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家賃値上げ当面延期

国交大臣要請を受け入れ決定

全国の団地自治会の運動実る


 来年4月に予定されていた継続家賃の値上げは当面延期になりました。全国の団地自治会の運動が実りました。
 12月2日、金子一義国土交通大臣は記者会見で「厳しい経済状況を考慮した上で対応するよう再検討を指示した結果、来年4月からの継続家賃の値上げは当面延期することとなりました」と述べました。
 これを受けて都市機構は、同日、UR賃貸住宅の継続家賃改定(引き上げ)の延期について「……このたび、国土交通大臣から、継続家賃の改定(引き上げ)について、厳しい経済状況を考慮した上で対応するよう要請を受け、検討を行った結果、平成21年4月に予定している継続家賃改定(引き上げ)は、当面延期することといたしました」と記者発表。発表文には「…募集家賃の改定およびそれに伴う継続家賃の引き下げについては、市場家賃の変動を適切に反映させるため、実施を予定…」も添えられています。
 大臣の記者会見の模様(抜粋)は以下のとおりです。
 「一つ私からのご報告でありますが、都市再生機構の賃貸住宅の家賃の問題です。3年ごとの家賃改定が来年4月に予定されています。これに対しまして、先週、 自民党の『公団住宅居住者を守る議員連盟』や公党明国土交通部会からは、継続家賃の値上げを当面の間延期するよう要請があり、また、地方議会からも同様の意見書を頂いています。今現在、政府では定額給付金の給付など経済対策を実施しようとしているところでありますので、私から、都市再生機構に対し、こうした厳しい経済状況を考慮した上で対応するよう再検討を指示していました。その結果、昨晩に到りまして、機構の理事長から報告があり、来年4月からの継続家賃の値上げは当面延期することとなりました」
 自治会・自治協は一丸となって来年4月からの継続家賃の値上げ見合わせを求め、各党の国会議員へ訴え、地方議会へ「値上げ見合わせ」の意見書提出の陳情・請願を行うなど運動を進めてきました。とくに、第8回団地の生活と住まいアンケート集計結果からの団地居住者の生活実態と切実な要望は、各党国会議員にたいへん重く受け止めていただきました。 


「継続家賃値上げ当面延期」決定までの全国自治協の取り組み経過

 12月2日、都市機構は「平成21年度の継続家賃値上げは当面延期」を発表しました。2009年4月からの家賃値上げ問題に対する取り組みは全国自治協の2008年度の最重点課題の一つでした。6月の定期総会以降、都市機構の経営基本問題懇談会家賃部会に対する取り組み、第8回アンケート活動、2008年全国統一行動署名活動の推進、地方議会への請願・陳情活動、そして地元選出国会議員への要請と、各自治協と自治会が一丸となって、「家賃値上げ中止」めざしてがんばりました。
 その経過をふり返ります。
◆6/22 第35回定期総会で「2008年度活動方針」を採択
   「U 安心して住み続けられる家賃制度に
     (1)継続家賃見直しによる2009年4月のいっせい値上げに反対する」
◆6/26 東京23区自治協の自治会代表が都市再生機構東日本支社に「2009年4月の家賃値上げを行わないことを要求する世帯主署名」1万2,130世帯分と3,941世帯からの切実な声を提出。
◆7/6 第1回幹事会で家賃改定に対する取り組み方針を協議。
◆7/19 住宅政策家賃対策部会で基本懇家賃部会への対応方針を協議。
◆7/24 都市再生機構経営基本問題懇談会第6回家賃部会。「平成21年度継続家賃の改定案を専門部会で検討する」として作業を開始を確認。全国自治協の楓健年委員は・家賃見直しは慎重な審議を・現行改定ルールの見直しを・居住者の切実な声に耳を傾けてほしい――などを求める要望書を提出。
◆8月  第8回団地の生活と住まいアンケート活動の実施に向けて調査用紙作成などの準備作業。
◆9月  全国の団地自治会がいっせいにアンケート用紙配布、回収活動、集計作業。
◆10/23 住宅政策家賃対策部会を開き、2009年度家賃改定に対する全国自治協の対応方針を協議。
◆10/24 アンケートの全体集計結果(高齢化と定収入化の急速な進行など)がまとまり記者発表。都市機構本社と国土交通省住宅局に説明。
◆10/28 都市機構本社と住宅政策家賃対策部が家賃改定問題で話し合い。
◆10/31 アンケート結果について自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟(伊藤公介会長)に説明し、家賃値上げ反対への協力を要請。
 菅直人民主党代表代行にアンケート結果を説明し、@UR住宅の民営化阻止A家賃値上げ反対を要請。
◆11/5 都市機構経営基本問題懇談会第7回家賃部会開く。2009年度継続家賃改定について「現行『家賃改定ルール』を基本として実施するが、低所得高齢者等への特別措置の特例を設けることが適当である」との専門部会の提案を承認。全国自治協・楓委員はアンケート結果を配布し「多くの居住者が値上げになる」として改定案に反対。これに対し座長は「家賃部会としてはこの案を承認するが、実際に改定を実施するかどうかは都市機構が判断すべきこと」ととりまとめる。 
◆11/5 住宅政策家賃策部会で基本懇家賃部会の結果に対する取り組み方針を協議し、国会議員への要請活動に力をつくすことを確認。
◆11/7 神奈川自治協役員が神奈川県選出の13人の国会議員を議員会館に訪ね要請。
◆11/11 民主党議員連盟の末松義規衆議院議員に要請。
◆11/12 民主党議員連盟が都市機構に家賃値上げするなと申し入れ。
◆11/13 東京多摩自治協の自治会役員45人が多摩地区選出の全衆議院議員と東京選出参議院議員を議員会館に訪ね要請(7人の議員本人に直接要請)。
 埼玉自治協が民主党議員連盟事務局長の小宮山泰子衆議院議員に要請。
◆11/17 東京23区自治協の自治会役員41人が23区選出衆議院議員と東京選出参議院議員に国会などで要請(5人の議員本人に直接要請)。公明党代表・太田昭宏衆議院議員に面会し要請。
◆11/27 千葉・茨城自治協の自治会役員25人が地元選出国会議員26人を国会に訪ね要請。 埼玉自治協の自治会役員20人が埼玉県選出の全国会議員32人の議員会館事務所をまわり要請。
◆11/27 自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟が総会を開催。18人の議員と26人の代理が出席、伊藤公介会長、臼井日出男副会長、菅義偉事務局長はじめ出席議員がこぞって発言し「値上げしないこと」と決議。全国自治協役員と自治会代表約70名が参加し、国土交通省住宅局の佐々木基大臣官房審議官らと都市機構の尾見博武理事、根岸尚住宅経営部長らも出席。
◆11/28 自由民主党の議員連盟の伊藤会長はじめ16人の議員が金子一義国土交通大臣に総会決議を手渡し「値上げしないこと」と要請。
 公明党の太田昭宏代表と国土交通部会の9議員が金子一義国土交通大臣に「家賃引き上げの凍結」を要請。
◆12/2 金子国土交通大臣が記者会見し「都市機構に再検討を指示していたが、昨晩に到って、都市機構の理事長より来年4月からの継続家賃の値上げは当面延期すると報告があった」と発表。
 都市機構が「UR賃貸住宅の継続家賃改定(引上げ)の延期について」記者発表。「このたび、国土交通大臣から、継続家賃改定(引上げ)について、厳しい経済状況を考慮した上で対応するよう要請を受け、検討を行った結果、平成21年4月に予定している継続家賃改定(引上げ)は、当面延期することといたしました」。
 全国自治協がコメントを出す。「全国自治協の要求を政府・都市機構に受け入れていただき、たいへんうれしく思うし、ご尽力いただいた方々の誠意と努力に感謝します。……『これ以上家賃が上がると団地に住み続けられなくなる』との切実な居住者の声を背にした全国の団地自治会の努力が反映され、国会議員のみなさんのご尽力の結果であります」「今回の措置は『当面延期』であり、今後、関係者との具体的な話し合いをしていかねばなりません」。

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