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特殊会社化やめ公共住宅として継続を
野田首相あて261団地自治会会長署名提出

本多平直首相補佐官(中央)へ261団地自治会会長署名を提出
岡田行革担当相あて257団地自治会会長署名
前田国交相あて254団地自治会会長署名
提出
 2月、全国で「都市再生機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書」団地自治会会長署名に取り組みました。野田佳彦内閣総理大臣に対する261同署名は2月29日、総理大臣官邸で本多平直内閣総理大臣補佐官(衆議院議員・埼玉12区)へ提出しました。本多補佐官は「この署名は政府の一員としてお預かりし総理にお伝えする…有識者会議はどんなことを決めるときにもつくられるが、最終的には我々政治家が判断する。与党だけでは決められず参議院で議席を持っている各党の理解が必要」と述べました(別掲)。
 これより先、24日午後、前田武志国土交通大臣への254同署名を住宅局民間事業支援調整室・浦口恭直企画専門官へ提出、同専門官は署名を受け取り「この署名はたいへん心重い。大臣に見てもらいます」と述べました。
 また、岡田克也行政改革担当大臣への257同署名は3月2日、内閣府を訪ね、内閣官房行政改革推進室・平松武内閣参事官に手渡しました。全国自治協は「公共住宅として次世代へ残したい」「独立行政法人ではなく恒久的な組織で公共住宅として継続する形態を。財政だけで判断するのは良くない」「東日本大震災以降、地域防災が見直され、海抜0メートル地域の江東・葛飾区では自由に逃げられる高所はUR住宅しかなく、周辺を含めて具体的な避難場所としての検討を始めている。民間では出来ない、公共住宅としての役割だ」等、UR賃貸住宅を公共住宅として継続するよう訴えました。
 全国自治協からの要請に対し平松参事官は「閣議決定を受けUR都市機構の改革調査会を立ち上げた。居住者の居住の安定は重要、委員もその上で進めてきている。同調査会のヒアリングでも居住者コミュニティの現状と都市機構に期待する役割を述べて頂いた。さらに今日いただいたご意見をふまえ共有し、今後の検討に生かしていきたい」と答えました。

本多平直内閣総理大臣補佐官への会長署名提出・要請
 全国自治協の本多補佐官への訴えと応答の要旨は以下のとおりです。
76万戸のUR賃貸住宅では高齢化と定収入化が進み、民営化、特殊会社化は無理というのが私たちの意見であり、政府関与の新しい公的住宅として継続して頂きたい。昨年、当時の馬淵国交大臣の方針で新しい公的組織としての継続が出されていた。民主党のなかに旧公団居住安定化推進議員連盟があり連携しながら取り組んでいる。
日本の住宅政策は金融公庫、公団住宅、公営住宅の3本柱できた。入居40年の公団住宅居住者は公営住宅の人と同じような収入になっている。団地族と言われた時代もあったが、住宅政策は福祉政策の部類に入れていかなくてはならない時代だ。それを特殊会社化とはいえ株式会社経営で成り立つのか。都市機構が今のままで良いとは決して思っていない。UR住宅と都市機構改革を分けて、安心して住めるようにしてほしい。有識者は組織・財務の論議だけ、住んでいる人の論議がない。国会議員として最終的な判断をお願いしたい。
千葉市の10%の世帯が公団住宅、地域コミュニティの形成に大きな役割を果たしている。一人暮らしも増加し、公共住宅として継続することを願っている。
上尾市にはUR住宅が4団地あり、全市民の約1割近くが居住者だ。40数年経っており年金生活者が多い。高齢者は民間に入居できないのと市営住宅がないため障害者の方も含めUR住宅を斡旋している。それらの方を階段の住民で見守り緊急時の対応も考えている。家賃値上げも止めてほしいと言われる。公共住宅として継続し続けて住める家賃制度をつくっていただきたい。
居住者署名を付けて市議会等への請願・陳情活動を行っている。神奈川県公社住宅の民営化問題で知事が税金を注ぎ込まないと株式会社に出来ないと表明。03年からは家賃収入が黒字、株式会社化は止めようという動きが出ており、ハードルが高いのでは。高齢者はあと5年、10年を安心して住み続けたい。
賃貸住宅部門は黒字でほとんど国費は投入されていない。公営住宅にも出ている家賃減額補助金、公共団体等と行う市街地整備補助金が出ているだけ。半世紀に及ぶ財投の残高14兆円は賃貸住宅経営をしながら返すもの、急いで民営化する意味がない、UR賃貸住宅76万戸を生かす住宅政策を望む。先日の在り方調査会でコミュニティ活動等地域としてみてほしいと主張、国交省は物件だ売却・民営化、高齢化等地域として考えるのは厚労省の世界と言われた。全体として考え、いま民営化するのが政府として得策なのか。 

○本多平直内閣総理大臣補佐官の応答
 この署名は政府の一員としてしっかりとお預かりし総理にお伝えする。正式にはお答えできる段階ではないということをご理解頂きたい。岡田副総理は住んでいる方から意見を聞くという時(第2回調査会)に出席することができなくて残念だったと思われるし、きちんと伝わっていることと思われる。みなさんの考えはしっかりと主張していくべきだ。
 有識者会議はどんなことを決めるときにもつくられるが、最終的には我々政治家が判断をする。我々は与党だが参議院では多数議席を持っていない。いろんな法律を我々だけでは決められないので、要望どおり決めていくとしたら参議院で議席を持っている政党へも理解をしてもらえるような案でなければ通らない。国会議員に対して、みなさんの声をしっかりと挙げていってほしい。

内閣総理大臣 野田 佳彦 様
行政改革担当大臣 岡田 克也 様
国土交通大臣 前田 武志 様

都市再生機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書

 国政へのご尽力に敬意を表します。
 内閣は2012年1月20日、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」を閣議決定しました。約76万戸の賃貸住宅を経営・管理する都市再生機構については、「業務の見直し、分割・再編、スリム化」を内閣府に設置する有識者による検討の場で検討し、本年度中に方向性について結論を得ること、都市機構賃貸住宅は「居住者の居住の安定の維持等の必要性を十分踏まえ……会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化」を検討し平成24年夏までに結論を得る、としています。
 都市機構賃貸住宅は、半世紀以上にわたって蓄積されてきたかけがえのない公共住宅です。団地には居住者の自治会活動が結実して豊かなコミュニティが形成されています。団地の良好な環境は周辺地域も含めたまちづくりにも大きく貢献しています。防災活動も活発に取り組まれ、地域の防災拠点の役割を果たしています。高齢者の見守り・支え合いの活動が広がり高齢者世帯の定住の場となっています。次世代をになう子育て世帯にとっても安心・安定の居住の場です。
 居住者の実態は、全国公団住宅自治会協議会が2011年9月に実施した第9回団地の生活と住まいアンケート調査の結果、60歳以上の世帯主が約70%を占め、年金生活者が急増し、世帯年収375万円以下が70%、そのうち251万円以下は49%に達しています。そして78%の世帯が「都市機構賃貸住宅に長く住み続けたい」と願っています。
私たち団地自治会は、居住者が安心して住みつづけられる公団住宅(都市再生機構賃貸住宅)をめざして取り組みを進めてきましたが、このたびの閣議決定により今後、都市機構賃貸住宅がどうなるのか大変心配です。
 つきましては、以下の要請をしますので、格段のご配慮をお願い申し上げます。

【要請事項】
1.都市機構賃貸住宅は、特殊会社化するのではなく、今後とも政府が直接関与する公共住宅として継続してください。
2.都市機構賃貸住宅は「住宅セーフティネット」法で位置づけられており、都市機構法附帯決議などこれまでの国会決議を十分踏まえて、居住者の居住の安定策を講じてください。
3.公共住宅の役割を明確にするとともに、民間・公共住宅の別なく最低限度の居住保障に関する住宅政策を確立してください。
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