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家賃値上げ反対!
団地自治会代表者国会要請集会を開催
出席国会議員18人、団地自治会役員約150人が要請
 全国自治協は都市機構による継続家賃値上げ問題が重大段階を迎えた1月25日、新しくなった衆議院第2議員会館の多目的会議室で、「家賃値上げ反対!団地自治会代表者国会要請集会」を開催。関東を中心に92団地自治会から役員約150人が参加して、出席した与野党の国会議員本人18人と代理出席15人へこの4月の家賃値上げ見送りを要請しました。第177通常国会召集の翌日でしたが、かつてなく大勢参加した議員のみなさんはこぞって値上げ反対を表明するなど、大成功をおさめ都市機構側に厳しいパンチを食らわせました。

 全国自治協を代表してあいさつに立った楓健年代表幹事は、次の3点をあげ家賃値上げに反対を表明しました。
 @ 2年前、各党に厳しい経済状況の中で値上げをすべきでないという申し入れを国土交通大臣にしていただき、値上げが延期された。経済状況は2年前と全く変わっていない。むしろ悪化している中で値上げはすべきではない。馬淵前国土交通大臣は値上げやむなし、特別措置には配慮をと記者会見で発言。機構が配慮の報告をしようとしたら大臣が変わってしまった。新大臣に報告しなければならないが会うことができていないのが現状だ。民主党内閣がこの家賃値上げについてどういう態度を取るのかが値上げ実施にかかっている。
 A 経済事情が全く変わっていないのにどうして値上げしようとするのか理解できない。値上げ見送りで30億円収入減、まるで賃貸住宅収支が30億円赤字のように言うが機構の財務諸表では毎年600億〜800億円の収入を上げ、たいへんな黒字を出している。それでもなお値上げをしようとする。
 B 都市機構の家賃部会の冒頭、理事長が今の家賃改定ルールは決められてから10年以上経っており、来年度はルールの見直しに着手したいと表明。このことは重大である。機構自身が今の改定ルールには問題があることを認めたからこそ見直しが必要だと。このルールに基づいて3年周期から2年延期したものを1年残して値上げしなければならないのか納得できない。
 各党議員には居住者の気持ちをぜひご理解いただき、さらに延期されるようご尽力をお願いしたい…と述べました。

 この後、出席していただいた各党国会議員全員からあいさつをいただきました。代表発言を下記に掲載します。多和田栄治代表幹事が基調報告をし、「私たちの住まいを守るカギがいまや民主党内閣に、国土交通大臣の手に握られている」と強調。都市機構の今年4月からの家賃値上げ実施強行を止めさせる取り組みを井上紘一事務局長が提起し、大畠章宏国土交通大臣への要請書を確認し、いっそうの奮闘を誓い合いました。

左から石毛民主議連会長、末松内閣府副大臣、菅自民議連会長、長沢議員、穀田議員
●末松義規内閣府副大臣民主党旧公団居住安定化推進議員連盟前会長
 今朝ほど大畠新国土交通大臣と話をし、自治協のみなさんと大臣との会合の了解をいただいた。あとは日程だけ、大畠大臣にはみなさんの気持ちを伝えた。

●石毛^子衆議院議員…民主党旧公団居住安定化推進議員連盟会長
 扇国土交通大臣時代の都市再生機構法案の論議で、家賃改定の際は必ず自治協のみなさんと協議をするという付帯決議を実現したということを今、思い起こしている。そうしたモラルを国交省にもきっちりと受け止めて頂き、UR都市機構もそのことをしっかりと継承しながら、モラルにそぐわないことはしないようにという思いだ。
 昨年国交省に自治協のみなさんと要請を行い馬淵大臣の回答を引き出したが、大臣が替わったのと暮らしの状況はたいへん厳しくなってきているので、もう一度、議連として野党のみなさんと力を合わせて大畠新大臣に申し入れをしようと決めたところに今日の集会となった。
 今回は家賃値上げを先送りするように自治協のみなさんと大畠大臣に要請をしたい。きちんと結論を得て、暮らし続けられる社会保障としての住宅政策のあり方、その中でのみなさんの住まい確保について、政策的議論を行っていけたら有益と考える。

●菅義偉衆議院議員…自由民主党公団住宅居住者守る議員連盟会長
 金子国土交通大臣の時に政治主導で家賃値上げを延期させた。みなさんの気持ちをくみ取り与野党いっしょになって陳情した結果だった。馬淵大臣から新しく大畠大臣に替わった。私たちは馬淵大臣を大臣として認めていなかったので陳情に行かなかったが、今度はいっしょになってみなさんの思いをしっかりと新大臣に陳情したい。政治主導を、デフレ状況の中で家賃を値上げする必然性はない。頑張っていきたい。

●長沢広明参議院議員…公明党国土交通部会長
 自公政権で家賃値上げの凍結をした。その頃と比べ経済状況は好転してない。収入第1分位の方が居住世帯の過半を占める。しかもこの2年の間にさらに高齢化が進んでいることもあり、この時期の値上げは妥当とは言えない。値上げはしないとの政府与党の決断を促したい。UR賃貸住宅の位置づけを見直さなければいけない。公明党は住宅を社会保障の一環とし、住まいは本当に確保されなければいけないものであり、居住する権利もあると主張している。社会保障の一環としてセーフティネット機能を強化しなければならない。値上げはそれに逆行することだ。みなさんの思いを受け止め、公明党もしっかりと声を上げていきたい。私自身もUR賃貸住宅の居住者、みなさんと心を一つにして頑張りたい。

●穀田恵二衆議院議員…日本共産党国会対策委員長
 値上げする根拠は全くないということだ。2008年に比べ暮らしは良くなっていない。働いている人たちを含め一般が塗炭の苦しみを味わっている。しかも新しい大臣は年金の支給まで遅らそうかとか、社会保障制度と税制改革を一体でやろうとか、社会保障の切り捨てをやっている。一連のやり方をけしからんと糾弾していきたい。
近傍同種家賃の問題、10年以上経っているのでルールの見直しをということだが、近傍同種を止めるべきだ。自公時代に決めたやり方なので値上げ延期を契機に変えるべきだ。
 住宅は福祉であり憲法で保障している問題だという広い角度からお互い輪を広げていこう。みなさんのパワーと連携していきたい。

●中島隆利衆議院議員…社会民主党国土交通委員
 都市機構の家賃値上げが2年前に経済事情で延期され、その時と経済状況は変わらない。それ以上に厳しいという報告があったが、2009年の1年間の平均給与は前年比23万円減少している。しかも働く人の賃金は20年前の水準であるという状況がある。みなさんの調査でも年収443万円以下の第1分位が7割、しかも年金だけで生活している方が全体の3割もいるという状況の中で値上げ、2年前より厳しい経済状況の中で値上げは絶対してはならない。200万人近い居住者はコミュニティの中心であり、高齢者・低所得者の生活を守るためには国がこの公共住宅を維持管理することが基本である。与党の一員で事業仕分けにも参加したが結果は「高齢者・低所得者は国・地方公共団体に移行…」ということになった。UR住宅を公共住宅として国の管理にすべきと思っている。そういう視点で今回の値上げについて対応していきたい。

出席議員(衆参・選挙区)…敬称略
●民主党=末松義規(内閣府副大臣/衆・東京19)、石毛^子(旧公団居住安定化推進議員連盟会長/衆・比例東京)、小宮山泰子(同議連幹事長/衆・埼玉7)、中塚一宏(衆・神奈川12)、初鹿明博(衆・東京16)、櫛渕万里(衆・東京23)、大西孝典(衆・比例近畿)、泉ケンタ(衆・京都3)、辻惠(衆・大阪17)、中川治(衆・大阪18)、森岡洋一郎(衆・埼玉13)、勝又恒一郎(衆・比例南関東)、大島敦(衆・埼玉6)
●自由民主党=菅義偉(公団住宅居住者を守る議員連盟会長/衆・神奈川2)
●公明党=長沢広明(党国土交通部会長/参・比例)
●日本共産党=穀田恵二(党国会対策委員長/衆・比例近畿)、笠井亮(衆・比例東京)
●社会民主党=中島隆利(衆・比例九州)

代理出席議員( 同 )…敬称略
●民主党=早川久美子(旧公団居住安定化推進議員連盟事務局長/衆・比例東京)、神風ひでお(衆・埼玉4)、藤村修(衆・大阪7)、杉本和巳(衆・愛知10)、岡本英子(衆・神奈川3)、山花郁夫(衆・東京22)、小野塚勝俊(衆・埼玉8)、長島昭久(衆・東京21)、森山浩行(衆・大阪16)、大野元裕(参・埼玉)、前田武志(参・比例)
●自由民主党=下村博文(公団住宅居住者を守る議員連盟幹事長/衆・東京11)、中川雅治(参・東京)
●公明党=高木陽介(衆・比例東京)
●国民新党=下地幹郎(衆・沖縄1)

要請した団地自治会役員は約150人
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 基調報告  代表幹事 多和田 栄治

 きょう国会内で緊急集会を開いたのは、私たちの住まいを守るカギが、いまや民主党内閣に、国土交通大臣の手に握られているからです。
 2つの重大問題が差し迫っています。
 1つは、都市機構が4月継続家賃値上げ実施を表明し、機構を管轄する国交大臣が12月24日の記者会見で、条件つきではあれ容認する方向を示し、機構は今月下旬、来月早々にも値上げ通知を各戸に発送する予定との情報も出ている状況です。
 第2には、12月8日の総決起集会でも報告した行政刷新会議の「独立行政法人見直しの基本方針」が12月7日に閣議決定されたその中身です。それによると平成23年度、つまり今年から「市場家賃部分の民間への移行、高齢者・低所得者向け住宅の自治体または国への移行」を実施するとあります。
 機構は家賃値上げの理由として市場家賃との格差をあげ、馬淵前大臣もこれを是とし、同時に、市場家賃部分は民間移行の対象と閣議決定しました。では市場家賃部分は総戸数76万戸のうち何戸か。機構は68万戸と発表しています。市場家賃部分から除いたのは、特別措置対象4万戸のほか高優賃、建替住宅の一部分をふくめ計約8万戸です。ほぼ全面的な民営化を狙っているといえます。
 つまり、今回の家賃値上げを、理由をふくめ容認することは、そのまま政府の公団住宅民営化方針に直結しています。家賃値上げと民営化方針は、一体の問題であり、そのカギは内閣そのものが握っていることを確認しておく必要があります。

 まず家賃値上げ問題をとりあげます。
 馬淵前大臣の発言は、機構の言い分そのままに、負担の公平性と機構の健全な経営を理由に値上げに理解を示した上で、ただし決定は機構の権限と逃げています。機構のいう市場家賃は、不動産鑑定評価の厳格な法的規定を受けず機構が任意に決めたにすぎないものですが、機構は、それを基準にここまで上げないと民間賃貸の入居者とも不公平だといい、2年間値上げしなかったため30億円の減収だといいます。
 これは、公共住宅の性格、存在理由をみずから否定することですし、年間5,600億円台の家賃収入から事実上800億円もの、公共事業らしくない過大な純利益を上げ、再開発やニュータウン事業等の赤字の穴埋めに注ぎ込んでいることには頬かぶりしています。全国で10%もの空き家を出しながらもこの大儲けですから、いかに家賃を高く取りすぎているか、全世帯の家賃を1割下げても純利益は残るのが実態です。
 しかし問題は、何よりも居住者がおかれている生活の厳しい実態と、前大臣の発言にもある現下の経済状況です。2年前、自民・公明内閣が機構の家賃値上げを中止させたときの状況が現在、さらに悪化こそすれ改善された根拠はどこにもありません。「国民の生活を第一」にする内閣であれば、機構家賃のあり方、改定ルールを一日も早く抜本的に見直させ、それまでは値上げは見送らせるのは当然であると、私たちは強く要求します。
 もう一つ、家賃はだれが決めるかの問題です。機構は自分だと言い張り、政府も機構だといいます。新規の募集家賃はそのとおりです。しかし継続家賃は借家契約の内容変更ですから、言いだすのは家主でも借家人との協議・合意が前提であり、協議整わなければ調停、裁判も認めるというのが借家法の趣旨です。だから継続家賃の変更は、家主が一方的にしていいことではなく、当事者間で家主の経営状況、店子の生活実態を第一に考慮しあって決められるべきです。機構は自治協との定例懇談会でも話題にもさせず、当事者間の協議というコンプライアンス(法令順守)を拒みつづけ、居住者にたいし強行してきています。大臣はこれをも是認するのでしょうか。
 公団家賃の改定は、かつては大臣承認事項であり、国会でも審議されましたが、市場家賃化されて形式上大臣承認は不要になりました。しかし、機構理事長は大臣の任命ですし、国土交通省の管轄下におかれています。昨年の事業仕分けで機構の問題を国交省の住宅局長がひとりで答えていたことからも分かります。また国会は家賃のあり方について政府と機構にたいし決議もしています。2年前に自公政権が機構の家賃値上げを見送らせた実例もあります。家賃改定は機構の権限と逃げないで、政治主導で値上げを直ちに中止させることを大畠新大臣にお願いします。

 機構賃貸住宅事業の見直しについては12月の閣議決定で、ほとんどを民間への移行対象とし、「居住者の居住の安定に配慮しつつ丁寧に進める」と書かれています。
 まずは「高額家賃物件から」と、物件扱いで入札を実施するようですが、民間移行がどういうプロセスで進められ、居住者の居住安定が基本的にどう保障されるのか、自治体または国への移行とは何を意味するのか、まだ検討された様子もなく、その政策見通しも示されず暗闇状態です。場当り的な暴論ばかりが先行してるように思います。強調しておきたいのは、私たちの不安・不満の根底には、丁寧にと言いながら居住者の意見や実態を汲み取らず、これを無視した事業仕分けや暴論が横行していることだけでなく、政権が交代して1年半たちますが、民主党内閣は国民の住生活の安定・向上をどうするのか、国および自治体として果たすべき責任と基本政策がいまだ明確にされていない状況にあることです。都市機構組織と事業の適正な見直しは必要であっても、市場家賃化や定期借家の拡大、公団住宅の削減・売却に国民居住の安定・向上の展望などありえません。 
 きょうの集会でも、あらためて国として責任のある住宅政策を確立し、そのうえで機構住宅事業のあり方を見直す、またその間に空き家解消と過重な負担軽減のため高家賃引き下げをおこない、家賃値上げは中止することを要請します。  以 上
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