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2005年全国公団住宅居住者総決起集会を開催

◆集会決議◆

 私たちは、「家賃値上げ反対、住まいの安定をまもろう」、「安心して住みつづけられる公団住宅を」との合い言葉のもと、居住者共通の要求をかかげて2005年全国統一行動に取り組み、その集約として全国公団住宅居住者総決起集会を開きました。
 公団住宅の管理が独立行政法人都市再生機構に引き継がれて1年5カ月たちました。いま国民の間に大きな不安と怒りが広がっている強度偽装マンション事件に関連して、その大本が「官から民へ」をかかげ公共責任を投げ捨て企業利益を優先させる住宅政策の方向にあることを指摘せざるをえません。この大きな流れのなかで都市機構も「業務運営の効率化」、家賃収入の増収、資産売却の促進と「事業費の削減、コストの縮減」を強く打ち出し、市場家賃化をはかる「改定ルール」により来年4月に継続居住者の家賃見直し・値上げを行おうとしています。
 私たちが9月に実施した第7回団地の生活と住まいアンケート調査の集計結果では、世帯主と居住者の高齢化が加速し、年金生活世帯が5割近くになり、年収589万円未満世帯が8割を占めるなど、公団住宅居住世帯のリアルな実態が明らかになりました。家賃値上げなどとんでもありません。また、建て替え団地などの高い家賃を早急に引き下げることが求められています。増大する空き家を公共住宅にふさわしく解消させることも重大課題です。
 都市機構は「団地を棟単位で売却に努める」との閣議決定を「中期計画」などに盛り込み、建て替え団地の敷地売却を推進しています。現地管理業務を競争入札で民間委託する団地を大幅に増やす方針です。
 また、政府は、住宅政策を国民の自助努力と市場での住宅確保に重点をおき、公共住宅政策における国の役割を大幅縮小する方向に転換させる方針で、今年の通常国会での住宅関連3法案可決に続き、来年の通常国会に「住宅基本法案」を提出する作業をすすめています。
2003年の都市再生機構法付帯決議には、「機構は公団から承継する既存の賃貸住宅団地について、居住者の居住の安定を図ることを政策目標として明確に定め」る、「家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう家賃制度や家賃改定ルールに対する十分な配慮に努める」ことなど、私たちの要望が取り入れられました。今年の住宅政策関連法案付帯決議には「公的賃貸住宅の計画的整備、コミュニティの維持と良好なまちづくり」が盛り込まれています。私たちは、これらの項目が全面的に実行されれば、安心して住みつづけられる公共住宅として公団住宅をまもる基礎をつくることができると確信しています。
 私たちは、全国の公団住宅居住者が署名した2005年全国統一行動の以下の要求を確認し、国土交通大臣と都市機構理事長に提出します。
1.家賃値上げ反対、高家賃引き下げ。居住者の収入に応じ負担能力を考慮した家賃制度を要求します。敷金の追加徴収に反対します。
2.高齢者等への家賃特別措置の拡充と高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進、子育て世帯への支援制度をつくることを要求します。
3.建て替えは、だれもが戻れて住みつづけられる家賃にすること、建て替え団地のすべての戻り入居者に対して新制度と同一の家賃減額・特別措置をとることを要求します。
4.団地の棟ごとの売却、建て替え団地の敷地の民間売却など、公共の資産を営利目的に供することに反対し、公共住宅建設や住みよいまちづくりに公的活用するよう要求します。
5.区分経理を厳格に守ること。家賃収入は修繕や住環境整備に使用し、他の事業等の赤字補てんに使わないよう要求します。
6.団地管理業務の外部委託により居住者サービスを低下させないこと、自治会との連携強化と居住者のコミュニティ活動への協力、災害に強い団地づくりを要求します。
7.公団住宅への定期借家制度導入に反対します。
8.公団住宅を公共住宅として守り国会の付帯決議事項を全面的に実現し、住まいの安定策を積極的にすすめ、安心して住みつづけられるようにすることを要求します。
9.国土交通省の独立行政法人評価委員会都市再生機構分科会に今後とも全国公団住宅自治会協議会の意見を反映するよう要求します。
10.市場原理中心の住宅政策への転換をやめ「住まいは福祉・住まいは人権」理念にもとづく、だれもが安心と豊かさを実感できる住宅政策・公共住宅政策の拡充を要求します。
 私たちは、要求実現のため、いっそう団結を強めて運動をすすめることを宣言します。
以上、決議します。
                                   2005年12月7日
     家賃値上げ反対、住まいの安定をまもる  2005年全国公団住宅居住者総決起集会

◆特別決議◆

 耐震偽装マンション事件の早期解決と、国民の住まいにたいする国の責任遂行を要請します

 数知れないマンションの耐震強度偽装問題に、私たちは強い関心をもち、わがこととして大きな不安を抱かざるをえません。設計事務所が構造計算書を偽造した、民間確認検査会社が見抜けず、あるいは見逃し建築確認を出した、これを承知で施工され建築主は震度5にも耐えられない欠陥マンションを大量に販売した。購入した被害住民の怒りは頂点に達し、国民の不安は日々に広がっています。
 問題の根元はどこにあるのか。いまや悪徳業者間の「薮の中」報道を通りすぎて、国民の目は建築行政のあり方、さらには政府の住宅政策に向けられています。事件の経過と内容からみて、きっかけを与えたのは、民間検査機関にも建築確認をさせることになった1998年の建築基準法一部改正でした。法案審議のなかですでに、「安かろう悪かろうの検査」「手抜き検査が横行しないか」「そうさせない担保は何なのか」という質問も出ていました。これにたいし住宅局長は、民間機関をつくりあげるのが頭の中の8割方、9割方を占めており、過当競争に近い状況が起こることがもしあるならば、すばらしいことだと思っております、と答えているのが議事録に読めます。
 予想されたことが早くも起こって国民をおののかせ、国土交通大臣も行政の責任を認めざるを得なくなっています。
 しかし今日の事態にいたっても「騒ぎすぎるとマンション業界が危うくなる、景気に響く」といい、国民の生命、財産の安全にはふれない与党幹事長の姿勢や、耐震偽装マンションの建築主と政治家との関係報道は、私たちの不信をさら強めています。
 住宅は国民一人ひとりの生命と財産を守る基盤です。住宅の確保は憲法25条に定められた国民の権利であり、その保障は国と地方自治体の責任です。住宅政策が市場政策、景気対策として推進されてきたなかで、私たち公団住宅居住者はこの憲法25条の立場から一貫して「住まいは人権」「住まいは福祉」を合い言葉に、公団住宅を公共住宅として守り、公共住宅制度の発展をめざして運動を続けてきました。残念ながら、いまや「構造改革」、規制緩和、「官から民へ」の名において、国民の住まいにたいする国の責任を事実上なげだし、民間企業にまかせ自己責任に帰する住宅政策が強められています。さらに政府は市場中心の政策体系に抜本的に組み替える準備を急いでいます。「住宅セーフティネット」の言葉はつくられていますが、その確かな政策はみられません。むしろ、人間らしい最低限度の住宅を不十分ながらも確保してきた公共住宅制度さえも解消する方向が示されています。
 私たちは、耐震偽装マンション事件のほか阪神淡路、中越地震等の住宅被害が政府の責任において速やかに解決されることを要請するとともに、あらためて国民の住まい確保にたいする国と地方自治体の責任と、住宅・まちづくりの公共性重視の必要性を、内外に訴えます。以上、決議します。
                                                                                      2005年12月7日   

   家賃値上げ反対、住まいの安定をまもる  2005年全国公団住宅居住者総決起集会

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