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第10回団地の生活と住まいアンケート集計結果の概要

高齢化と世帯収入低下さらに進む
231団地・9万3,128戸が回答

 全国公団住宅自治会協議会は2014年9月、「第10回団地の生活と住まいアンケート」調査を実施しました。その集計結果を発表します。
 地方自治協と団地自治会の努力により231団地で実施、全戸にアンケート用紙を配布、配布総数は22万5,676戸、回収戸数は9万3,128戸、回収率41.3%でした。これまでと同様大規模な調査となり、居住者の実態を表す貴重なデータです。
 集計結果により、世帯主を始め居住者のいっそうの高齢化が明らかとなり、年金生活世帯の増加による世帯収入低下の実態が示されています。「公団住宅に住み続けたい」と希望する世帯が引き続き多く、UR賃貸住宅が住宅セーフティネットとして重要な役割を果たしていることがいっそう鮮明になりました。
・高齢化が急速に進む
 世帯主の高齢化が急速に進み、60歳以上が73.8%(前回69.4%)、うち70歳以上は50.2%(同43.0%)となっています。
 70歳代の合計34.7%(同31.9%)、80歳代14.4%(同10.2%)、90歳代1.1%(同0.9%)とそれぞれの年代が前回(2011年)より増加しています。
・世帯収入第Ⅱ分位以下7割、家賃負担重い
 世帯収入について、収入額を総務省統計局・2013年家計調査・家計収入編(総世帯)によって5分位に分け、さらに第Ⅰ分位を4つに細分化して調査を行いました。
 世帯収入251万円未満の第Ⅰ分位は51.3%(前回49.1%)と半数を超えました。251万~367万円未満の第Ⅱ分位は20.1%(同20.5%)です。第Ⅱ分位以下の世帯が71.4%、7割(同69.6%)を占めています。このため、今の家賃の負担感は「たいへん重い」35.5%、「やや重い」37.1%となり、7割を超える世帯が家賃負担が「重い」と感じています。
・年金世帯半数を超える
 世帯の全収入は、「年金だけ」が42.9%(前回39.1%)、「年金とパート・アルバイト」10.3%(同9.9%)で、いわゆる年金生活世帯は53.2%(同49%)を占め、半数を超えました。
・ 公団住宅に住み続けたい
 今後の住まいについての考えでは、「公団賃貸住宅に長く住み続けたい」が71.9%と引き続き多く、大半の世帯がUR賃貸住宅を「終の棲家」とすることを希望しています。公団住宅に住んでいて不安に思うことは「値上げや高家賃で家賃が払えなくなること」65.1%、「民営化され公共住宅ではなくなること」50.3%と答えています。

◆60歳以上の世帯主73.8%、80歳以上は17.1%

 60歳以上の世帯主は73.8%、70歳以上は50.2%です。長年住み続けている世帯の高齢化が引き続き急速に進む一方、民間賃貸住宅に入居できない高齢者世帯の入居が増えていることが考えられます。UR賃貸住宅は高齢者のセーフティネットとなっています。50歳代以下は24.6%と引き続き減少しており、第1回・1987年調査で31.1%と最も多かった30歳代は今回4.7%まで減少しています。


◆昨年(2013年)の世帯収入…7割が367万円未満
 2013年の世帯収入を尋ねました。この問いで特筆すべきことは、この項が世帯収入ついての質問にもかかわらず94.6%という高い回答率となっていることです。
 収入額の区分は総務省統計局「2013年度家計調査・家計収入編(総世帯)」によります。251万円未満の「第Ⅰ分位」についてはさらに4分類して調査を実施しました。このように細分化することによって、世帯収入が低下している状況が良く分かります。
 世帯の年収(2013年の世帯全員の税込み収入額)が251万円未満の世帯が51.2%となり、前回の2011年調査(49.1%)から2.1ポイント増加しています。251万円未満と367万円未満(第Ⅱ分位)を合計すると71.3%に昇ります。



◆年金世帯が増加…「年金だけ」は43%に
世帯収入の内容について聞きました。前回の2011年の調査と比較して「給料だけ」が22.6%から19.2%に減少し、「年金だけ」が39.1%から42.9%に増加しています。
 「給料と年金」13.0%、「年金とパート・アルバイト」10.3%、「年金だけ」42.9%とそれぞれ増加し、年金受給世帯の合計は66.2%となり、前回の2011年の調査と比べると4.5ポイント増加しています。調査結果は、公団住宅居住者が高齢化し年金で生活がたいへん厳しくなっていることを表しています。



◆72.6%は家賃負担「重い」、71.9%が「公団賃貸住宅に長く住み続けたい
 家賃の負担については「たいへん重い」が毎回増え35.5%になりました。「やや重い」の37.1%を加えると72.6%になり、「重い」と感じている世帯が7割を超えています。
 今後の住まいについては、「公団賃貸住宅に長く住み続けたい」が依然として多く71.9%ですが、前回2011年調査の78.5%と比べて減少している一方、「公営住宅に応募して、住み替えたい」の割合が10.4%に増えています。繰り返し値上げで家賃負担が重くなっていることが原因と考えられます。「持ち家を購入したい」は2005年の10.0%から5.3%に半減しました。
 世帯収入の実態や家賃の負担感等から勘案すると、「公団賃貸住宅に長く住み続けたい」が「住み続けられなくなる」という不安をもっていることが分かります。



◆不安なことは、「家賃が払えなくなること」や「民営化」
 「公団住宅に住んでいて不安に思うこと」については、「値上げや高家賃で家賃が払えなくなること」が一番多く65.1%に昇ります。前回の62.8%から2.3ポイント増加。2014年4月に継続家賃の値上げが行われ、さらに機構が家賃改定ルール改悪を検討等が影響していると考えられます。
 次に「民営化され公共住宅でなくなること」が50.3%となっています。昨年末の閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」では、「民営化」の文字は消えましたが、市場家賃化や管理の民間委託など、実質上の「民営化」が進んでいることが背景にあります。「住宅や室内の設備が古いこと」は29.4%、前回の27.3%より2.1ポイント増加しました。



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