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◆東京・調布市

 公団家賃の値上げ見合わせ、居住の安定を図り、国会決議の全面実現を求める意見書

 日本住宅公団以来50年続いた公団は平成16年6月30日をもって廃止され、公団住宅の管理は7月1日新たに設立された独立行政法人都市再生機構(都市機構)へ引き継がれた。都市機構は業務の重点を住宅供給から市街地再開発、特に基盤整備事業を重点的にしている。
 都市機構は、継続居住者の家賃について「3年ごとに見直し、近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないように定める」とし、平成18年4月1日から実施するために家賃の見直し作業を行っている。家賃改定の基準は近傍同種の市場家賃であるから、調布市の神代団地では近傍同種となる「空き家家賃」は2DK(46.15〜55.66u)で、100.400〜133,200円、3DK(61.74〜63.41u)で128,300〜146,100円となるので、これから推計するとかなり大幅な値上げが心配される。
 神代団地では本年9月に「団地の生活とすまいアンケート」調査が実施された。この調査は1987(昭和62)年から3年ごとに全国の団地で実施されている。住まいの問題は、居住者の関心も高く、66%の回収率を得ている。この結果、世帯主60歳以上55%で、3年前(平成14年)の50.8%に比べ高齢化が進んでいる。収入は446万円未満が66.5%に上り、家賃の負担感は大変重いが49.6%、やや重いを合わせると87%になっている。
 平成15年の通常国会で都市再生機構法案を可決した際に、衆・参両院の国土交通委員会は附帯決議で「居住者の居住の安定を図ることを政策目標として明確に定めること」「賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担にならないよう家賃の減免等については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること」を決議している。
 今回もし家賃値上げが行われると、家賃が一層「過大な負担」となり、さらに控除項目の削減により、今まで低所得の高齢者が受けている特別措置が受けられなくなる高齢者世帯がふえる。今回の調査でも63%の居住者が神代団地に住み続けることを願いながらも、家賃値上げ等の不安で「公営住宅に住みかえたい」世帯が15%に及んでいる。
 神代団地居住者の生活実態から見て、高齢化が進み、増大しつつある年金生活世帯はもとより、子育て世帯にとっても日々の暮らしは大変厳しく、家賃値上げは家計を直撃する。
 よって、調布市議会は、居住者の家計の実態と国会決議に照らして、値上げ実施を見合わせるよう、以下の事項について切に要望する。

1.団地居住者の生活実態を見ても、来年4月に予定されている家賃改定に際し、継続家賃の値上げは見合わせること。
2.低所得高齢者等への家賃減免措置を拡充し、子育て世帯に居住支援策をとること。3.独立行政法人都市再生機構は、衆・参両院の附帯決議事項を遵守し、高齢化と収入低下が著しい居住者の居住の安定を図るための万全の措置を講ずること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成17年12月16日              調布市議会議長 杉崎 敏明

 提出先  内閣総理大臣  国土交通大臣  独立行政法人都市再生機構理事長

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