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UR賃貸住宅の売却・民営化の中止を要求
国土交通大臣に要請書を提出

渡辺志げ子代表幹事が住宅局の中原淳民間事業支援調整室長へ要請書を提出
 東日本大震災を受けて、公共住宅政策を後退させてきた政府の住宅政策を転換させることが必要になっています。全国公団住宅自治会協議会は4月18日、国土交通省住宅局に「UR賃貸住宅の売却・縮小・民営化方針を改め、積極的に活用する政策に転換させることを求める要請書」を提出しました。全国自治協幹事会を代表して7人の役員が同省に出向き、住宅局の中原淳民間事業支援調整室長、安藤恒次同室企画専門官に強く要請しました。


国土交通大臣  大 畠 章 弘 様
2011年4月18日  全国公団住宅自治会協議会
UR賃貸住宅の売却・縮小・民営化方針を改め、
積極的に活用する政策に転換させることを求める要請書
 東日本大震災による被災者救援および被災地復興に向けた、大臣を先頭にした国土交通省の皆様の昼夜を分かたないご尽力に深く敬意を表します。
このたびの大震災は、わが国の住宅政策のあり方についても、衝撃的に課題を提起し、その転換を迫るものでありました。
 私たちはかねてから、世界有数の地震国・日本の大都市においては、公共住宅としてのUR賃貸団地の存在価値がきわめて高いことを指摘し、その積極的役割の確認を主張してきました。今回の東北地方太平洋沖大地震において、仙台市にあるUR賃貸住宅16団地4,000戸では破損等一定の被害を受けたものの、居住者の住宅内での犠牲者は無く、他にくらべて「安全」でした。1995年1月の阪神・淡路大震災のときも、被災地域に数万戸の公団住宅がありましたが、住棟の倒壊は無く、住宅内で亡くなった方は1人もいなかったのです。
 このたびも被災者の仮住宅として空き家の提供が積極的に行われ、受け入れが進行しています。
 都市機構はすべての住棟の耐震診断を実施し、新耐震基準を満たしていない建物の改修を進め、先導的役割をはたしてきています。
 私たちがいまこそ強調したいのは、各地のUR団地には自治会がつくられ、長年にわたってさまざま活動を持続的に行い、コミュニティをつくりあげてきたことです。公団住宅・UR賃貸住宅は単に政策・供給サイドからだけで形成されたものではまったくなく、そこを自らの住まいとして、暮らしを立てる居住地域として選択した居住者たちの、自主的・自発的な取り組み、コミュニティ活動の創造・発展によって、きわめて価値あるものとしてつくりあげられてきているのです。現在のUR団地は、そこに住んでいる・あるいは半世紀にわたって住んできた人びとの努力の結晶であります。
 それらの団地には、居住者による自主防災組織が積極的につくられ、防災訓練を系統的に行っていますが、こうしたUR団地の存在は地方公共団体の災害対策、地域防災活動にとって貴重な存在です。
 私たちは、政府があらためてUR賃貸住宅の存在の意義を再確認し、現存の76万戸強の住宅を積極的に活用する政策に転換するよう求めるものです。
 「小泉行革」以降、この10年間、政府は公共住宅政策を後退させ、公団住宅・UR賃貸住宅の縮小・売却・削減・民営化路線を推進してきました。
 民主党政権になっても、2010年4月のUR賃貸住宅への事業仕分けの内容、10月の都市再生機構のあり方検討会報告書とりまとめと国土交通大臣のコメント、そして12月の独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針閣議決定と、前政権の路線を変更する兆しはなく、むしろいっそう拍車がかかってきていると言えます。
 東日本大震災という惨害に見舞われたいま、これまでの住宅政策について根底から再検討し、UR賃貸住宅を公共住宅として拡充する方向に転換していただきたいと切望するものです。
 つきましては、下記を要望しますので、よろしくお願い申し上げます。

  一  2010年4月の行政刷新会議によるUR賃貸住宅に対する事業仕分けの結果、 および12月7日の「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」閣議決定に おけるUR賃貸住宅の一面的な認識を是正し、民間移行、縮小方針を取りやめ、東 日本大震災発生に伴う新たな都市・住宅政策の策定のなかで、現存76万戸の住宅 を公共住宅として積極的に活用する新たな政策をつくること。

  二  一に関連して、「独立行政法人都市再生機構のあり方に関する検討会報告書」に もとづく実施方向と「工程表」策定作業を凍結すること。

  三  都市再生機構が2007年12月に発表し、一部着手したものの居住者から強い 反対の声が出ている「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針(案)」を凍結し、上 記政策策定に合わせた、「公団賃貸住宅再生計画」をつくること。
以 上

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