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不当な「仕分け」に反対し、UR賃貸住宅を公共住宅として守れ
全国団地自治会代表者緊急集会を開催
 全国自治協は5月26日午後、「不当な『仕分け』に反対し、UR賃貸住宅を公共住宅として守れ全国団地自治会代表者緊急集会」を東京千代田区の全電通ホールで開きました(写真)。
 全国10地方自治協の116団地自治会から421人の役員らが参加、4党の国会議員が来賓出席しました。
 この集会は、4月26日の行政刷新会議ワーキンググループによるUR賃貸住宅の事業仕分けからちょうど1カ月経過したところで開きました。この間、不当な内容に抗議した全国自治協声明を出し、国土交通省住宅局に要請し、各党国会議員に訴え、各自治協代表者による国会要請集会を開き、前原国土交通大臣に面会して要請と、活動を積み重ねました。
 冒頭、林守一代表幹事が「都市機構事業仕分けを傍聴し、一番驚いたのは『UR賃貸住宅の役割は終わったのか?』と問われ、国交省住宅局長が『終わった』と、まだ住んでいる人間がいるのにひどいものだ。天下りや税金の無駄使いを洗い出すのではなく、ふたを開けたら高齢者等向けは国・自治体がその他の市場家賃部分は民間へ移行。公団住宅は市場家賃だから全部民間移行になってしまう。都市再生の膨大な赤字を賃貸住宅部門で穴埋めしている。仕分け人は実態を分かっていない。居住者に仕分け結果をふまえ、国交大臣発言やきょうの集会の模様を伝え、運動を大きく展開し力を合わせて反対していこう」とあいさつしました。
 緊急集会では、これまでの取り組みによって民営化の方向ではなく公共住宅として継続させる展望を開きつつあることを確認、公団住宅と居住者の居住の安定を守り抜くために、いっそうがんばろうと誓いあいました。
 民主党・末松義規衆議院議員、自由民主党・下村博文衆議院議員、公明党・竹内譲衆議院議員、日本共産党・穀田恵二衆議院議員が力強いあいさつ(別掲)をし、団地自治会代表を励ましました。
 5月24日に前原大臣に提出した要望書を集会の名で確認、全国自治協幹事と各自治協代表による25人の要請団が国土交通省に出向き、川本正一郎住宅局長らに要請しました。

各政党国会議員あいさつ

◆末松義規衆議院議員(民主)
                                      旧公団居住安定化推進議員連盟会長           top
 都市機構事業仕分け結果を見て、このような結果になること自体不勉強だと思う。引き受ける自治体がどこにあるか、国交省も調査し分かっている。高額市場家賃住宅の家賃収入は高齢者が住んでいる住宅へまわっている実態、これを切り捨てればどうなるか分かっていないという指摘にはまったく同感である。国交省はこの部分についてかなり勉強している。
 一昨日、自治協代表のみなさんに大臣と会っていただいた時、民営化について大臣は「全体として民営化は全く考えていない」と断言されたことを報告する。仕分けでは高齢者・低所得者が追い出され、住まいの安定が継続できない認識を持っている。また「民営化したら11兆円の借金をだれが支払うのか。これらも含め責任ある対応をとらなければならない」ということであった。
 現政権に公共住宅としての方針を出してほしいという要請だが、団地を視察して大臣は「医住接近高齢者用住宅、バリアフリー、耐震化等の公共住宅の方針が出される見通しとのこと、家賃補助についても確言をされ安心感を持った。しかし、「ファミリー企業にはメスを入れなければいけない部分はある」と言われた。大臣は議連にも参加していたので問題意識は分かっており、仕分け結果は国交省と十分話し合っていくので、みなさんの居住の不安定化には繋がらないと考えている。今後もがんばっていきたい。 



◆下村博文衆議院議員(自由民主党) 
                                      公団住宅居住者を守る議員連盟幹事長            top
 選挙区の板橋区では公団賃貸住宅が1万戸を超えており、身近な問題としてとらえている。事業仕分けは、国民から見ると「パンとサーカス」、ローマ時代、国民に見せ物を見せる。結果的にそれによってローマ帝国は滅びた。見ていると今までの偉そうな役人がやっつけられて気持ちがいいこともある。確かに天下り等の無駄な部分があったのは事実で、事業仕分けを否定するわけではない。しかし本質的な部分が欠けており何のためにするのか、仕分けをする部分としてはならない部分、国家の存続のために大切な部分を何でもかんでも素人が短時間で決めてしまうことは、その場は気持ちがよいがとんでもないことになる。
 都市再生や関係法人との取引の抜本的見直しは必要だ。しかし賃貸住宅事業の見直しは今までの実績、国の住宅政策をどう考えるかを全く無責任に放棄してしまうこと。
 一昨日、みなさんの代表が前原大臣に会う際、同席した。これは絶対に事業仕分けの対象にするようなものではなく、長く住んでいる方が年金生活をせざるを得なくなっている。高齢・低所得者が家賃が払えないからと追い出されるようなことがあってはならない。地方自治体が引き取れないから民営化すれば追い出しを合法的に認めることになる。
 今まで以上に高齢者や低所得者が安心して公団に住み続けるようにすることが本来の国の責務。これには賛同すると前原大臣も表明した。その場だけでみなさんの言うことはもっともだと言ってもダメで、国民の前できちんと表明してほしい。政治家は言ったことに責任を持ち、約束したことはキチンと守ることが大臣と国民との信頼関係だが、住んでいる方々はまだ安心できない。
 公団賃貸住宅のみなさんが、安心して住み続けられる施策を行っていくことがこの国の政治の責任。みなさんと連携しながら頑張っていきたい。



◆竹内譲衆議院議員(公明党)           top
 京都の選挙区で、京都にも公団住宅がたくさんある。前政権の民営化、規制緩和の流れの中で冬柴国土交通大臣がUR賃貸住宅の問題では唯一抵抗勢力としてみなさんを守るためにやってきた。家賃の値上げについては昨年、今年と見送りをさせた。定期借家契約の幅広い導入についてもストップをさせている。
 事業仕分けについては評価できる部分とできない部分があり、随意契約の見直しや天下りの斡旋禁止等はやらなければならないこと。しかしUR賃貸住宅の問題については、実態が分かっていない。公営住宅は全国に1,000万戸あると言ったり、公団住宅へ足を運んでみなさんの声を聞けばあのような発言にならなかったと思う。実態を分かっていない人が仕分けをすることが問題だ。
 民営化については阻止しなければならない。みなさんが安心して住み続けられる公共住宅として守り抜かなければならない。また、今さら切り分けて自治体へ移行すると言っても受け入れる自治体はない。国が積極的に寛容してみなさんの生活を守らなければならない。みなさんからの要望4点、しっかりと受け止め身体を張って頑張っていきたい。



◆穀田恵二衆議院議員(日本共産党)        top
 仕分け人こそ仕分けすべきでは。住宅政策の視点がない、実態を知らない、公営住宅と公団住宅の違い・数すらも分からないとは如何なものか。このやり方はおかしいと18日の国土交通委員会で、公団住宅は国民が安心して住み続けられる住まいの確保を目的にした住宅政策の中心事業であったことを確認し、生存権、人権的視点からこの問題を住宅政策として議論すべきと主張した。かなり問題意識を共有するという前原大臣の答弁だった。
 全国自治協幹事が大臣に面接した際、「仕分けの判断は最終結果でない」と話されたそうだ。最終結果でなければ民営化はしない・公共住宅として守ることを国交省へ求めよう。それには都市機構が進めている民営化の地ならしを止めさせること。自公政権が作った団地再生・再編方針、売却・削減計画を撤回させること。官から民への小泉構造改革路線で規制改革会議が主張した民営化路線を転換し、居住者が安心して住み続けられる公共住宅にすべきだ。
 賃貸住宅部門はずっと黒字、それは団地の修繕等に振り向けるものであって、都市再生事業の損失穴埋めに使うことは許されない。家賃の近傍同種は止め、収入に応じた家賃制度にあらためること。仕分け人や国土交通省に生存権を脅かす権利はない。闘い抜こうではありませんか。



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