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分割民営化反対、公共住宅として継続を
羽田雄一郎国土交通大臣に面談・要請
全国226団地自治会会長署名を提出
 内閣府の都市再生機構の在り方に関する調査会は7月25日に13回目の会合を開き、夏までに結論・最終報告のまとめに向けて審議が進められています。家賃額で決めるとされる無理矢理の分割案は、民営化し儲けを出す法人と一定の家賃額以下の行政法人とに分けるといったような検討がされているとも言われています。全国自治協は7月26、27日、全国の団地で緊急に取り組まれた羽田雄一郎国土交通大臣と岡田克也副総理・行政改革担当大臣への「都市機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書」226自治会会長署名それぞれを羽田大臣と中塚一宏内閣府副大臣へ提出・要請しました。
 7月27日、全国自治協の役員9人は国土交通省の大臣室を訪ね、自治会長(代表者)署名「都市機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書」226団地分を羽田雄一郎国土交通大臣へ提出・要請しました。今回の要請にも5政党から以下の国会議員が同席しました。民主党旧公団居住安定化推進議員連盟・石毛鍈子会長、末松義規内閣府副大臣・同議連前会長、森山浩行同議連新事務局長、櫛渕万里同議連副幹事長、森岡洋一郎衆議院議員(民主)、自由民主党公団住宅居住者を守る議員連盟・田中和徳副会長、小宮山泰子衆議院議員(国民の生活が第一)、公明党・富田茂之国土交通部会長、日本共産党国会対策委員長・穀田恵二衆議院議員。
 冒頭、興梠信子事務局長が全国公団自治協の概要を羽田大臣に説明。続いて多和田栄治代表幹事が「調査会での審議は密室で行われ、弱い立場の居住者は大変心配している。公共住宅政策そのものが崩されていく。国民の最低限度の居住保障がされるような制度を作っていただきたい。公団住宅が公共住宅として果たしている役割を踏まえ、発展させるよう討議を進め、政府が直接関与する公共住宅として継続してもらいたい。住宅セーフティネットの役割が託されており、居住者の居住の安定策・公共住宅政策の確立をお願いする」と要請しました。
 これに対し大臣は「認識は段々高めており、内閣府に対し居住者のみなさんの居住の安定については格段の配慮をするように言ってきた。みなさんお声を聞きながら対応していきたい」と応対。田中議員は「与党時代から議連をつくって引き続き協力しており、超党派で支えていきたい」。民主党議連前幹事長の小宮山議員は「住生活基本法の質疑から自治協と関わり新しい政党になったが頑張りたい。安心して住み続けられるよう、居住が安定するよう政策を充実させていただきたい」。富田議員は「民営化に対し不安を持っている。そうではない担保がほしい。岡田副総理は売れるか売れないかという観点で花見川団地を視察したが、大臣が視察される時は住んでいる人の実態を見てほしい」。穀田議員は「2010年までの5年間で公共住宅3万2,000戸が減少、公共住宅政策が大きく後退し問題だ。居住の安定は根本、UR分割・削減は間違っていると頑張っていただきたい」。石毛議員は「民営化し採算重視の家賃政策に持っていくことによりコミュニティが壊されることは社会的な損失だ。コミュニティ損失のマイナスを見極めるべきで、助け合いというソフトが付いておりお金には換算できない。資産を売れば良いということではない」。末松副大臣は「震災復興でURはものすごく活躍している。継続しながら借金も国民負担にならないように返していけないか。根本的には居住の安定だ」と述べました。その他「浦安で液状化しなかったのはURが造成した土地だけだ」「岡田副総理も居住の安定は確保すると言っており、きちんとやっていただくよう大臣から押していただきたい」等の意見が議員から出されました。
 最後に大臣は「国交省は実行部隊なので人間くさい集団、震災復興でも最初の1ヵ月は必死で頑張ってきている。内閣府に対してはみなさんの安定した生活を確保するよう伝える」と述べました。

中塚内閣府副大臣へ会長署名提出・要請
  7月26日、岡田克也副総理・行政改革担当大臣への「都市機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書」226自治会会長署名を中塚一宏内閣府副大臣へ提出・要請しました。要請には全国自治協役員10人と今回は地元選挙区のコンフォール藤沢自治会・田代英雄副会長が参加しました。
 中塚副大臣は「岡田副総理の問題意識は13兆円の借金・多額の債務、今後金利が上昇した場合に債務の返済が可能かどうかという観点から在り方についての検討がスタートした。調査会では自治協の意見を伺ったし千葉の団地(高根台、花見川)視察もした。居住の安定は最優先課題。今お住まいの方が不利なことになってはいけない。組織の在り方の見直しでも最優先事項で議論しており、調査会委員にも理解をしていただき、そこが担保できないとURの在り方見直しは前に進まないというぐらいの考え方でやっている。居住の安定にはこれからも努力していく」「賃貸住宅、都市再生、ニュータウンの3本柱。昔購入した木更津の土地を三井不動産が借りアウトレットパークにした。有休資産の有効活用、売ることもある。都市再生は検討の余地がある。横浜の本社ビルは節約・合理化で売却、他へ移転等の話をしている」。
 ○調査会の最終まとめは「調査会は2週間に1回のペース、最短で8月の旧盆前か過ぎぐらいというところ。最低でもあと2回はやらなくてはならない。場合によってはもう1回。住宅金融支援機構の見直しは、組織はいじらないで効率化を進めるという結論だ。URはどういう方法が一番良いか検討している最中で、住宅売却等を後押しし多額の債務を返すこと、最終的には税金を入れるしかないと思う。借金を減らすことを考えているが、居住者にしわ寄せをしないやり方でやりたい。現に売り出したところもあるし、こんな立派なものもあるというのは事実で、UR自身が考えなくてはならない」。
 ○分割・売却については「限られたところになるが視野に入っており、委員の中でも議論はいろいろだ。①民間がやっても良いような立派なものだけ切り出してバリバリやってもらえばよい②分割はやめ今のURのままで合理化する③組織はいじらないで売れるところは売っていく④売れるところをひとつにまとめ別組織にしよう—という意見もある。高家賃物件の話で、そうでないと居住の安定にならない。まだ結論は出ていない。建て替え戻りですぐには家賃が上がらない等の居住の安定に配慮していることは理解している。在り方が見直されても今やっていることについては継続していく」。
 ○13兆円の債務は70年償却で住宅をつくってきた借入金、家賃で返済しており事業赤字でないことについては「民間では70年償却はあり得ない、47年償却だ。普通の会計と公的会計の違いで、47年にした途端に債務超過になる。13兆円の借金はみなさんのせいでできたものではなくても、現実問題借金としてある。国の機関なので最終的には国が埋めなければならない。UR自身でできること、ニュータウン事業の資産等の有効活用をすべきだ」。さらに「市場家賃で政策対応している部分があることを理解した上で居住の安定を上げている。家賃が上がるのは居住の安定ではない。住宅セーフティネット、居住の安定は大前提で議論しており、再確認している。岡田副総理にきちんと伝える。」と述べました。

吉田おさむ国土交通副大臣に面談・要請
 全国自治協は先月27日の羽田雄一郎国土交通大臣へ「都市機構賃貸住宅を公共住宅として継続することを求める要請書」226団地自治会会長署名の提出・要請に続き、8月7日、現在も大阪の森之宮第二団地に住まわれている吉田おさむ国土交通副大臣(写真中央)に面談、公団住宅の分割民営化をやめ公共住宅として継続するよう要請をしました。
 吉田副大臣は「これから粛々と内閣府で議論され、様々な施策と仕組みが決められていく。その中で、住宅局長始め国交省の職員は頑張っていることを知っていてほしい。内閣府が結果として意見を出してくるが、しっかりとものは言う。いわゆる公団住宅は国の施策でつくられたもの、このことは時代が変わっても最後まで変わらない。みなさんが不安感を持つようなことは一切しえない。政府の中で再考等も含め、検討・議論をしていかなくてはならない」。また住まわれている団地について「森之宮団地も40数年が経ち、多くの方の終の棲家になっている。団地に住むと連帯感が生まれ、コミュニティが根付いていることは実感している」と述べ、「森之宮は利便性が良いので若い人も入居するが、子供が生まれるとマンションを買って出て行くので若い夫婦者と高齢者しか残らなくなる」という居住者実態にも触れられました。「最終的には手順があり、法案にしなければならない。みなさんの要請はしっかりと受け止めたい」と結びました。
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