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2014年度継続家賃改定実施に対する全国自治協の見解
２０１３年１２月２７日
全国公団住宅自治会協議会
都市機構は12月20日、2014年度継続家賃の改定実施について発表しました。
値上げ対象は5.6万戸、値上げ平均額は900円。改定実施は2014年４月１日とし、６か月間値上げ分全額免除、あと６か月間半額免除、敷金の変更なしをきめ、免除措置は国土交通大臣の要請によるものと説明しています。
今回の家賃改定も、前回（2011年４月）につづき最高額、東京23区で7,700円、多摩地区、神奈川県では6,300円、4,900円もの大幅値上げになります。従来の家賃改定ルールをもとに、前回対象になった家賃の相対的に高い住戸、団地にたいし値上げをくりかえしています。それらの団地はすでに空き家率も高く、空き家をさらに増やすことにもなります。
ほとんどの団地の居住世帯は大半が、高齢者・低所得層、年金生活者です。その年金の削減、生活用品の値上がり、さらには医療費の負担増、消費税増税等々で実収入は低下する一方で、生活はますます厳しくなってきています。こうした状況にもかかわらず、居住者の困窮に配慮することなく家賃値上げを強行する都市機構、これを容認する政府にたいし不信と憤りを抱かざるを得ません。
家賃値上げで居住者の暮らしをおびやかす暴挙と、空き家の増大をまねく愚策にたいし、私たちは抗議をし、あくまで撤回を求めます。
機構は継続家賃値上げの理由に「市場家賃との乖離」をあげ、既定の改定ルールによって概ねその３分の１を改定するとしています。しかし私たちは、この理由と改定方式が道理を欠き、きわめて理不尽であることをここで指摘しておかねばなりません。
①機構がいう｢市場家賃」に市場性はなく、実体的な市場家賃より高く設定してい ることは、契約が成立せず、空き家が増えているのが何よりの証拠です。
②機構資料によれば、市場家賃（消費者物価指数）が2012年時点で明らかに下落 傾向にあるのに反し、機構の募集家賃は上昇をつづけ、継続家賃はさらに高い 上昇率を示しています。
③機構は市場家賃をもって募集家賃としています。全国の平均募集家賃は2013年 ４月時点で72,800円にたいし平均継続家賃は70,900円、その差わずか2.6％です。 住宅設備の劣化放置、畳･ふすまの修繕の居住者負担等を考慮すると、「使用の 対価」として継続家賃は募集（市場）家賃を上回っているのが実状です。
④継続賃料の改定は、新規賃料とちがって賃借人の事情もあわせ考慮するのが原 則です。機構はそれをせず、「市場家賃」をかかげ、それを唯一の口実に値上げ にはしるため、前回、前々回に大幅値上げした住戸、団地、空き家率の高い団 地を今回も値上げする結果になっています。
⑤「市場家賃」にも「乖離」にも客観的な根拠はなく、家賃値上げの口実にすぎ ません。空き家の増大を承知で高めの「市場家賃」をさだめ、架空の数字をあ げて「市場家賃との乖離」を騒ぎたてるのは、家賃値上げの実績をつくりだし、 住宅の古さ、団地の所在地等からみて引き下げるべき継続家賃を高いままに据 えおくことに大きなねらいがあります。こうして空き家を増やしつつも、不相 当な家賃収益をあげています。
⑥2013年３月末時点で全国に空き家は82,735戸(空き家率11％）あります。平均募 集家賃が72,800円ですから空き家による減収は全国で年間約722億円にのぼりま す。
⑦巨額の減収を放置しながらも、2012年度決算で実質上920億円もの純利益をあげ、 その相当部分は他の事業部門の赤字の穴埋めに回しているのが実態です。
以上みたように、不当きわまる家賃値上げを許すことは断じてできません。
今回の家賃値上げとともに、機構東日本賃貸住宅本部が2013年９月から始めた「子育てファミリー支援入居制度」についても併せて指摘し、これに反対する立場を表明します。「子育て支援」の名を騙っての、定期借家契約の拡大をたくらむ空き家対策であるばかりでなく、高家賃政策のあからさまな維持をはかるものであり、姑息であり悪質といわねばなりません。この制度は、12月24日に閣議決定された機構「改革」方針のなかの家賃設定方法の改悪方針に合わせ、それを先取りするものです。
私たちは、空き家増大の最大の原因は高家賃にあること、高家賃引き下げこそが空き家解消の道であると主張してきました。機構はそれを認めようとはせず、きわめて不公正な制度を実施に移したことに、あらためて抗議します。
私たちはひきつづき公共住宅にふさわしい家賃のあり方、公正な家賃制度を求め、その実現のため運動を強めていきます。
以 上
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