二衆議院議員(共産・国会対策委員長)
 民営化の問題、民主党がみなさんの決議を尊重するというのなら最初から決めなければよい。アンケート結果から大変な実態が見え、みなさんがコミュニティの形成に努力していることも分かる。民営化は公共住宅政策の放棄、警告を発したい。URは445億円の利益を出し借金を減らしている。問題はなぜ借金をしたかで、都市再生を名目に大企業の尻拭いをし赤字を作ったからで、きちんと筋を通すことが重要だ。 
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◆田村智子参議院議員(共産) 大震災被災者の救済ではUR団地の活用は大きく、すぐに供給できる公的住宅として国民の命を守る砦として公的役割はより明らかになった。被災者は自治会のみなさんにもお世話になっている。住宅は民間に任せればよい、もう公的住宅は要らないというやり方を許すわけにはいかない。国民の命・財産を守るため党派の垣根を越え頑張りたい。
◆中島隆利衆議院議員(社民・副幹事長)
 100%政府出資の特殊会社にするのは民営化への方向だ。与党の時、事業仕分けで無駄、官僚天下り、不透明な受注契約の排除を望んだが、残念ながら民営化・分割統配合の趣旨で行われた。居住者の声を聞かないで一方的に民営化を進めるのは政治の手法ではない。独法のあり方・無駄を検証し残すものは残す。高齢者・低所得者の安心安全は生活の基盤、国の責任でやるべきで、行政刷新・民営化の方向を阻止する立場で頑張っていく。
   
◆他の出席議員=櫛渕万里、早川久美子、古賀一成、木村剛司、神風英男、中村美恵子、岡本英子衆議院議員、行田邦子参議院議員(以上、民主)、長沢広明参議院議員(公明)

◆秘書代理出席
=齊藤勁、池田元久、黒田雄、東祥三、森岡洋一郎、藤枝一枝、中塚一宏衆議院議員(以上、民主)、平正将、井上信治衆議院議員、古川俊治参議院議員(自民)、塩川哲也衆議院議員(共産)
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