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全国自治協のアピール
継続家賃の総値上げと団地統廃合をねらう「改革」の閣議決定
2013年12月27日

全国公団住宅自治会協議会
 暮れもおしつまった12月20日、都市機構は4月の家賃値上げ実施を発表し、同じ日に行政改革推進会議(議長・安倍首相)の分科会は都市機構「改革」案をまとめ、24日に閣議決定しました。
 
 公団住宅の民営化・売却計画は2007年の第1次安倍内閣にはじまり、民主党前内閣にひきつがれて「分割・株式会社化」方針となり、その間にも形を変えていろいろ出されてきました。どの「方針」も公団住宅をやり玉にあげ、消費税増税などを前に「身を切る」証しを国民にアピールするのがねらいでした。「はじめに民営化、売却ありき」のかけ声ばかりで、政策上の大義はもちろん、現実的な見通しも示せない計画でした。
 公団住宅には何十万という世帯がそこを終の棲家とし、コミュニティをつくり生活しています。私たち居住者は「住まいは福祉、住まいは人権」をかかげ、反対運動をもりあげて「待った」をかけ、公共住宅として公団住宅を守ってきました。公団住宅つぶしの矛盾は、私たちの運動が高まるにつれいっそう露わになってきました。
 今回の改革案はどうか。政府・都市機構にたいし「直ちに着手できる改革から速やかに実行に移していくべき」と迫っています。その内容は、いままでの方針と表面上ちがって、「株式会社化」や「民営化」が姿をひそめ、「売却」もやや退いた文面になっています。従来型の「民営化」方式は手直しせざるを得なかったのです。これを機に官僚支配と利権構造を強めることも予想されます。改革案には、国民居住をどう確保し向上させるかの視点はなく、そろばん勘定ばかりが目立ちます。
 公団住宅「改革」方針の大きな特徴を3つあげます。
@「家賃改定ルールを見直して改定周期を短縮し、値上げ幅を拡大する。」空き家を減らすために募集家賃を下げても、継続家賃もそこまで下げる理由はない。それでは空き家が減っても収益向上にはならない。「継続家賃は維持する」と言明しています。これまで「新旧住宅間の不均衡是正」を理由に値上げしてきたことも、募集家賃は市場家賃並みに、継続家賃はそれを上回らないと定めた機構法25条も無視して、2015年度中に改定ルールを改悪する方針です。
A団地別にみて収益性の低い団地の統廃合を加速させる。そのさいに定期借家契約を活用する。統廃合を進めるため、2007年にきめた「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」にもとづく具体的な実施計画を2014年度中につくることにしています。
B高額賃貸住宅は、2012年に売りに出したが買い手がつかず、今後は買取りオプション付きのサブリースにゆだねる。高額物件は不動産管理会社に一括借上げさせ、入居者は管理会社との賃貸借契約をむすぶ。資産は機構が保有し、民間業者が運営する「上下分離方式」とする。「さらなる収益の向上も期待できる」との口実にはなんの根拠もありません。大手不動産業者にあとで安売りする魂胆が見えすいています。

 私たちは12月5日の総決起集会で、上記分科会にたいし3つの論点を表明しました。@公団住宅を国民居住の安定とコミュニティ形成を保障する公共住宅として政策上明確に位置づけることを要求する。A機構財務の「健全化」と称して貴重な社会資産である公団住宅を売却・民営化することに反対する。B機構の民業奉仕と収益本位の団地経営は公団住宅廃止の道である。
 安倍内閣の公団住宅「改革」にかんする閣議決定には、国民居住の安定・向上を保障する政策、展望がまったくなく、次世代にひきつぐ責任のある貴重な公共住宅を食いつぶし、居住者の居住を奪っていく道筋しか示されていません。
 4月からの継続家賃値上げと公団住宅の「改革」新方針にたいし、私たちのなすべき活動の方向は明らかです。まずこの閣議決定の中身を団地居住者に知らせあい、定期総会できめた方針を具体化して、年明けとともに新たな活動のスタートを切りましょう。    
以  上
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