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公共住宅として今後も守り抜くことを求め
各自治協役員・代表者国会要請集会を開催
 全国自治協は、5月14日(金)午前11時より衆議院第2議員会館の会議室で、「UR賃貸住宅を公共住宅として守ろう――各自治協役員・代表者国会要請集会」を開催、関東の5自治協を中心に北海道から九州までの10地方自治協から40人が参加しました。
 4月26日に行われた行政刷新会議ワーキンググループの「事業仕分け」で、賃貸住宅事業は「高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行、市場家賃部分は民間に移行する方向で整理」という評価結果になりました。これはすべての公団住宅を民営化対象にすることを初めて打ち出したもので、居住者にとっては絶対許すことができない結果です。これに対し、全国自治協は抗議声明(全国自治協機関紙631号掲載)を発表、断固反対を表明しました。前原誠司国土交通大臣と国土交通省がこの評価結果にとらわれることなく、冷静に対処することを切望し、公団住宅を安心して住み続けられる公共住宅として存続させることを各党国会議員のみなさんへ要請するため、集会を企画しました。
 黒田實財務局長の司会で進められ、最初に林守一代表幹事が「4月26日の仕分け以後、各自治協に対して公団住宅居住者からこれからいったいどうなるのかという不安や疑問が寄せられている。仕分けの現場は大方がテレビ・ニュース等でさわりのところだけを見ているから不安になる。我々は仕分け結果をきちんと把握し、議員のみなさんのお力をお借りして公団住宅居住者の要望を実現させていきたい」とあいさつしました。
 この後、あいさつ(別掲)をいただいた国会議員は、○民主党=小宮山泰子衆議院議員(旧公団居住安定化推進議員連盟事務局長)、松崎哲久衆議院議員 ○自由民主党=菅義偉衆議院議員(公団住宅居住者を守る議員連盟会長)、田中和徳衆議院議員(同副会長)、中川雅治参議院議員 ○公明党=斉藤鉄夫衆議院議員竹内譲衆議院議員 ○日本共産党=穀田恵二衆議院議員仁比聡平参議院議員 ○社会民主党=渕上貞夫参議院議員―10議員(他代理出席6人)でした。
 多和田栄治代表幹事が「76万戸200万人が住む公団住宅を2〜3時間で、あのような仕分け人によって簡単に決められていくことの恐ろしさ。国の政策・方針は国会議員に託すのであって仕分け人ではない。仕分け人を仕分けすべきで本日ご出席の議員のみなさんに仕分け人になっていただきたい」等と今の情勢報告を行いました。また、最後に井上紘一事務局長が今後の取り組みとして「民主党議連の尽力で5月24日、・前原大臣に直接お会いし、きちんとした方向付けをしてほしいと要請を行うことになっている。・5月26日午後2時より全電通ホール(神田駿河台)で『全国団地代表者緊急集会』を開催し要望書を決議して、国交省・住宅局長へ提出・要請行動を行う。集会を成功させたい。・また、地方自治協・自治会は国会議員の地元事務所へ要請を強めよう。・6月議会に向けさらなる意見書提出の取り組みを」と提起、全国自治協がヒアリング出席した国交省の「都市機構のあり方検討会」等の報告も含めて述べ、終了しました。

各政党国会議員のあいさつ
◇小宮山泰子衆議院議員(民主党)    top
                                    旧公団居住安定化推進議員連盟事務局長
 今回のことの発端は、公団住宅にお住まいの方々と都市整備の派手な部分と一緒にされてしまったという、そこからすべて歯車がおかしな方向に流れてしまったということを私はつくづく痛感している。
 居住の安定はしっかりと整えていかなくてはならないと思っている。皆さまが本当に地道に生活されており、地に足のついた地域活動や見守り活動などをされているのにもかかわらず、TVで大きく報道される都市機構ははっきり言って派手なところしか出されない。
 守らなくてはいけないところは声を上げなくてはいけない。それと皆さんからご要望があった国土交通大臣への要望書提出ですが、24日ということで日程を決めさせていただいた。その時にも思いの丈をぶつけていただきたい。
 それから事業仕分けに関してですが、あれをしたからと言ってすべてそのとおりになるということではなく、参考にするためにやっている。与党だから本当に必要なところはしっかりと確保する、民主党は皆さまの居住の安定を図れるよう一丸となっていきたい。


◇松崎哲久衆議院議員(民主党)    top
 仕分けの結果について新聞テレビで報道されてみなさんにご心配をかけたかと思う。みなさんに居住の不安を与える、これはあってはならないことだと思っている。仕分け人がURの事業の採算性等を見たときにどうなのかの評価がでた。でも実際に民間に譲渡するとき、評価額はどうするのか等いろいろある。これからUR賃貸住宅をどうしていくべきかは別の問題で既に住んでいる方には不安を与えない。これは国土交通省も民主党はじめ与党議員の共通の認識である。


◇菅義偉衆議院議員(自由民主党)
                                    公団住宅居住者守る議員連盟会長       top   
 
 今回の事業仕分けで、仕分けをされた人たちはUR賃貸住宅の実態を知っているのか疑問に思った。たとえば公営住宅が1,000万戸も全国にあるのだという人もいた。どこにあるのだと言いたい。そんな人たちにみなさんの大切な住宅が仕分けされる、私はこれは絶対にあってはならないことだと思っている。与党の時代、家賃値上げの際にみなさんの意見を十分聞きながら、相談しながらやってきた。そういうことを踏まえ、自民党公団住宅居住者を守る議連は議員数は少なくなったが、みなさんが安心して住み続けることができる環境整備のために頑張っていきたい。


◇田中和徳衆議院議員(自由民主党) 
                                    公団住宅居住者を守る議員連盟副会長
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 今回の事業仕分けについては残念に思っている。私どもが与党の時代、皆さんの代表に金子国土交通相に会っていただいたり、私自身も国土交通省の政務官であったり、財務省の副大臣であったりしたとき、皆さんの思いをしっかりと国政に届けたと思っている。
 今回の事業仕分けをみると誤解とよくわからない中で、変な方向に行きかけていると思っている。UR全体の話の中のやり取りと、賃貸住宅の話をごちゃまぜにして、わけのわからん方向に行ったら大変なことだと思っている。私の選挙区にもUR賃貸住宅にお住みの方々がたくさんおり、いい街をつくり、故郷をつくり、生活を守っているわけだから、皆さんのために頑張っていきたい。


◇中川雅治衆議院議員(自由民主党)    top
 自民党政権時代でも常に公団住宅に対しては民営化とか、効率化を図るべきだとか、家賃はもっと上げるべきだとか、定期借家契約を導入すべきだ等の話があった。私はもともと大蔵省の役人で、理財局というところに長いこといた。この理財局というところは日本住宅公団の時代から公団住宅を住宅政策として建ててきた。住宅政策として必要だから必要な資金も供給してきた。
 住宅政策として出発した公団住宅を民営化という形で議論するのは間違いと思っている。住宅と道路は社会資本の2大柱、それをしっかりと押さえてきたから今の日本の繁栄がある。社会政策としてやってきたものを今ここに来て急に事業仕分けという形で効率化・民営化と、今までの歴史的経緯、政策の必要性を理解しない人が仕分け人になって、パッパと右、左に決める政権のやり方をみて、あきれ返るし、情けない。今後もみなさんの立場に立った私の考える政治をしっかりと実現していきたい。


◇斉藤鉄夫衆議院議員(公明党)
                                    党政務調査会長
                    top
 独立行政法人の事業仕分けそのものには意義があると思っている。しかし、独立行政法人の仕事のやり方、お金の使い方、人事のあり方という問題と、その独立行政法人がやっている仕事の社会的意義という問題を別個に議論しなくてはならないのに、それを今回は混同してしまった。天下り問題と、公共住宅が果たしている社会的使命は全く別の問題だ。公明党は自公政権時代に先頭に立って住宅基本法もつくって、公共住宅の意義を明らかにしている。UR賃貸住宅を民間にするということはあってはならないことだ。
 先般、公明党の高木議員が衆議院決算行政監視委員会で枝野行政刷新大臣と馬淵国土交通副大臣に今回の事業仕分けの結果について質し、「公共住宅の意義についてはよく分かっている」「この事業仕分けの結果をそのまま適用するとは考えていない」との答弁を引き出した。公明党はこれからもUR賃貸住宅が果たしている役割を社会にしっかりと認識させるよう頑張っていきたい。


◇竹内譲衆議院議員(公明党)
                                   党国土交通部会長
               top      
 冬柴大臣の時にもURの民営化再編の流れがあったが、それに冬柴さんが民営化・解体は許さないとしてブレーキを踏んだことで一部からバッシングを浴びた。しかし、今でもみなさんにご迷惑をかけないということでブレーキをかけているところ。公団住宅に住んでいる高齢者など弱い方々を守らなくてはならない。私どもは抜本的な考え方の転換をさせなくてはならないと思っている。
 先日の事業仕分けの結果には大変不満だ。これからは収入に合った家賃制度を考えなくてはいけない。みなさんが安心して住める家賃体系を提案したい。


◇穀田恵二衆議院議員(日本共産党)
                                    党国会対策委員長
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 個々の事業仕分けのやり方がこれでいいのかと思う。これは今まで前政権が行っていた規制改革会議における民営化と違うのかどうか、私どもは同じと思っている。当時打ち出したストック再生再編方針ときっぱり縁を切るのかどうかが問われている。新しい政権は、国民生活第一と言ってきたわけだから、UR賃貸住宅をどのようにしたいのか方向性を出すべきだ。公共住宅から撤退する政府のやり方は間違っている。
 UR賃貸住宅の実態をみると高齢者が多くなっている現実のもとで、それをどうしていくのか。今度の結果でいうとそれを自治体や国に移行するというなら、誰が引き受けるのか問題になってくる。現在のやり方、方針を白紙撤回して当事者の話を聞くことが出発点だ。
 UR賃貸住宅部門は黒字だ。その黒字を都市再生部門の穴埋めに使うのは間違いだ。闘わなければならない時には闘わないと、今がその時にきていると思う。


◇仁比聡平参議院議員(日本共産党)     top
 今回の事業仕分けの評価は、将来に対する不安にあふれている。UR賃貸住宅をなぜバラバラにして売り渡すことばかり考えるのかといいたい。与党はみなさんに対して住まいは守るというなら、事業仕分けの結論、住まいは売り渡すという部分については撤回して、絶対にやらないということを表明したらどうか。URの都市再生事業については大きな赤字があってこれをどうしていくかは勿論考えていかなくてはいけないが、UR賃貸住宅の部分・分野には税金は入っていない。
 約76万戸の賃貸住宅を一体として管理運用し住宅としてうまくいっている。それをどうしてバラバラにしなくてはいけないのか。UR賃貸住宅には高齢者や収入の少ない人だけでなく、子育て世帯や中堅所得のサラリーマンも、終の棲家で暮らしている人もいる。そう考えると今回の仕分けは信じがたい。
 住まいは福祉。市場万能、住宅政策は民間に任せるという考え方を根本的に改めて、公団住宅は削減するのではなく、住まいは福祉で、住宅を大切にして、住まいを守る運動を発展させるよう頑張っていきたい。


◇渕上貞雄参議院議員(社会民主党)
                                     党副党首
 人間が生活していく上で一番基本的なものは住宅。そこに住まわれている方々が国の政策によって不安になっていくようなことは、あってはならないし、させてはいけないことだ。社民党は、いかにして公共住宅が充実されるかに力点を置くべきと思っている。
 そこに住んでいる人たちに不安を与えてはならない、ということを基本的認識のもとに、事業仕分けへ参加した。
 社民党は本日みなさんからいただいた要望を真摯に受け止め、これから先、みなさんのご意見が充実発展するよう臨んでいきたい。
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