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2020年全国統一行動署名 提出・要請
 コロナ禍のなか全国自治協は12月3日、全国212団地自治会で取り組まれた都市機構理事長宛と国土交通大臣宛の2020年全国統一署名を都市機構本社と国土交通省住宅局へ提出、先のアンケート結果等もふまえた要請をしました。

都市機構へ13万1,007人の署名提出・要請
 都市機構への署名提出・要請は、全国自治協役員と在京自治協の代表総勢15人が横浜の都市機構本社へ赴きました。機構は住宅経営部の倉上部長、ウェルフェア総合戦略部の小林課長、ストック事業推進部の粂川課長らが応対。全国212団地で取り組まれた中島正弘理事長宛7万8,686世帯13万1,007人の署名を提出しました。
 鈴木代表幹事が先のアンケート結果等も踏まえ、機構法25条4項「家賃の減免」の実施と家賃引き下げ、年金でも住み続けられる家賃制度をはじめ署名5項目について要請しました。例年は全国公団住宅居住者総決起集会が開催され統一署名を集約、10地方自治協の複数の代表が要請に参加してきましたが、今年は新型コロナウイルス感染防止で集会は中止され、東海、関西、北九州、福岡自治協代表の要請は機構支社からオンラインで参加しました(北海道はオンラインが利用できず要請書を代読)。

……各地方自治協代表の発言(要旨)……

▶︎東京23 区= 33歳時に入居し50年、コミュニティ・多様な世代が暮らしやすいまち、約1,100世帯の団地だが出入りが激しく自治会員は700 世帯を切った。外国人が増え、日本の風土にあった団地生活をきちんと説明してほしい。トラブルによる退去者も出ておりコミュニティの崩壊につながる。

▶東京多摩=先のアンケート結果から、大変高齢化が進み女性のひとり暮らしが増え、所得第一分位が4割を超え、家賃負担が重いは8割を超えた。機構法25条4項「家賃の減免」実施をしてほしい。玄関ドアの防寒対策、浴室・トイレの段差解消の要望が多くお願いをする。

▶千葉・茨城=先のアンケートでは約18%が世帯年収150万円未満、家賃値上げしないでほしいという切実な声が多く寄せられている。25条4項の実施を強く求める。畳・ふすまは大変喜ばれたが、家具移動も機構負担でしてほしい、共同購入では移動料は取られない。業者へは適正な価格で依頼し家具の移動等も含めるようお願いする。▶埼玉=先のアンケートで世帯主75歳以上が44%、65歳以上では7割に。世帯収入354万円以下が7割、その約1割が100万円以下。8割は公団住宅に住み続けたいと。高齢者の減額、収入に見合った家賃を望んでいる。年金では払いきれない、1階に住み替えたいが家賃が上がるので4階に留まる等。団地再生で同じ階・間取りを強要されるが高齢者は階下へ移りたいので移転期間延長を。また畳・ふすまの家具移動は機構負担で。

▶神奈川=エアコン設置用の壁の穴空けについて、現在2DK・3DKでは1室だけだが他室にも設けてほしい。

▶東海=江南団地約3300 戸のうち約800戸が空き家、小学校は6学年の大方がひとクラス。コロナ禍の中、高齢者関連の活動・コミュニティ活動は全て中止。要望は、若い人たちが入居してくるような対策を。二人で年金生活だが一人になり払えなくなったら「家賃の減免」の実施を。高齢化対応、UR負担で浴槽の改良等を。トイレにフタがない。また多額の費用を掛け、模様替えで多機能トイレにしても退去の際はおいていくことに。ライフアップにして大きな負担がないように。

▶関西=コロナ禍で機構法25条4項「家賃の減免」の実施は法的に十分該当する。ぜひ実施をと金剛団地では富田林市議会へ25条4項実施の意見書提出を請願し採択された。国交相も措置を講じたいと答弁しており、機構は実施を決断すべきで実施を求める。畳・ふすま取り替えは感謝するが、家具の移動が困難であきらめる人も多く実施率が低い。また団地再生のあり方については十分な検討を。

▶北九州=連れ合いが亡くなり家賃が払えず転居を考えていたが、値下げ通知を受け大変喜んでいた。お礼を申し上げる。いつまで家賃が払えるかという不安が大変多い。この4〜6月分だけでも減額してほしい。アンケートでは約80%の人が家賃の不安を抱えながら住み続けたいと希望。みなUR を信頼している。畳・ふすまの取り替えは大変喜ばれた。浴室に換気扇を、防寒ドア設置を、高優賃で台所戸棚のボタン位置等の改善を。

▶福岡=ストック再生の問題、当初は安心・安全であっても時代は変わり不安の要素が多く、家賃等に出ている。形だけではない説明会を行い居住者の不安が低減するよう、お互い理解し合えるようにしていただきたい。ポスター・未来のまちづくり——若い方が入居してくるような魅力ある団地づくりをしていただきたい。まちにルネッサンスを忘れることなく居住者と向き合い事業の継続を、安心・安全のまちづくりを願う。

▶北海道=ひとたび仕事がなくなって収入が減少すれば家賃が払えなくなること、二人の年金でどうにか暮らしていても一方が亡くなった時は一人の年金では暮らせないことが、コロナ禍で顕わになった。年金で住める住宅と、そこに住民が根を下ろして暮らしていることが国富であり、これを実現できなくなることは国富の喪失である、と思う。「 国民のために働く内閣」を謳っている首相の元、国もUR都市機構も国の財産である公団住宅に住む国富である居住者のために願いを叶えてください(要請書から抜粋)。

倉上住宅経営部長あいさつ
 URでは、新型コロナウイルスの感染の拡大以降、お住いの皆さまの安心・安全を第一に、感染症対策を講じながら通常どおりの業務を継続してきたことをお伝えする。
 先ほどいただいた要請書、お聞きした各地方自治協代表のご意見・要望は、大変重いものであると認識する。難しい問題もあるが、真摯に受け止め今後の業務運営の参考にと思っている。アンケートに8万世帯の方が回答、約71万戸のUR賃貸住宅の約1割、アンケート参加は200団地とのことだがUR約1,500団地の1割強にあたる。約7割が引続き団地に住み続けたい、3割を超える方が住宅・設備の古いことが不安とのこと。URは引続きお住いの方に安心・安全な住環境を提供できるよう業務を続けてまいりたい。
 全国自治協の活動は50 年近く続くと承知。これまで定例懇談会、連携研究会で皆さまと話合いを続けてきた。今後も感染症を防ぐ工夫をし、意見交換は続けてまいりたいと考えている(他の部長書面あいさつは略)。


国交省へ12万7,008人の署名提出・要請

 コロナ禍で参加者は石川代表幹事ら7名に絞られ、国交省側で時間調整後、和田住宅局長、淡野大臣官房審議官、後沢民間事業支援調整室長、竹村企画専門官らが応対しました。  
 石川代表幹事が住宅局長に全国212団地自治会75,908世帯127,008人の国土交通大臣宛署名を提出し、これまでの修繕負担区分の見直しや高優賃住宅の家賃減額の継続、エレベーター等バリアフリーの補助率引き上げなどに感謝を述べ署名5項目の要請しました。
 石川氏は「本日はコロナ禍で総決起集会は開催できなかったが、国土交通大臣宛の全国統一署名を集約しお持ちした。『家賃の減免』が一番の課題である。第12回団地の生活と住まいアンケートの集計結果と合わせて、公団住宅居住者の強い要望が住宅政策に生かされるようご尽力いただきたい。11月に各党の議連等と懇談して私たちの要望をお伝えした。自民党議連では『25年以上長く住んだ方が転居する際、家賃を払えない人は公営住宅へ』が実態という説明を聞いて、議員からは『UR・公的住宅の在り方を考えていく必要がある』という発言があった。また公明党の国土交通部会長は『25年以上の継続居住者が年間6,000世帯も転居している。国の支出が少なすぎる』というご意見だった。このように居住者の年齢や収入を鑑み、与党議員からの『これまでのやり方では問題がある』という指摘を受け止めていただければと思う。URは『家賃の減免は実施しているが、求めているような継続家賃を引き下げる制度はなく、できない』と説明している。私たちは国の政策として進める必要があると考える」と述べました。
 和田局長は「議員連盟等の会合で要望を伺ったが本日改めて聞かせていただく。我々なりに頑張っていると思うが意見交換をしながらやっていきたい」とあいさつの後、淡野審議官とともに退席。高田民間事業支援調整室長と最大の課題である機構法25条4項「家賃の減免」実施について意見交換を行い、自治協代表からは以下のような発言が出され対応を求めました。

……参加した自治協代表の発言(要旨)……

▶︎コロナ禍でコミュニティ形成がとても大変になっており、長く続いたらどうなるか心配。一人暮らしの孤独死も問題になっている。都営住宅1戸に36倍の申し込みがあったのはご存じのはずだが、国土交通省の予算要求を見てもサービス付高齢者向け住宅と民間空き家登録しかなく、家賃補助は100戸、もう少し責任を持った住宅政策を。

▶︎議連でも話が出たが、家賃が払えなくなり長年住んでいた方が退去していく。アンケートでは75%が住み続けたいと答えている。3年前よりいっそう高齢化し年金暮らしとなり、家賃負担が重いという実態にどのような対策を考えているのか伺いたい。

▶︎長く住んでいる高齢者は周りの方の支援で生きている。移ってくださいでは人間はだめになり、いかにして住み慣れたところに住んでいけるかである。

▶︎機構法25条4項があり、国土交通大臣もこれをやると言っている。機構法を守らなくていい理由はあるのか。

▶︎コロナ禍は災害にあたる。25条4項を適用してほしい。

▶︎コロナ禍でアルバイトを失った75歳の高齢者が「家賃が払えない。どうしたらいいか」と自治会に相談に来た。25条4項実施で安心して住み続けられる団地にしてほしい。

▶︎国土交通省がやるのか厚生労働省になるのか、「生活保護など社会保障との関係もあり慎重に」と説明しているが、どうなるのかはっきりしてほしい。

▶︎家賃減額はURだけではできない。国の支援が必要である。

 国交省は、家賃の減免は高齢者等の家賃減額措置等で行っているとし、継続居住者の家賃を引き下げることは、民間との公平性、URの経営の健全性、生活保護など社会保障とのバランスなどを挙げ、これまでどおりの言い訳に終始し「住み替えていただくということも機械的に出てくださいというのではなく丁寧にやらせていただければと思っている」と議員連盟の時と同様の答弁でした。

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